わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

青磁7(青磁色の謎2)

2011-08-16 21:30:29 | 各種の釉(鉄、銅、その他)
鉄分が青や緑色に、発色するとは、とても不思議な気がしますが、鉄分を含んだ胎土と、釉の組み合わせ

更に、還元焼成の結果により、青や緑色になります。

⑥ー2 青磁色の謎

 d) 青磁釉薬の調合

  ハ)青磁釉には、長石釉と石灰釉があります。 

    長石釉は、粘りのある釉で、淡い緑色をしています。砧青磁(後で取上げます)がこの釉です。

    石灰釉は、塩基性成分の石灰を、加えていますので、黄色っぽくザラザラした、感じに成ります。

    我が国では、「天竜寺青磁」と呼ばれる青磁が、石灰系の青磁との事です。

   ・ 一般的な青磁釉の調合は、長石(石粉)と木灰(酸化Caが大半)、石灰石(炭酸Ca)

      藁灰(珪酸)を合わせたものです。これは、有田焼などで使われる、染付用の釉の調合と

      同じだそうです。

     例 対州長石(又は有田の陶石): 柞灰 =50:50 (又は70:30)

       これに、弁柄を2%加えます。

      柞灰(いすはい): 鉄分の少ない灰で、有田焼等の磁器用の白い釉に 使います。

       九州の宮崎地方に、生えている柞(ゆす、ゆん)の木 が原料です。
    
   ・ 安定した青磁釉は、灰釉(かいゆ)と呼ばれる、以下の調合例があります。 

      長石(対州長石:アルカリ分が多い): 60%、

      土灰(どばい=雑木の灰)     : 30%

      藁灰(わらはい)           : 10%

      弁柄(酸化第二鉄)         : 2%

     人によっては、これ以外に、バリウム(色を鮮やかする)、酸化亜鉛(亜鉛華)、酸化錫、

     酸化ストロンチューム等を、加える事も有ります。

  二) 鉄分の粒子の細かさが、発色の良し悪しを、左右します。

    今までは、ガラス質の中に、酸化第一鉄が溶け込んでいると、考えられていました。

    しかし、数十時間程度の、短い時間内に、鉄がガラスに溶け込むのは、ほとんど不可能で

    ある事が、次第に判明して来ました。

    現在では、顕微鏡などから、小さな鉄の粒子が、ガラス質に浮いている状態と、観察される様に

    成ります。 この粒子が細かい程、良い色に発色するそうです。

    即ち、微粒子に光が当ると、青磁色以外の色は吸収され、青磁色のみが反射され、我々の眼に

    入るとの事で、粒子が細かい程、均等に散らばり、反射光も柔和な感じと成ります。

  ホ) 鉄の種類

     釉や胎土に入れる鉄の種類は、一般に弁柄や珪酸鉄です。どちらも同じ様な働きをします。

     過去には、硫酸鉄(緑礬=ろうは)が使われ、市販されていた様ですが、近頃は見受け

     られません。昔は、弁柄もこの緑礬を細かく摺り潰して、使っていたそうです。

     鉄も純粋の鉄では、良い結果が出ないと言います。

    ・ 胎土に鉄分を混ぜ込む場合、鉄の粒子が残らない様にします。

      残ると、鉄が斑点状に表れます。出来れば、泥状にして良く混ぜ、乾燥後に良く練ってから、

      使います。

 e) 青磁の釉は、厚く掛ける事です。

 以下次回に続きます。
   
コメント
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