ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

生きてりゃこんなことのひとつやふたつやみっつやよっつ

2014年08月23日 | ひとりごと
海辺での夏休みの直前に、ちょっとしたハプニングがありました。
数ヶ月前に、全くの初心者としてピアノを習いに来るようになった、ニコラス(お兄ちゃん)とソフィア(妹)。
ニコラスは12才、ソフィアは10才、ニコラスは、ハリー・ポッターのハリーそっくり。ソフィアのレッスン中はいつも、分厚い本を読んでいます。
ソフィアは、しばらくの間、いきなり目の前に現れたたくさんの情報に戸惑い、混乱しているようでしたが、すぐにお兄ちゃんに追いつき、今では同じレベルの曲を弾けるようになりました。

ふたりとも、とても賢い子たちで、弾きたいという意欲もあり、努力をすることを惜しみません。
だから、みるみる前に進んでいきました。
教え易い子の典型のような子たちに出会えて、わたしも嬉しく、興奮していました。


さて、アメリカの子どもたちの夏休みは、とても長い(2ヵ月半)上に宿題も無いので、親御さんたちは毎年、知恵とお金を絞り、様々なキャンプに参加させたり、旅行に行ったりします。
こちらに来て間が無い頃は、そんな事情が分からなくて、みんなの予定を聞きながら、とりあえずわたし自身としてはレッスンを続けていたのですが、
数年間、同じようなパターンで夏を過ごした結果、あることが明確になりました。
秋になってぼちぼちと戻ってきた生徒たちが、夏前に習っていたこと、できていたことを、まるで覚えていないのです。
それでまた、一から教え直し、覚え直し、という作業が始まります。
これは何か方策を練らなければと、いろいろ考えた結果、年に一回の発表会を、夏前ではなく、夏後にすることにしました。
夏やからというて、ええ加減に過ごしてしまうと、えらいことになりまっせ、という、少々脅しが入った手紙も渡しました。
じわじわと効果が出てきて、最近では、2ヵ月半全部お休み、という生徒はゼロで、休み中もとりあえず、普段通りに練習をする、ということが当たり前になってきました。
日本なら、そんなん当然やん、と思われるかもしれませんが、こちらではかなり画期的な現象なわけです。


そんなこんなの夏休みレッスン中に、わたしは失敗をしてしまいました。
前出の兄妹たちのレッスンでのことです。
彼らにとっては、今年の発表会が初めてで、だからとても気合いが入っています。
どんな感じの曲を弾きたい?と尋ねると、目をキラキラさせて話してくれました。
ふたりとも、「今と同じレベルのではなくて、3ヵ月後の自分が弾いていそうな曲に挑戦したい」と言うので、
ニコラスにはライザ・ミネリの『New York, New York』を、ソフィアにはショパンの『Prelude』を、
それぞれ少し易しく編曲されてはいますが、彼らにとっては大きな挑戦になる曲を与えました。
曲を与えてから次のレッスンまで、お互いの予定が合わずに間が空きました。
その間に、ソフィアが曲を変えたいと言っているというメールが、母親から送られてきました。
お兄ちゃんのように、誰もが知っている、たくさんの人に愛されている曲を弾きたい。
ということで、久しぶりのレッスンの際に、『Beauty and the Beast』の楽譜をふたりで初読みし、できると思うということで、ソフィアに渡しました。
彼女はとても嬉しそうで、それはそれは張り切っていました。

その1週間後のことです。
その日は、わたしの夏の休暇前の、だから次のレッスンまで丸々2週間空いてしまう、という思いが頭の中にありました。

はじめにニコラスが、前々から手こずっているテーマのリズムをようやく理解し、ホッとしたのも束の間、
♭や♯の臨時記号が1小節の中でずっと生きていることを知らないという彼に、そんなはずはないでしょう?と詰問しました。

その後ソフィアの番になり、彼女がそれは見事に、とんでもなく飛び級した(本で言うとVol.2からVol.5に飛んだ)本の曲を、一音も見逃す事なく弾き通したので、
「すごいね、どんなに大変だったことだろうか。よく頑張ったね」とまず言って、その後すぐに、指遣いに大きなミスがあったので、そのことを直しにかかりました。
すると、彼女が鼻をすすり始めたので、え?と思って彼女を見ると、目に涙がいっぱいたまっています。
驚いて、「どうしたの?」と聞いても、彼女は口を噤んで何も言おうとしません。
一瞬どうしたものかと思いましたが、このことだけは何が何でも伝えておかないと、彼女はまた同じミスを繰り返すだけではなく、弾きにくいままに手に癖がついてしまうと思ったので、続行することにしました。
でももし、その日が休暇前のレッスンではなかったら、わたしは多分レッスンを中断して、彼女の気持ちが治まるのを待ったでしょう。
そして、どうして泣きたくなったかを聞いた上で、指の番号を守ることの意味や技術について、ていねいに話していたでしょう。
けれども、その日はしませんでした。
とにかく残りの20分の間に、彼女が2週間、自分できちんと学べるように、時間の無駄をしないようにしてあげたい、そのことにこだわって教え続けていました。
すると、母親が立ち上がり、
「もうやめて。娘はとても取り乱しているのに、あなたの言うことなど頭に入るわけがないじゃないの」と言いました。
それを聞いて、それまで抑えていたのか、静かに泣いていたソフィアが、しゃくり上げ始めたのです。

正直に言うと、わたし自身は、生徒が泣き出すことについては、否定的でも肯定的でもなく、泣きたくなったら泣いたらいいと思っています。
ただ、わたしの言動に過ぎたところがあって、そのことで怯えたりショックを受けたりしたと思える場合は、「ごめん、言い過ぎた」と謝り、気持ちが治まるまで待ちます。
(日本で教えていた時は、自分の否を認めて謝る、ということがまるでできていない、ダメ教師でした。
生徒だったみなさん、ほんっとにごめんなさい!)
でも、ちゃんとできたと思ったのに、わたしにミスを指摘されて、それが悲しくて悔しくて泣き出す、というような時は、
「こういうミスは、練習をする時にどんなふうに考えてるか、プランを立てているかで、うんと少なくできることだから」と励まして教え続けます。
悲しくても悔しくても、それで涙が出そうになっても、それを自分でなんとかコントロールできるということも、学びのひとつであって欲しいからです。

まあ、そんなこんなの事柄が重なって、とても後味の悪いレッスンとなってしまいました。

その晩、そして次の晩までずっと、とにかく落ち着いて、第三者の目で見ているつもりで、自分がした事を思い返しました。
とにもかくにも、傷つけたことは明らかなので、言葉を選んで、ソフィアにメールを送りました。
そして、返ってきた母親からのメールには、わたしへの非難の言葉が並んでいて、そのことについてまた、あれこれと考えあぐねていました。


先週の金曜日、久しぶりに、気功瞑想のクラスに行きました。
座式瞑想、立式瞑想が終わり、いつもの『トピックはなんでも』なトークセッションの時間になり、
ミリアムが、「今日はこのことをどうしても伝えておきたいの」と言って、話し始めました。

「Just look at it」
ただそれを見つめる。
感情も思考も抜きで。
それができるようになってほしい。

その言葉が、わたしの心にずんと響きました。

すると、ソフィアの母親からのメールの言葉を、記号のように読み返している自分に気づきました。
その記号の中の『誤解』に当たる部分を、わたしはきちんと釈明しなければならない。
とても穏やかな気持ちで、その釈明に要する文章を、頭の中で組み立てることができました。

母親は、自分の娘が、それはそれは一所懸命に練習し努力していたのを、この目で見てきた証人であり、
さらには、彼女が学校ではとても優秀で、態度も良い生徒であるということを、何度も訴えていました。
わたしは、初めてのレッスンで、それらのことをしっかり見抜いていたこと、それはもう説明ができない、経験が為せる業であること、
さらには、レッスンで正しく弾けなかったぐらいで、その認識が揺らぐことはないし、その直感を疑うこともありません、と伝えました。

それに対する返事は、まだ届いていません。
けれども、やるだけのことをやり、十分に話し合った上で、やはりわたしには習いたくないという結論が出たのなら、それはそれで仕方のない事だと思っています。


気分を変えて。

これは、歩美ちゃん作の『松葉サイダー』。


歩美ちゃんいわく、
「黒糖をお湯で溶かして冷ましたところに、ある教会の裏の、良質の湧き水をたっぷり吸い込んだ松の葉っぱを、ギシギシに詰めただけ」だそうで、
松葉についている酵母が働いて、ブクブクと泡立ってきて、はじめはサイダーになり、それを放っとくと酒になる…ひぇ~!

裏庭のガラスのテーブルの上に置いておくと、


そして次の朝、


歩美ちゃんは、我が家に、いろんな楽しいものを持ち込んでくれます。

これもそのひとつ。


大きめの鉢に植え替えたら、どんどん大きくなってきたよね~などと、イチジクの木を挟んで話していたら、


コロン…。
え?なに?
まるで、ワタシを食べてね、とでも言うように、黄緑のイチジクの実がひとつ、地面に落ちたのです。

え~!まだこんな緑なのに~!と言いながら、歩美ちゃんが拾い上げると、
「あれ?柔らかい!」
ほんま?あ、ほんまや、柔らかい!

ということで、早速3人で分けんこしていただきました。


皮まで一緒に食べられるぐらいに柔らかく、とぉ~っても美味しかったです。

ほいじゃ~ついでに裏の畑も!と勢いづいて、小松菜とアルゴラを。




残りものの茄子と厚揚げの煮浸しに加えて、みんなで美味しくいただきました。


どんな時にもお腹は空く。
だったら、こんな時こそ、太陽の光をいっぱい浴びた新鮮な野菜を食べて、力をつけないと。
などと、贅沢なことが言える環境に、心から感謝しつつ。
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仏さまになったショーティ

2014年08月22日 | 家族とわたし
ショーティ…もうあんたの名前を呼べんようになって、49日が経ちました。



前の晩に、雷が鳴って、どしゃ降りの雨が降りました。
まるで、あんたが死んでしもた前の晩のように。



いまだに、どっかに出かけたら、ふと、あんたはどないしてるやろかと考えて、
ああ、もうおらへんのやったと苦笑い。



もうお水のことも餌のことも、それからトイレのことも、全然心配する必要が無くなったのやなと、
ホッとするやら寂しいやら…。



15年と8ヵ月、いっしょに生きたこと、一生忘れへんから。
ありがとう、ありがとう、ありがとう、
またいつか、生まれ変わって逢いに来てな。



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凍らなかった、敵わなかった、解らなかったこれらを全部、永遠に、想定外で済ませる愚か者たち

2014年08月22日 | 日本とわたし
なにをやってもうまくいかなかった、東京電力福島第一原発の、海側トレンチ(電源ケーブルなどが通る地下道)の、高度汚染水止水工事。
凍土凍土と、無駄だと周囲から言われようが、コリコリに凝り固まった頭の連中が執拗にやり続け、結局無駄な抵抗だと、ようやく思い知ったらしいです。
そのために投入されたカネは、数百億円規模の税金。

日本にはまだまだ、無駄遣いできるカネがあるんですね。
というか、踏んだくられっ放しのみなさん、怒らなあかんのとちゃいますか?

とりあえず、前々から言われてた、水中で固まる液状の止水材を投入したらどうか、みたいな流れになってるそうですけども…。

そんな、どうにもサエないまんまの東電が、自信満々に、誇らし気に、写真を撮らせた津波対策がコレです。
とりあえず、応急的に設置された、借設防波堤だそうですが…。



これ↑↑↑で、3.11級の地震や津波が来ても、大丈夫やって言うてるそうです…。



津波対策置き去り 汚染水流出の恐れ 第一原発
【福島民報社】2014.8.17http://www.minpo.jp/news/detail/2014081717494 

廃炉作業が続く東京電力福島第一原発は、津波による放射性物質の、海洋流出を防ぐための十分な対策が、講じられていない。
原子力規制委員会は、原発事故から3年余りが経過した今月、流出が以前から懸念されていたとして、
9月にも、東電に対応を求める方針を打ち出した。
政府と東電が、原発事故発生から3年以上、津波対策を後回しにしていた状況に、避難住民らは対応の遅れを批判する。


■規制委の指摘
 
「はらはら見守っているのが実情。なるべく早く(対策を)実施してもらいたい」。
7月に開かれた規制委の定例会合で、地震や津波などを専門とする島崎邦彦委員は、
福島第一原発の地震・津波対策を、本格的に検討してこなかった、現状への懸念を口にした。
 
福島第一原発では、海側にあるトレンチ(ケーブルなどの地下管路)内に、大量の高濃度汚染水が滞留。
2、3号機のタービン建屋につながるトレンチ内だけで、約1万1千トンに上る。
東電は、トレンチ内の汚染水の抜き取りを目指し、凍結止水工事を進めているが、水温が想定より下がらず難航している。
 
規制委は、今になって、敷地が津波で浸水した際に、トレンチ内などにたまった汚染水が、海に流れ出るリスクを指摘。
9月までに、東電に、津波対策を施すよう指示することを決めた。
 
規制委をはじめ、政府、東電は、汚染水から大半の放射性物質を取り除く、多核種除去設備(ALPS)の試運転、凍土遮水壁着工など、目の前の汚染水対策に追われ、津波への対応が置き去りになった。
津波が、凍土遮水壁などの汚染水対策にもたらす影響も、不透明だ。


■応急措置
 
東電は、原発事故発生後、応急措置として、平成23年6月に、砕石を詰めた袋を積み上げ、高さ14メートルの仮設防潮堤を設置。非常用の仮設電源や消防車などを、高台に移した。
 
東電は、
「東日本大震災と同規模の地震・津波に対応できる準備はしている」と安全性を強調。
一層の対策が必要、とする規制委の議論については、
「まだ規制委から指示を受けていないので対応は未定」としている。


■帰還への影響も
 
楢葉町の住職早川篤雄さん(74)は、町内の自宅が避難指示解除準備区域にあり、いわき市で避難生活を送る。
「汚染水対応に追われていたとはいえ、3年以上も、国と東電が、福島第一原発の津波対策を後回しにしていたのは、あまりにもずさんだ」と批判。
その上で、
「放射性物質が流出する懸念があるうちは、風評も消えないし、不安で帰還できない」と訴えた。
 
県原子力安全対策課の渡辺仁課長は、
「以前から(十分な対策の)必要性は感じていた。県民の安心のためにも一日も早く万全な備えをしてほしい」と、早急な対応を求める。
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安倍氏、森氏、茂木氏、岸氏、加藤氏、萩生田氏、山本氏、日枝久氏、笹川氏、それ程ゴルフは楽しいですか?

2014年08月21日 | 日本とわたし
台風直撃で10人の方が死亡した時も、ゲリラ大雨で広島に大変な被害が発生した時も、





知ってたくせに。
それでもやっぱりゴルフ!と思える思考回路が、どうにも理解できません。
そして、そのことを、今になっても正当化できる神経も、やはり理解できません。



20日の首相動静
午前7時22分、山梨県鳴沢村の別荘発。
同26分、同県富士河口湖町のゴルフ場「富士桜カントリー倶楽部」着。

森喜朗元首相、茂木敏充経済産業相、岸信夫外務副大臣、加藤勝信官房副長官、萩生田光一自民党総裁特別補佐、山本有二同党衆院議員、日枝久フジテレビ会長、笹川陽平日本財団会長とゴルフ。
 
午前9時19分、同所発。
同22分、別荘着。
午前9時41分、別荘発。
午前10時59分、官邸着。
 
午前11時から同22分まで、危機管理センターで古屋圭司防災担当相、西村泰彦内閣危機管理監。
菅義偉官房長官同席。
同23分から同24分まで、報道各社のインタビュー。
「広島市の土砂災害で政府の対応は」に「政府一体となって、救命救助の対応に当たるように指示を出しました」
 
午後0時44分から同1時22分まで、北村滋内閣情報官。
午後2時、官邸発。
同1分、公邸着。


21日の首相動静
午前8時現在、山梨県鳴沢村の別荘。
朝の来客なし。
 
午前10時34分、北村滋内閣情報官が入った。
午前11時13分、葛西敬之JR東海名誉会長が加わった。
午後0時57分、葛西氏が出た。同1時、北村氏が出た。
午後1時40分、別荘発。
午後3時4分、公邸着。
午後3時15分、公邸発。同17分、官邸着。
午後3時25分から同4時2分まで、古屋圭司防災担当相。菅義偉官房長官同席。
午後4時3分から同18分まで、関係省庁災害対策会議。
午後5時6分、官邸発。
午後5時32分、東京・富ケ谷の私邸着。



↓以下の写真は、『真実を探すブログ』さんの
【ヤバイ】広島で発生した大規模土砂災害、死者の数が18人に!救助中の消防隊員も死亡!安佐南区や安佐北区では助けを求める声!からお借りしました。










以下の表は、日本の大手メディアと首相が、どれほど贅沢な食事を共にしているかの一覧です。



これで、まともな、公正な報道ができるはずがありません。
コメント (2)
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「8月6日の原爆で言えば、僕たちは今8月5日にいる。8月5日なら歴史は変えられる」byビナード氏

2014年08月21日 | 日本とわたし
『マガジン9』に連載中の、三上智恵監督の『沖縄撮影日記』
 
以前、ここでも紹介させていただいたのですが、その第3回を、ここに転載させていただきます。

第3回
「もはや戦場だ」
~8月14日、ついに辺野古は包囲された~

http://www.magazine9.jp/article/mikami/14204/

一夜明けると、海を埋め尽くす大船団が、大浦湾に展開していた。
 
「これじゃあ沖縄戦だ」
 
明け方、大川から大浦湾に、猛スピードで入っていた私は、
フロントガラスから飛び込んで来た、海に浮かぶ黒い海保の大船団に、胸が潰れそうになった。




8月14日の光景は、一生忘れないだろう。
 
私だけではない。
これを、沖縄戦開始を告げる、1945年3月の光景と、ダブらせた人は多い
 
翌15日には、水平線に連なる、大型の海保の巡視艇、海保のボート、警戒船、合わせて86隻までは数えた。
 
島は、再び、力ずくで包囲された
少なくとも、辺野古沖は「占領」されたのだ。
 
2004年も、海のボーリング調査を巡って、防衛局の監視船が作業員の船を守るといいながら、反対運動の船と激しくやりあった。
 
防衛局の船を操船するのは、雇われた辺野古の漁師たちだ。
基地を止めたい人々は、海人と闘いたくはなかったが、仕事の邪魔をする市民に対し、海人も容赦なかった。

 
しかし、クレーンを積んだ大型の台船がやって来た時、それを止めようと飛び込んだ市民を間一髪、下敷きになる前に救い上げたのも、海人だった。
 
そこには、対立の中にも、島で生きる人間同士を繋ぐ何かが、存在していた
 
今回、直接反対する人を押さえつけるのは、海上保安庁に代わった。
 
もう、海人は前線に立たない。
それは、両者を知る私たち地域人としては、本当にほっとする。
 
海猿たちのほとんどは県外だが、中にもうちなんちゅはいる。
 
物々しい海上。
 
キャンプシュワブからは、赤い数珠繫ぎのウキがスルスルと引き出されて行き、海を囲い込んだ。
黄色いブイも打たれた。
 
様子を見ようとすると、工事区域にも、提供水域にも入っていないのに、海保のボートが過剰に制止する。
一時、反対運動の要になる平和丸は、14隻に囲まれ身動き出来なかった
 
下の動画で、左側の水面に出てくるのが、海を分断する赤いウキである。
 
15日には、平和丸が、海保に拿捕。
 
定員13人が目一杯乗っている上に、海保の職員が次々乗り移ってきて、抵抗もしていない船長を2人掛かりで押さえつけ、確保されてしまった
 
提供水域でもなく、理由の説明を求めても答えず、実力行使あるのみ
 
やがて、大雨と雷で、小さい屋根しかない平和丸の船上に危険が迫り、いつもの平島の内側を通って港に帰ろうとしたところ、海保の船が立ちはだかった。
 
「今日からここは通れません!」
 
沖を回ればリーフから出てしまい、さらに波も風も当たる。
 
安全のために通してくれと言っても聞かなかったので、やむなく外を回ると案の定、悪天候で視界はゼロに。
立ち往生しているところに海保が現れた。

船長「岸はどちらですか? それだけでいいから教えて下さい」
海保「船長さんならわかるのでは?」「そんなことで12人の命を預かるとは、無責任だ」

 
船長の誇りを散々傷付けた挙句、海難救助ということなら助ける、と念を押してきた。
 
海猿たちはプロだ。
訓練も受け、GPSも無線も装備している。
島の未来のために、止むに止まれず四級船舶の免許を取り、海に出た素人たちに、恥をかかせて楽しいのだろうか
 
結局、海難救助で曳航され、事情聴取をうけ、乗組員の住所氏名を記録される
国に逆らうものはこうなるぞ、と言わんばかりだった。
 
海の安全を守るはずの彼らは、基地を作りたい政府の手先になり、反対運動を恫喝する役割を演じている。
 
戦場の島に戻りたくない、ここは譲れないんだと、メガホンで叫ぶ言葉に対し、
「工事区域に入ると危険です。それ以上近づくと、処置します」とだけ繰り返す。
サングラスをかけたロボットのように。





そして、2004年、2005年と海の上に座り込んで止めてきたボーリング調査の掘削が17日、ついに開始された
 
私は絶望感に襲われていたが、詩人のアーサー・ビナードさんが私にこう言った。
 
「沖縄戦、みたいね。
でも、まだ戦争じゃない。
まだ埋めたても始まってない。
8月6日の原爆で言えば、僕たちは今8月5日にいる。
8月5日なら歴史は変えられる」

 
笑顔のアーサーさん。
その奥の海には、黒い船影が連なっている。
 
圧力を前にしても、冷静で前向きな思考ができる能力。
それこそが、今の私に一番必要だ。


辺野古にかけつけた、詩人のアーサー・ビナードさん。

*******************************

三上智恵監督新作製作のための
製作協力金カンパのお願い


沖縄の基地問題を描く、三上智恵監督新作の製作を来年の2015 年完成を目標に開始します。製作費確保のため、皆様のお力を貸してください。

◎製作協力金10,000円以上、ご協力いただいた方(もしくは団体)は、映画HPにお名前を掲載させていただきます。
◎製作協力金30,000円以上、ご協力いただいた方(もしくは団体)は、映画エンドロール及び、映画HPにお名前を掲載させていただきます。
※掲載を希望されない方はお申し込みの際にお知らせ下さい。

