朝鮮の象嵌青磁は、12~13世紀にかけて、全盛期を迎えます。
しかし、14世紀に成ると、優雅な翡色青磁や、精巧な象嵌青磁は、大きく変化して行きます。
即ち、販売の為の大量生産方式が取り入れられ、新しい器形や文様が増加してきます。
それに伴い、技術的に劣る作品が、多くなります。
15世紀中頃より、象嵌青磁から自然発生的に発生したのが、粉青沙器(ふんせいさき)です。
特に、15世紀前半に、多様な技術が開発され、16世紀前半に白磁が取って代わる間に、韓国陶磁器の
歴史上最も独創性を、発揮した陶磁器を、作る上げていきます。
1) 粉青沙器(ふんせいさき)とは
命名は、意外と新しく1930年頃の書物(著者は、韓国の高某氏)に「粉粧灰青沙器(ふんしょう
かいせいさき)」と記述されていた物を、簡略して「粉青沙器」と呼び、これが学術用語になり
一般に使わる様にます。
① 特徴
) 粉青沙器は、白土粉装技術と、その文様にあります。
) 胎土は、木節粘土で、長石を主成分とした、灰などの生釉です。
) 白土粉装の仕方によって、独自の美を表現しています。
技法としては、象嵌技法、印花技法(三島)、彫花技法(陽刻、陰刻技法)、剥地(はくち)技法、
鉄絵技法、刷毛目技法、扮装技法(粉引)など、種類は多様です。
② 象嵌技法: 青磁象嵌技法の延長上にある、技法ですが、文様や釉が異なります。
即ち、文様も水辺の水禽(すいきん)類、蓮花文、魚龍文、唐草文と青磁象嵌の流れを、
汲んでいますが、幾何学文、牡丹文、蓮弁文などもあります。釉は青磁ではありません。
線象嵌と面象嵌の、二通りの方法がありますが、両方を組み合わせた作品もあります。
③ 印花技法: 小さな印を、器の全面を覆い尽くす様に捺し、その後、白土を塗り付ける技法です。
小さな菊花文等の印を束ね、繰り返し捺印する事により、同じ文様を反復、繰り返しています。
尚、我が国では、この方法を「三島」と呼んでいます。
④ 剥地技法: 我が国では、「掻き落し」と呼ばれている技法です。
鉄分を含む胎土の表面に、白土を掛けた後、文様を描き、その背景部分を、削り取ります。
胎土と白化粧土との、色の対比が効果を、引き立たせます。
逆に、文様部分を掻き落し、背景部分を、白く仕上げる方法もあります。
⑤ 鉄絵技法: 胎土に白化粧を施し、その白い面に鉄(酸化鉄、弁柄など)で、文様を描きます。
文様は、白地に黒や褐色で表れます。
⑥ 刷毛目技法: 筆や刷毛を用いて、化粧土を塗り、筋状に刷毛の通た跡が残り、文様に成ります。
刷毛の動かす方向や、刷毛の細かさの種類、力の入れ具合の差によって、効果も大きく変化します。
全面ではなく、数箇所を大胆に、描く事により、一層効果的に、表現されます。
⑦ 扮装技法: 我が国では、「粉引き」(こひき)と呼ばれる技法です。
化粧土を、釉の様に使う方法です。即ち、化粧土を流し掛けしたり、漬け掛けて表面を覆う技法で、
土の色を隠し、白に見せ掛ける為に行います。その後、施釉して焼成します。
・ 注意点は、化粧掛けするタイミングです。素地の種類と、乾燥度によっては、作品が完全に
崩れる事も多いです。
以下次回に続きます。
しかし、14世紀に成ると、優雅な翡色青磁や、精巧な象嵌青磁は、大きく変化して行きます。
即ち、販売の為の大量生産方式が取り入れられ、新しい器形や文様が増加してきます。
それに伴い、技術的に劣る作品が、多くなります。
15世紀中頃より、象嵌青磁から自然発生的に発生したのが、粉青沙器(ふんせいさき)です。
特に、15世紀前半に、多様な技術が開発され、16世紀前半に白磁が取って代わる間に、韓国陶磁器の
歴史上最も独創性を、発揮した陶磁器を、作る上げていきます。
1) 粉青沙器(ふんせいさき)とは
命名は、意外と新しく1930年頃の書物(著者は、韓国の高某氏)に「粉粧灰青沙器(ふんしょう
かいせいさき)」と記述されていた物を、簡略して「粉青沙器」と呼び、これが学術用語になり
一般に使わる様にます。
① 特徴
) 粉青沙器は、白土粉装技術と、その文様にあります。
) 胎土は、木節粘土で、長石を主成分とした、灰などの生釉です。
) 白土粉装の仕方によって、独自の美を表現しています。
技法としては、象嵌技法、印花技法(三島)、彫花技法(陽刻、陰刻技法)、剥地(はくち)技法、
鉄絵技法、刷毛目技法、扮装技法(粉引)など、種類は多様です。
② 象嵌技法: 青磁象嵌技法の延長上にある、技法ですが、文様や釉が異なります。
即ち、文様も水辺の水禽(すいきん)類、蓮花文、魚龍文、唐草文と青磁象嵌の流れを、
汲んでいますが、幾何学文、牡丹文、蓮弁文などもあります。釉は青磁ではありません。
線象嵌と面象嵌の、二通りの方法がありますが、両方を組み合わせた作品もあります。
③ 印花技法: 小さな印を、器の全面を覆い尽くす様に捺し、その後、白土を塗り付ける技法です。
小さな菊花文等の印を束ね、繰り返し捺印する事により、同じ文様を反復、繰り返しています。
尚、我が国では、この方法を「三島」と呼んでいます。
④ 剥地技法: 我が国では、「掻き落し」と呼ばれている技法です。
鉄分を含む胎土の表面に、白土を掛けた後、文様を描き、その背景部分を、削り取ります。
胎土と白化粧土との、色の対比が効果を、引き立たせます。
逆に、文様部分を掻き落し、背景部分を、白く仕上げる方法もあります。
⑤ 鉄絵技法: 胎土に白化粧を施し、その白い面に鉄(酸化鉄、弁柄など)で、文様を描きます。
文様は、白地に黒や褐色で表れます。
⑥ 刷毛目技法: 筆や刷毛を用いて、化粧土を塗り、筋状に刷毛の通た跡が残り、文様に成ります。
刷毛の動かす方向や、刷毛の細かさの種類、力の入れ具合の差によって、効果も大きく変化します。
全面ではなく、数箇所を大胆に、描く事により、一層効果的に、表現されます。
⑦ 扮装技法: 我が国では、「粉引き」(こひき)と呼ばれる技法です。
化粧土を、釉の様に使う方法です。即ち、化粧土を流し掛けしたり、漬け掛けて表面を覆う技法で、
土の色を隠し、白に見せ掛ける為に行います。その後、施釉して焼成します。
・ 注意点は、化粧掛けするタイミングです。素地の種類と、乾燥度によっては、作品が完全に
崩れる事も多いです。
以下次回に続きます。