6) 「ぶく」に付いて
「ぶく」とは、焼成した作品の表面が、「あばた状」に、大小の凸凹に成る現象です。
素地(土)が原因の場合と、釉が原因である場合が、有ります。
① 素地が原因の場合
a) 土練り、特に菊練が不十分で、土の中に空気(気泡)が閉じ込められていた為。
対策: 土練りを十分練習し、空気が入らない様にする。
b) 土の耐火度が低いのに、高い温度で焼成した。
(特に赤土は、耐火度が低いので注意)
対策: 耐火度の低い土は、単味で使用しないで、耐火度の高い土を混ぜて使う。
c) 窯の温度を急激に上昇させた。
対策: 耐火度の低い土は、特に「ゆっくり」温度を上げる事。
d) 還元が強すぎた。
e) 土に有機物が多く含まれ、焼成で「ガス」が大量に出た。
対策: 市販の土は、問題有りませんが、自分で採取した土は、土造りの段階で、
不純物(特に有機物)は、取り除いておく事です。
又、素焼の温度を、やや高めし、有機物を燃焼してしまう事です。
f) 焼く温度が低すぎ、有機物が、燃え残った、又は釉が十分熔ける程度に温度が高くない
・ 一般的には、素焼の温度で、有機物は、ほとんど、燃え尽きるはずです
しかし、素焼時間が短い場合や、有機物が多い場合などで、燃え残る場合も
有ります。
対策: 焼成温度を高くすると同時に、「ねらし」時間を長く取る。
・ 釉が厚く掛かり、温度不足の場合、釉が斑に熔ける。この場合は、光沢の無い
釉と成ります。
対策: 再度、前回より高い温度で、焼成する。
② 釉が原因の場合
a) 釉を厚くかけ過ぎた。
釉の種類によって、厚掛の釉、薄掛の釉、普通の厚さ釉と、厚みに差を付けます。
薄い場合: 葉書1枚の厚さ= 0.1mm ~ 0.3mm
厚い場合: 葉書3枚の厚さ= 0.5mm ~ 1.0mm
b) 釉の流動性が少ない。
釉に流動性が少ないと、後で述べるように、素地からの気泡や「ガス」の発生で、
釉が盛り上がる場合が有ります。
対策: 釉に流動性を持たせます。
c) 焼成温度が高すぎて、釉が沸騰してしまった。
対策: 市販されている釉は、焼成温度が表示されています。
自分で調合した釉は、複数回テストピ-スで、試し焼きし、適正温度に
調整します。
d) 釉に原料の「あく」が残っていた。
対策: 特に灰釉の原料の各種灰は、「あく」抜きを十分行います。
e) 釉を二重掛けした際、釉の熔ける温度に、差が有った。
対策: 釉の二重掛けは、各々単味の場合とは、かなり違った熔け方をします
直ぐに本番で使わず、テストピースで試し焼きします。
f) 釉の原料を、細かくし過ぎた。
対策: 細かくし過ぎない事。
原料を微粉末にし過ぎると、気泡やガスが、表面から逃げ難く成ります
g) 酸化銅や酸化鉄は、1100℃~1200℃で、分解し酸素を放出します、
その際、そのガスが表面から、抜けきらずに、釉の中に残った。
対策: 必要な温度に成ったら、十分「ねらし」を行う事。
「ねらし」とは、一定温度を保持する事です。
陶芸釉薬の失敗と対策
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