■振込先
郵便振替口座 00190-8-513577
名義:三上智恵監督・沖縄記録映画を応援する会

↑以上、転載おわり

そして、こちら(マガジン9への支援カンパ)の方も、よろしくお願いします。
↓↓↓
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米国『東海岸キツツキくん』事情

2014年08月21日 | 米国○○事情
キツツキくん事情だと言っておきながら、いきなりチビ蜘蛛くんを載っけるのはどうかと思うのですが、
このチビ蜘蛛くんはなんと、パソコンの液晶画面の中に入りこんでしまっている、とんでもなく可哀相な蜘蛛くんなのでした。


今夜もまた、ブログの記事をせっせと書いていたのですが、
ユーチューブの動画を、コツコツとひとつずつ、載せる作業をしていると、
ちょうど、動画のタイトルを書き込む所で、クルクルとあちこちを歩いている蜘蛛くんがいることに気がつき、
それで最初は、え?まさか…もしかしてハッカーの仕業か?それとも新手のウィルスか?などと焦ったりしたのですが、
どう見ても、ただただ純粋に、まごまごと困り果てながら歩いている蜘蛛にしか見えなかったので、
だからといって別に、納得できたわけでもなく、なんでこんなとこに…などと思いながら、しばらく無視していたのですが…。

Facebookのページに、動いているところを載っけました。興味のある方はどうぞどうぞ!
https://www.facebook.com/photo.php?v=10203741638894541&set=vb.1625455324&type=2&theater¬if_t=video_comment

でも、いったいどうしたら良いのでしょうか…こんな場合。
できれば自力で、入ってきた所を見つけて、出ていってくれたらいいのですけれども。
それにしても、液晶画面のいったいどこに、そんな隙間があるのやら…。


さて、本題のキツツキくん。
これまた今夜のキツツキくんは、とんでもない所に現れたのです。

↓ここ。


ここはどこかというと、ドライブウェイのすぐ脇にある、「大乱れ雪(アガベ属)」の、すっかり枯れた茎。


その、さほど長くもない、地面からすぐ近くの細っこい茎にしがみついて、コンコンコンコン、頭を激しく振って突いていました。
夏の楽しみ、玄関ポーチの蚊帳の中で夕飯を食べている時に、旦那がふと気づき、ふたりしてそぉ~っと近づいて見学。







もうほんと、上がったり下がったり、くるりと一周したりして、忙しいったらもう…一心不乱に突いています。







とりゃ~!!


見てるだけでクラクラしてきました。


これはおまけ。

浜辺で拾い集めた貝がら。


で、どうすんのそれ?
と聞かれたら、全然答えられないおばちゃんです♪
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おとうとからのおくりもの

2014年08月20日 | 家族とわたし
大阪に住む弟から、「作曲ようがんばったで賞」の小包が、送られてきました。



もともとは、前々から頼んであった、震災や原発関連の番組の録画を、コツコツとやってくれていて、
それがずいぶんとたまったので、郵便局に行って箱に詰めたら空き空きやったから、ということで、
なんか欲しいもんないか~と、嬉しいメールが送られてきました。

いやいや、DVDだけ送ってくれたらええのに、などと思いつつ、夏の日本でないと買えないもんは…とうっとり考えはじめ、
思いついたのが、旦那の昭和のおっさんシャツの替え。
植木等さんなんかが、スーダラ節を歌ってる時に着てたやつなんですが、
腹巻きは別にして、あの、さらし綿の半袖シャツが、旦那の大のお気に入りなのです。
ということで、厚かましくもお願いしました。

すると、着いた箱の中から、そのおっさんシャツはもちろんのこと、なんと渋い甚平も!
旦那、ニマニマ顔!
弟が言うてたサプライズとは、このことだったのね♪

さらに、まだまだ隙間だらけやからと、100均とかで買い集めてくれた楽しいグッズもいっぱい!

法善寺のジャズフェスの手ぬぐい。


ごはんがくっつきにくいというしゃもじは、今夜使ってみたら、ほんとにくっつきませんでした。
んでもって、ペットボトルに取り付けて、いろんな物を洗えるブラシは、今日、車体についた鳥のウンチをゴシゴシ。
一度はグランドホッグに食い荒らされて、悲惨な姿になってたキュウリくんが、やんややんやの成長っぷりを見せてくれて、
なんとかせにゃ~と思いつつ、放ったらかしにしてしまってたナマケモノに喝!
園芸小物は今夜、しかと使わせていただきました!
キズ薬にせよカユミ止めにせよ、それからお灸の『太陽』にせよ、思いやりが無くては思いつかないものばかり。
泣ける…しんみり…。
冷え冷えクロスは、明日、イチジクの木の植え替えをする時に、首もとに巻くことにしませう。

そして明後日の、ショーティの四十九日には、このお線香とローソク、使うからね。

贈り物と送料を合計すると、とんでもなく高くついた小包。
彼の方も、いろいろ大変な毎日やと知ってるだけに、ものすご~く申し訳ない気持ちにもなるのやけれども、
でも、でも、同時に、ものすご~く嬉しかったので、素直に喜んでおくことにします。

ほんまにありがとう!
いつも思ってくれてありがとう!
なんかっちゅうたら心配かけてしまう姉ではありますが、わたしもあんたに負けんぐらいに、あんたのこと思ってるんよ~!
愛してるよ~!
いっぱいもろたから言うてるんとちゃうよ~!
うわ~ん!
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「福島原発事故における日本政府の4つの誤りを、多くの人々に知らせ、第二次疎開裁判に勝ち抜く!

