わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話11 市販の釉9 茶(褐色)系、赤系

2013-08-01 22:25:28 | 新釉(薬)の話

1) 市販されている、茶系又は褐色系の釉には、以下の様なものがあります。

   飴(あめ)釉、蕎麦(そば)釉、来待(きまち)釉、柿天目釉等が代表的な釉です。

2) 赤系の釉には、鉄による発色と、銅による発色があります。

   但し、同じ赤でも鉄釉と銅釉の赤では、大きな差があります。

   前者では、鉄結晶釉、陶赤などがあり、後者には、辰砂(しんしゃ)釉が代表的な釉です。

1) 茶系、褐色系の釉は鉄釉です。

  鉄は鉄釉七変化と言われる程、多様な色を呈します。

  素地の種類や、釉の調合、釉掛け、窯の構造、窯詰めの仕方、燃料の種類、窯の焚き方により、

  黒、赤、茶、褐色、緑、黄色、青、白も出るとの事です。 

 ① 飴釉: 鉄の配合量によって、黒飴釉、飴釉釉、黄飴釉などが市販されています。

   (但し、黄飴釉は、カタログでは余り見る事はありませんが・・)

   鉄分が、釉に完全に溶け込んでいる釉です。いずれも光沢が強く出ます。   

  ・ 飴マット釉: 基礎釉にマット釉を使い鉄分を添加した釉です。

 ② 蕎麦(そば)釉、黒蕎麦釉: 飴釉や黒飴に緑黄色の結晶が部分的又は全体に出る釉です。

    結晶を出さない方法などは、第二章でお話します。

  ③ 来待釉: 島根県松江市宍道町来待に産出する、来待石を主成分に土灰を調合した釉です。

   褐色~赤褐色(場合によっては、黄伊羅保風)になり、古来より石州(石見)瓦や甕(かめ)など

   の陶器に使われてきました。 酸化焼成で行うと良いでしょう。

  ④ 柿天目釉: 赤味があり、鈍い光沢のある茶色の釉です。甕(かめ)等の雑器に使われて

     います。還元焼成に向いています。

    ・ 柿釉: 光沢のある茶色の釉で、酸化焼成で行います。還元焼成では黒~褐色になります。

  ⑤ 鉄砂釉: 褐色地に茶色の微結晶の釉です。酸化、還元ともOKです。

  ⑥ 鉄釉: 茶色の光沢釉です。焼成の条件によっては、次の赤系の釉になる場合もあります。

  ⑦ 鉄マット釉: 茶色の艶消し釉です。酸化、還元ともOKです。

  ⑧ ワラビ釉: 酸化焼成で、飴釉地に、金茶流紋釉となります。

2) 赤系の釉。

  ① 鉄系の釉: 朱赤色の鉄が全面に析出する結晶釉ですので、失透釉です。

     鉄分が釉に溶け込んでいる為、均一の結晶になり易いです。

   ・ 鉄結晶釉: 明るい朱赤色の結晶釉。酸化、還元ともOK.

      カタログには上記の様に記載されていますが、小生の窯(ガス)では綺麗な赤が出ません。

   ・ 陶赤: 上記結晶釉より、くすんだ赤茶色です。    

   ② 銅系の釉: 銅を含んだ釉を酸化焼成すると、緑色に成りますが、還元焼成すると美しい

     赤い色になります。銅及びその化合物は高温で、揮発し蒸発易い為、二重掛けの方法が

     取られますが、市販の釉は、一度掛けで十分効果が出る様です。

     (これらの原理は第二、三章で取り上げる予定です。)

    ・ 辰砂釉: 結晶釉ではありませんので、やや透明性があります。

      白い素地に施釉し還元焼成で、赤紅色が鮮明に出ます。

      焼成温度はSK-7(1230℃)程度で、流れ易い釉です。

  ③ その他の市販されている赤釉と表示のある釉。

    赤志野釉: 緋色の志野釉。還元焼成。

    赤萩釉: 酸化焼成で、茶色の乳濁釉。などがあります。

以下次回(ピンク釉、緋色釉、焼締釉、その他の釉)に続きます。    

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする