わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

朝鮮の陶磁器(粉青沙器3)

2011-08-24 22:30:01 | お茶と「茶の湯」と茶道具(茶陶)
3) 高麗茶碗 (こうらいちゃわん)

   朝鮮の陶磁器は、我が国にも、大きな影響を与えます。

   特に、茶の湯の世界では、高麗茶碗と呼ばれる、抹茶々碗が渡来し、茶人の間で、珍重されます。

 ③ 三島手: 室町末頃から、井戸茶碗とともに、人気を博した茶碗です。

   粉青沙器の一種で、素地に印刻した後、白土を掛け、白土を拭き取ると、刻印部分に模様が白く

   浮き上がる技法で、三島、彫り三島(掻き落し)、刷毛目三島、花三島などがあります。

    (尚、三島の名前は、我が国で付けられたものです。)  

  ) 三島手: 素地に木型の小紋を、連続的に刻印し、白化粧土を掛けてから、拭き取り、文様を

    象嵌風に白く表します。 李朝初期~中期にかけて、朝鮮南部一体で焼かれたものです。

    秀吉の文禄慶長の役で、窯場は荒廃し、次第に衰退していきます。

  ) 刷毛目三島: 三島の最後の工程を、省略した物とも思われます。

    即ち、白土を拭き取らずに、仕上げたものです。

    尚、刻印文様の無い、無地刷毛目茶碗もあります。約束事として、外側腰以下は、刷毛目が

    無い事です。 時期的には、三島手と同じで、同じ窯で焼成されたと思われます。
 
  ) 花三島茶碗(李朝): 花文様を全面に印刻し、白化粧土を掛けた茶碗です。

     文様は、梅花、菊花や四弁の花文などが、帯状に2~5段連なっています。

     中には、象嵌模様を併せ持った、茶碗もあります。

 ④ 粉引茶碗(又は粉吹茶碗): 三島手との違いは、白土の掛け方の差です。

   白土を、釉薬と同じ様に、流し掛けたり、漬け掛けして、表面に塗ります。

   素地は、黒褐色の肌理の細かい土で、薄作りの作品が多いです。

   又、景(けしき)として、故意に火間(ひま)を作っている場合が多いです。

   火間とは、茶碗の外側に、長めの三角形の塗り残しを、作るものです。

   更に、雨漏りと称し、一種の「しみ」が浮き出てくるのも、景として茶人に喜ばれます。

   茶碗のみならず、懐石で使用される、徳利もあります。

   著名な粉引茶碗に、鴻池伝来の銘「宇治山」があります。

 ⑤ 堅手茶碗(かたてちゃわん): 粉引と同様に厚めの、白土が掛かっています。

   名前の由来は、手触りが堅い事(磁器質)からと、言われています。

   李朝初期~中期にかけて、慶尚南道の河東や、金海などの窯で、焼かれたものです。

  ) 古堅手は特に、人気があり、作行は軽快で、轆轤目が目立ち、竹の節高台で、梅花皮

   (かいらぎ)もあり、雨漏りと言い紫色の「しみ」は、茶人に珍重されます。

  ) 釜山近郊の金海窯産は、金海堅手と呼ばれ、ピンクの斑文(御本と言う)が出ていつ物が

     多いです。釉は潤いのある柔和ですが、貫入が荒く入っています。

  ) 堅手茶碗の名品に、銘「神無月」があります。

 ⑥ 我が国でも、白化粧土を使った、茶碗が作られる様に成ります。

   朝鮮の窯場が、秀吉の出兵で、大打撃を受け、粉青沙器は生産を止めてしまいます。

   その為、茶人の需要に応じる為、我が国でも製作される様に成ります。

  ) 江戸前期に、古八代焼(高田焼=こうだやき)で青磁象嵌筒茶碗が、焼かれています。

     銘「雲鶴」、銘「千代鶴」などがあります。

     又、江戸後期には、赤膚焼でも、三島写象嵌文茶碗を作っています。

  ) 古曾部焼(高槻市古曾部)、柳原焼(久留米市柳原)などで、江戸後期に、李朝の刷毛目写

   茶碗が作られています。その他、京都の青木木米も、刷毛目写茶碗を作っています。


以上で、朝鮮の陶磁器の話(粉青沙器)を、終わります。

次回より別のテーマで、お話しする予定です。
   
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