2014年08月20日 | 日本とわたし
子どもの安全な場所での教育を求めるための、『ふくしま集団疎開裁判』からのお知らせです。

【第二次裁判のスタート・アクションのお願い】
8月29日、第二次裁判が提訴されます。
今こそ、最強の力である無数の無名の皆さんの声を、第二次裁判に対する抱負・感想として表明して下さい
こちら(2014年8月8日)


■二次裁判提訴(8月29日)支援:バスツアー参加者募集中 
8月29日(金)新宿・福島市日帰りツアー

【参加の呼びかけ】
8月29日(金)二次裁判提訴応援 バスツアー

福島地方裁判所に提訴します(子ども人権裁判・親子裁判とも)。
提訴に向けて、決起集会を行い、提訴後に、記者会見を、福島市内で開催します。
東京からも、原告支援の日帰りバスツアーを準備しました。
皆さん、ひとりひとりの声と行動が、この裁判の行方を決めます。
福島の子どもたちの命は、私たちひとりひとりの声と行動にかかっています。
皆様、是非ご参加ください。

8月29日(金)のスケジュール

【集合場所】
7:45 新宿駅(西口)スバルビル前
地図は以下↓です。


【出発時間】 
8:00 
13:00 福島市到着・福島市内で集会・記者会見等

【帰路出発】 
17:00 

【到着予定】 
21:30 ~ 22:00 新宿駅(西口)着

【参加費】 
3000円(保険代を含みます)

【申込先】
以下にお電話ください。
090-2933-7993

【〆切】 
8月27日(木)16:00

(残席があれば、〆切以降でも申込可能ですが、保険がつきませんのでご了承ください)




福島第一原発事故から、3年半が経過しようとしています。
事故発生の責任は、想定できる危険を無視して、地震対策、津波対策を怠った東京電力、
そして、東京電力の怠慢に対し、適切かつ必要な監督を怠った国にあります。
その責任は重大です。

国は、『スピーディ』の情報を隠ぺいし、安定ヨウ素剤を配布せず、線量に関する情報もほとんど与えず、
多くの住民は、放射能の危険性を知らされることもなく、無為無策のまま被ばくさせられました。

今年3月末現在、福島県で、小児甲状腺がんの子どもが、89人発見されました。
子どもの人口が福島県より5倍のベラルーシで、チェルノブイリ原発事故後3年間で、11名だったのと比べても、大変な発症率です。
しかし、国も福島県も、放射能との因果関係を認めようとせず、被ばく対策をとろうとしません。
さらに、鼻血が止まらない、風邪が治りにくい、疲れやすい、免疫力が落ちたといった、子どもたちの健康不良の情報が、方々で聞こえてきます。
ウクライナやベラルーシの汚染地域では、今でも、子どもたちの多くが病気を抱えており、健康な子どもは2割しかいない、とのことです。このままでは、福島も、同様の状況になる可能性を否定できません。

昨年4月24日に、仙台高等裁判所は、ふくしま集団疎開裁判への決定で、

●郡山市の子どもは、低線量被ばくにより、生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される
●除染技術の未開発、仮置き場問題の未解決などにより、除染は十分な成果が得られていない
●被ばくの危険を回避するためには、安全な他の地域に避難するしか手段がない


と認めました。

今でも、条件が許せば、親子で避難したい、子どもだけでも避難させたい、と願っている親御さんたちがおられます。
その願いを実現するためには、小中学校を設置している市町村に、義務教育を受ける子どもたちを、安全な場所で教育するという、彼らの義務を実行させる必要があります
そして、国や福島県に対し、低線量被ばくの危険性という問題から、目をそらすことなく向き合わせ、
子どもたちを守る政策を取らせる必要があります。
そのためにはまず、国や福島県の、今までの政策が誤りであったことを、きちんと認めさせる必要があります。

この裁判は、私たち市民の力で子どもの命を守る、世直し裁判です。


私たちが8月29日に起こす2つの裁判

① 安全な環境で教育を受ける子どもの権利を確認する裁判(子ども人権裁判)
原告は、小中学校に通う子どもたち。
小中学校の設置者である市町村に対し、安全な環境で教育を受ける権利があることの、確認を求める裁判。

② 原発事故後の国と県の放射能政策の違法性を問う裁判(親子裁判)
原告は、原発事故のあと、福島県内に居住していた子どもとその保護者。
国と福島県に対し、国や福島県には、子どもたちの健康を守る義務があるのに、原発事故のあと、子どもたちを、被ばくから守ろうとせず、無用な被ばくをさせ、
子ども、及びその保護者たちに、筆舌に尽くしがたい精神的苦痛を与えたことを理由とする、慰謝料請求。
請求額は、1人10万円(家族3人が原告になれば30万円)を予定。
10万円としたのは、多額の金銭の支払を受けることよりも、国や福島県がとった政策が違法であることを、司法の場ではっきりさせることを目的としたからです。

この裁判の提訴に向け、提訴当日の、福島での集会・懇親会を行います。
これまでの疎開裁判に比べ、たくさんの方に原告になっていただくと同時に、裁判へのカンパ、チラシ配布のご協力など、
より多くの皆さんの参加が、必要となってまいりました。

これ以上、子どもたちを被ばくさせないために、皆さんの参加が必要です!

