⑥-1 米色(べいしょく)青磁
基本的に、青磁は還元焼成で、青色に焼き上がりますが、同じ釉を掛けても、酸化焼成すると、
黄色み掛かった、黄金色に焼き上がります。この色を、日本では米色と呼びます。
米の籾殻の様な、色をしている事から、名付けられました。
意図的に、最初から、作り出した色なのか、失敗作で出現したのかは、諸説あります。
) 二重貫入の米色青磁
粗く太い貫入の中に、細く小さい貫入った、二重貫入の米色青磁は、我が国で特に人気が
あります。貫入には、赤錆の様な色が付いています。これは、使用中に自然と、付いたようです。
(貫入については、後日お話しします。)
昭和初期に、南宋官窯(郊壇下官窯後期)で、破片が発見され、ここで焼成されたと、
見なされます。しかし、龍泉窯の一部である渓口窯(けいこうよう)でも、米色青磁が焼成
されていた事が、知られていました。
尚、釉は米色を帯びた灰青色で、胎土が灰白色であり、二重貫入があるのも、郊壇官窯の
特色になっています。
⑥ー2 青磁色の謎
青磁の色は、古来より、鉄の色によって、表出したものです。近年、酸化クロムを加えて、青色を
出している場合が多いです。それ故、クロム入りの釉は、青磁の部類に含めないと言う、研究者も
います。クロムは、明治以降安価な、青磁の器や、タイルなどに使用される様に成ります。
) 鉄が青又は緑色の理由
a) 純粋な鉄元素の色は、銀白色をしています。即ち、ステンレス・スチールの様な色です。
地球上にある物質は、空気中の酸素の影響で、ほとんどが、酸化物に成っています。
鉄も酸化第一鉄(FeO)と酸化第二鉄(Fe2O3)の状態ですが、ほとんどは、赤錆である
酸化第二鉄の状態に成っています。
b) 酸化第一鉄は、ほとんど見る事は出来ません。ただし、厚めのガラスを、割った際にその断面が、
青み掛かった緑色をしているのが、見受けられます。この色が第一鉄で、青磁の色と成っています。
c) 鉄の成分は、釉の中にも有りますが。胎土の中にも存在します。
窯の中で、酸素が少なく成る様に、焼成する方法を、還元焼成と、言いますが、釉や胎土の鉄分の
酸素が、強制的に剥ぎ取られ、酸化第一鉄に変化し、それが、青磁の青緑色に成ります。
薪窯で焚いた場合、火は軟らかく、炎も長く延びますので、自然に還元焼成に成り易いですので、
昔は青磁色を出すのに、さほど苦労は、無かったと、思われます。
ちなみに、酸素分の多い窯の場合には、鉄分の含有量によって、黄瀬戸、天目、飴、柿、瀬戸黒釉
と成ります。
d) 青磁釉薬の調合
イ) 釉の中に、鉄分が多いと、いくら還元を掛けても、還元仕切れずに、茶色に成ってしまいます。
青磁色を出すには、鉄分は2~3%の範囲内で、淡い色の場合は、0.8%、薄い藍色では、
1%程度が良いと、云われています。
尚、0.5%程度では、青白釉に成り、5%では飴釉に成ります。
◎ 但し、この割合は、胎土と釉の合計の鉄の、含有量を表します。
ロ) 胎土と釉の鉄分の含有量
ある研究者が、中国北方の、焼成された青磁を、化学分析した結果、酸化第二鉄が、
胎土に1.7~1.9%、酸化第一鉄が1.3%含まれ、釉にも2%程度含まれていたそうです。
(注目は、加えられた、酸化第二鉄が、全て酸化第一鉄に、変化している訳ではありません。)
ハ) 青磁釉には、長石釉と石灰釉があります。
以下次回に続きます。
基本的に、青磁は還元焼成で、青色に焼き上がりますが、同じ釉を掛けても、酸化焼成すると、
黄色み掛かった、黄金色に焼き上がります。この色を、日本では米色と呼びます。
米の籾殻の様な、色をしている事から、名付けられました。
意図的に、最初から、作り出した色なのか、失敗作で出現したのかは、諸説あります。
) 二重貫入の米色青磁
粗く太い貫入の中に、細く小さい貫入った、二重貫入の米色青磁は、我が国で特に人気が
あります。貫入には、赤錆の様な色が付いています。これは、使用中に自然と、付いたようです。
(貫入については、後日お話しします。)
昭和初期に、南宋官窯(郊壇下官窯後期)で、破片が発見され、ここで焼成されたと、
見なされます。しかし、龍泉窯の一部である渓口窯(けいこうよう)でも、米色青磁が焼成
されていた事が、知られていました。
尚、釉は米色を帯びた灰青色で、胎土が灰白色であり、二重貫入があるのも、郊壇官窯の
特色になっています。
⑥ー2 青磁色の謎
青磁の色は、古来より、鉄の色によって、表出したものです。近年、酸化クロムを加えて、青色を
出している場合が多いです。それ故、クロム入りの釉は、青磁の部類に含めないと言う、研究者も
います。クロムは、明治以降安価な、青磁の器や、タイルなどに使用される様に成ります。
) 鉄が青又は緑色の理由
a) 純粋な鉄元素の色は、銀白色をしています。即ち、ステンレス・スチールの様な色です。
地球上にある物質は、空気中の酸素の影響で、ほとんどが、酸化物に成っています。
鉄も酸化第一鉄(FeO)と酸化第二鉄(Fe2O3)の状態ですが、ほとんどは、赤錆である
酸化第二鉄の状態に成っています。
b) 酸化第一鉄は、ほとんど見る事は出来ません。ただし、厚めのガラスを、割った際にその断面が、
青み掛かった緑色をしているのが、見受けられます。この色が第一鉄で、青磁の色と成っています。
c) 鉄の成分は、釉の中にも有りますが。胎土の中にも存在します。
窯の中で、酸素が少なく成る様に、焼成する方法を、還元焼成と、言いますが、釉や胎土の鉄分の
酸素が、強制的に剥ぎ取られ、酸化第一鉄に変化し、それが、青磁の青緑色に成ります。
薪窯で焚いた場合、火は軟らかく、炎も長く延びますので、自然に還元焼成に成り易いですので、
昔は青磁色を出すのに、さほど苦労は、無かったと、思われます。
ちなみに、酸素分の多い窯の場合には、鉄分の含有量によって、黄瀬戸、天目、飴、柿、瀬戸黒釉
と成ります。
d) 青磁釉薬の調合
イ) 釉の中に、鉄分が多いと、いくら還元を掛けても、還元仕切れずに、茶色に成ってしまいます。
青磁色を出すには、鉄分は2~3%の範囲内で、淡い色の場合は、0.8%、薄い藍色では、
1%程度が良いと、云われています。
尚、0.5%程度では、青白釉に成り、5%では飴釉に成ります。
◎ 但し、この割合は、胎土と釉の合計の鉄の、含有量を表します。
ロ) 胎土と釉の鉄分の含有量
ある研究者が、中国北方の、焼成された青磁を、化学分析した結果、酸化第二鉄が、
胎土に1.7~1.9%、酸化第一鉄が1.3%含まれ、釉にも2%程度含まれていたそうです。
(注目は、加えられた、酸化第二鉄が、全て酸化第一鉄に、変化している訳ではありません。)
ハ) 青磁釉には、長石釉と石灰釉があります。
以下次回に続きます。