ふくしま集団疎開裁判の会
東京連絡先:
光前法律事務所 FAX 03-5412-0829 岡田(090-8494-3856)

ブログ http://fukusima-sokai.blogspot.jp/
メール nijisaiban@gmail.com




8月18日に、外国特派員協会での会見と、参議院議員会館で行われた記者会見の模様は、以下のユーチューブでご覧ください。

8.18 海外特派員協会での会見動画

外国特派員協会 提供


UPLAN 提供


長谷川克己さんのスピーチ



8.18 参議院議員会館の動画

全体映像(通し)


原告予定者3名の発言(原告としての思い)
1. 長谷川克己さん


2. 松本徳子さん


3. 匿名のお母さん


会場から質問(国と福島県に対する思いを一言で言えば?)に答えて
1. 長谷川克己さん
国と福島は責任があることを認めてほしい


2. 松本徳子さん


3. 匿名のお母さん



会場の支援者からの発言
 
1. 崎山比早子さん
「自分たち一人一人の命が危ないんだということを認識して、私たちが立ち上がることをしなくては」


2. 神田香織さん


3. 田中一郎さん
「原告になる方にお礼を申し上げたいと思っています」


4. 生井兵治さん



寄せられた支援のメッセージの朗読

1. 崎山比早子さん


2. 小出裕章さん


3. ノーム・チョムスキーさん



二次裁判の解説(弁護団)

1. 柳原敏夫(第二次裁判の背景について)


2. 弁護団 光前幸一(第二次裁判の内容について)




【第二次裁判=子ども脱被ばく裁判】
松崎道幸さんからのメッセージ
「日本政府がおかした4つの大きな誤り」



一昨日、第一次疎開裁判で何度も意見書を書いていただいた医師の松崎道幸さんから、
これからスタートする第二次裁判=子ども脱被ばく裁判に対する、メッセージを寄せていただきました。

 *******************************

第二次疎開裁判スタートに対する抱負

松崎道幸(道北勤医協 旭川北医院院長)
2014年8月17日


福島第一原発事故による放射線被ばくが、どのような健康被害がもたらされるかについては、政府が様々なことを言っていますが、
私は、日本政府が、4つの大きな誤りをおかしていると考えています。

日本政府の4つの誤り
1. 放射線被ばくで病気になるリスクを、一ケタ近く小さく見積もっている(放射線被ばくの健康影響の過小評価)
2. 被災地域の放射線被ばく量を、きわめて小さく見積もっている(放射線被ばく量の過小評価)
3. 小児甲状腺がんを、被ばくと関係ないと断定している
4. がんだけでなく、様々な病気が増えるおそれがあることを無視している(チェルノブイリの教訓の無視)


第一の誤りは、
どれだけ放射線を浴びると、どれだけがんの危険が増えるかという、いちばん基本的な前提が、大きく間違っていることです。
放射線被ばくの健康影響についての、最も信頼できる研究(最近の医療被ばくデータ)によると、
放射線被ばくによって、がんとなる危険は、政府やICRPの主張よりも、一ケタ近く大きいことがわかっています。

第二の誤りは、
「モニタリングポスト」や「個人線量計」で測った数字を使って、福島の人々がさらされている放射線被ばく量は、とても少ないと言い続けていることです。
政府は、この二つの誤りを正さずに、毎年20mSv被ばくする地域でも「生活可能である」として、
病院の「放射線管理区域」の、20倍も線量の高い場所への、帰還を進めようとしています

第三の誤りは、
すでに、福島の100名近くの子どもさんに、甲状腺がんが発見されていますが、
それを、原発事故による放射線被ばくと関係ない、と断定していることです。
今回の甲状腺がんの原因については、被ばくと関係があるとするデータと、ないとするデータが出されていますが、
発見された小児甲状腺がんの男女比は、放射線被ばく型(男女比が1対1に近い)
これに対して、「自然発生」小児甲状腺がんでは、男女比が1対5前後であると考えられますから、
注意深く検診を続けることが大切、と考えます。

第四の誤りは、
被ばく量と被ばくの健康影響の両方を、とても少なく見積もった対応を前提にして
福島の住民には明らかな健康被害は起きていないし、これからも起きないだろう、と断定していることです。
このような誤った認識に基づいて、今回の原発事故の健康被害を、正しく予測できるはずがありません。

ちなみに、日本政府の発表した人口動態統計をもとに解析すると、
線量の高い4県(茨城・福島・宮城・岩手)の自然死産率は、福島事故の9ヶ月後から、有意に12.9%増加している事がわかりました。
それ以外の日本の地域で、このような増加は見られていません
(2014年2月6日発行のドイツの放射線防護専門誌「放射線テレックス(Strahlentelex)」650-651号に掲載された論文による)

チェルノブイリ事故後、ベラルーシでは、小児腫瘍罹患率が100倍に増えました。
いくら貧困や衛生状態の悪化が発生しても、それだけで、数年後に、平常時の10~100倍もの小児腫瘍が発生することはありません。
小児腫瘍の増加が、チェルノブイリ事故に伴う放射線被ばくによってもたらされたことを、強く示唆しています。

このことは、福島事故に、どのような意味を持つでしょうか。
福島の子どもたちの放射線被ばく量が、チェルノブイリの10分の1であると仮定しても、
福島の子どもたちの小児腫瘍が、被ばく前の10倍に増える可能性がある、と考えなければなりません。
放射線被ばくは、がんだけでなく、脳卒中、心臓病をはじめとした、全身の様々な病気を増やしますから、
現在、福島などで、事故前の、10倍以上の空間線量の地域に住んでおられる地域の方々には、
がんだけでなく、心臓病・脳卒中・呼吸器疾患など、全身の様々な病気が、増える心配が大いにあります

これ以上の、放射線被ばくによる被害を防ぐためには、第二次疎開裁判に勝ち抜くことが、絶対に必要です。
そのためには、福島原発事故における、日本政府の4つの誤りを、多くの人々に知らせてゆくことが重要だ、と考えます。

以上。
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「集団的自衛権はいわば『包装紙』。破ると『戦争』という中身が出てくるんです」アーサー・ビナード氏

2014年08月18日 | 日本とわたし


集団的自衛権を問う

言葉にごまかされるな

詩人 アーサー・ビナードさん(46)
米ミシガン州出身。
大学で英米文学を学び、1990年に来日。
日本語で詩を作り始める。
2001年、詩集『釣り上げては』で、第6回中原中也賞。

言葉は何かを伝えたり、世界をおもしろく見つめたりするもの。
日本語で詩を書いていて、僕はそう思っています。
でも、「人をだます」ためにも使われることを忘れてはいけない。

米国は、朝鮮戦争(1950~53年)で、宣戦布告していません
ずっと『警察行動』と言っていました
その後のベトナム戦争宣戦布告せず『国防』として戦い続けました

日本は今、米国の下請けで、戦争ができる国になろうとしています。
それが『集団的自衛権』という言葉で、ごまかされようとしている気がします。
集団的自衛権は、いわば『包装紙』。
破ると『戦争』という中身が出てくるんです。


オバマ大統領が、4月に来日したとき、
「大統領が、集団的自衛権の行使容認を支持」と報じられました。
僕は『支持』じゃなく、『指示』だったと捉えています。
米軍にやらせたくないことを日本にやってもらうため、
「自衛隊をどこにでも出せるようにしろ」と。


米国による『押しつけ』と感じず、安倍首相たちも突き進んでいます。
『戦争放棄』をうたう憲法を理由に、断ることができるのに。
集団的自衛権を認めてしまったら、米国の言いなりになるだけ。
『属国』のようになってしまいます。


米国は、自由や民主主義を唱えていますが、政府は憲法違反をくり返し、国家権力に歯止めをかけられずに来てしまった。
日本には、そんな国になってほしくない。
政治家の言葉にごまかされてはいけない。

(聞き手・武田真志夫)




戦争を美しく語るものを信用するな。
彼らは決まって、戦場に行かなかった者なのだから。
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戦争はいつも『秘密』から始まる!特定秘密保護法パブコメ8月24日締切!意見を送ろう!何度でも!

2014年08月18日 | 日本とわたし
【戦争はいつも「秘密」から始まる。特定秘密保護法パブコメ8月24日締切】

やめろと言わないのは「許した」と同じ。
ぜひ意見を送って下さい。
様々な意見を、ひとり何通でも出せます。


◆「特定秘密の保護に関する法律施行令(案)」に対する意見募集
http://urx.nu/aXgi

◆「特定秘密の指定及びその解除並びに適性評価の実施に関し統一的な運用を
図るための基準(仮称)(案)」に対する意見募集
http://urx.nu/b4gP


【パブコメのタネ】

●日弁連文例集
http://www.nichibenren.or.jp/activity/human/secret/about.html
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/activity/data/secret/public-comment.pdf

●秘密保護法対策弁護団
http://nohimituho.exblog.jp/23043884

●パブコメの種
http://stophimitsu.cocolog-nifty.com/blog/files/pabukomenotane.pdf

●内閣官房の秘密保護法に関する逐条解説
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/jyouhouhozen/dai2/sankou4.pdf

●藤沢の会
http://fujisawa.boy.jp/PUB-COMME/index.htm

●市民の会
http://www.himituho.com/パブコメ原案/


【もの言えぬ空気・監視社会の恐ろしさ】
秘密保護法集団的自衛権、今秋の国会で提出されるかといわれる共謀罪は、戦争する国づくりへのセット
政府は、秘密法をつくることによって、秘密はある、あってもいい、近寄らないのは当然だという「空気」を、蔓延させようと狙っています。
すでに、「こんなこと言ったり書いたり逮捕されちゃうんじゃないの?」という声、ちらほら聞こえませんか?
恐ろしい自粛の空気です。


【問題点】

■特定秘密の対象の範囲が広すぎ!かつ曖昧!
秘密保護法が想定する「防衛」「外交」「特定有害活動の防止」「テロリズムの防止」とは、どんな情報でもどれかに該当してしまう。
さらに、刑罰の適用範囲も、曖昧で広範
どんな行為について犯罪者として扱われ、処罰されるのか、全く分からない。
正当な内部告発も萎縮

■報道・知る権利の侵害
特定秘密を漏らす行為のみならず、知ろうとする行為も処罰の対象となるため、取材・報道の自由が阻害され、国民の知る権利が失われる
「特定秘密」を取得し漏えいする行為だけでなく、それを知ろうとする行為も、「特定秘密の取得行為」として、処罰の対象

■国家による情報の独占
「何が秘密になるのか、それも秘密です。国家が秘密を決めます。秘密なので国民には教えません」→どんどん拡大し暴走 

■秘密指定の妥当性を評価する第三者機関に、行政のトップである首相が関与
機関の独立性がまったく担保されない。

■秘密の指定期間が最長60年と、海外に比べ異様な長さ
しかも、進行中の外交交渉等に、不利益を及ぼす情報や防衛情報などの例外が設けられ、国民が指定の解除を求めようにも、その手続きについての規定がない

などなど。
コメント (4)
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