R子様より、再々度の以下の相談を受けましたので、ここに記載し、私なりの考えを述べたいと
思います。
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自分でもまだ、どの程度本気で取り組もうとしているのか、あやふやな部分があります。
それも含めて、自分と向き合ってどうしたいのかを探ってる感じです。
* 子供の面倒を見るのはあなた一人でしょうか? 他の生徒にも声を掛けているのでしょうか?。
→私一人だと思います。が、本当に欲しい助手は、轆轤が引ける人のようです。
轆轤が上手だったらいいのにな、と言われたことがあります。
*先生が制作する際には、見学させて貰うか、あなたも先生の脇で制作する事の許可を得ると
良いでしょう。
→先生の作陶する姿は、きちんと見たことがありません。教室が終わった夜遅くに、一人でされ
ているようです。そもそも人に見られたくないようです。
なので、自分が練習する時には、必ずお手本を最初にひいて見せてもらえるようにお願いしています
*乾燥は自然乾燥が理想ですが、時間が掛かってしまいます。私の教室では、ドライヤーを使って
半強制的に乾燥させ、その日の内に、底削りまで終わらせています。
→自然乾燥です。月2回で、中1週間飛ばして(この間に乾燥)3週目に削りです。
新たな作品作りと並行されてる方はいますが、かなり長く工房に通っている人です。
初心者1年生は多分させてくれません。
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習い始めの頃に聞いたのですが、先生曰く、「大半の人が2年以内に辞めていく。
手びねりして、チョッと轆轤回して満足して辞める。だから、そんな人に真剣に教える気になれない」、と。
言ってることは分かるのですが、習う側だって最初から2年で辞めるつもりで習うわけではなく、
やっていくうちに教える側のそういう気持ちを感じ取ってしまったり、
自分の中のモチベーションみたいなものが下がってしまったりってあると思うんです。
長々とスミマセン。今はお手伝いすることに集中しようと思います。
あと、他の工房を見に行ったり体験してみたりして、自分に合う場所を探すことも必要なのでしょうか?
◎ 明窓窯より
もしも貴女が、陶芸を本気に取り組もうとしているならば、ここが踏ん張り処です。
1) 融通の利かない先生や教室のシステムに不満があるとして、「そんな所は辞めて新しい所に
移った方がよっぽど良い」と、言いたい所ですが、それが問題です。
① 先生は暗い感じの人なのでしょうか?
自分で作っている所を見られたくないとの事ですが、何か理由があるのでしょうか?例えば
) 技術を盗まれる事を心配する為。 これは無いでしょう。技術を盗むのが生徒達で
ある事は、むしろ先生にとって喜ばしい事です。盗み取るには、ある程度の技量が必要で
それだけ、生徒が成長した事に成るからです。
) ぶざまな様子を曝(さら)さ無い為。 失敗する所を見せたくない為。これも考え難いです。
陶芸に失敗は付き物です。失敗する事で憶える事も多いからです。失敗を見せる事も
大切な事です。但し、見栄っ張りや、自尊心の強い人は失敗を見せたくないかも知れません
) 気が散ってしまうから? 一人でじっくり陶芸を楽しみたい為。
一番考えられる理由です。意外と気の小さな性質かも知れません。
先生の性格や考え方をじっくり見て下さい。
そこから何かの手立てが見つかるかもしれません。
② 他の場所(教室)に移る事の損得について。
) 利点。
先ず、新たな気分で取り組む事ができます。更に、今までと異なる教授法を受ける事で
なんらかの刺激をうける事になります。その環境が貴女に合っている可能性もあります。
) 問題点。
a) 今まで何回もお話している事ですが、轆轤作業に統一したやり方はありません。
人によってその方法は千差万別です。それ故新たな方法で、混乱が起こる事も多いに
ありえます。
b) 各々の陶芸教室には、独自のシステム(時間、料金など)や教授方法があるものです。
他の教室を見学させて貰う事で、それらはある程度見極める事が出来ますが、内部に
入らないと、解からない事も多くあります。それ故参考程度として下さい。
c) 私の教室の例ですと、他から移っていらした生徒さんは、長続きしません。
本人の希望に合致しない為かも知れません。
本音を言えば、逆に教える側からも、余り歓迎できません。
即ち本人は知らず知らずの内に、なんらかの癖(くせ)が付いている為、それが邪魔を
するからです。教える場合、真っ白の状態の方が、断然教え易いです。
◎ 結論から言えば、他に移る事には賛成できません。
例え、その教室や先生に不満があっても、3年間は我慢してみる事です。
② 先生曰く、「大半の人が2年以内に辞めていく。手びねりして、チョッと轆轤回して満足して
辞める。だから、そんな人に真剣に教える気になれない」、と。
先生の言われる事は、どの教室でも起こっています。だからと言って真剣に教えないと言うのは
少し言い過ぎです。生徒さんから言えば、陶芸はあくまで趣味の範囲内で、十分楽しみ、自分の
使う作品も十分作ったので、これ以上作る必要も無く、逆に邪魔になる恐れがあるので、
ここで辞める決心をしたのかも知れません。
その他、辞める理由は千差万別です。それ故先生も、無理に引き留める事は出来ません。
) 陶芸は3~4年目辺りから面白くなる。
この頃になると、一通りの工程は習い終わる頃となります。ここからが自分なりのオリジナル
作品を、自分の力で作れる様になります。それ故、2~3年目で辞めてしまうのは、
「もったいない」感じです。
) 先生の望みは、轆轤の出来る助手ならば欲しいとのニアンスですが、その助手に成る方は
先生の指導した中の人である必要があります。
上記で述べた様に、轆轤作業には統一したやり方はありませんし、教え方もバラバラです。
それ故、他から引き抜いて助手にすると、先生と助手の間に技術的な事や、陶芸に対する
考え方に差が出て、意見の食い違いが生じます。同じ教室内では困る現象です。
その為、先生の息の掛かった人(教えた人)を助手にする必要があります。
) 前回相談7-2で述べた様に、最小の授業料で陶芸の技術を習得するには、助手に成る
事です。(勿論正式な助手に成れば、給料を貰うのは当然です。)
先生のためらいが何処に有るのかは不明ですが、貴女が陶芸を続ける意思が固い事が
解かれば、轆轤技術の上手下手にかかわらず、貴女を助手(又は、助手的)として認めて
貰える可能性は大きいです。その為にも先生の考え方や、先生の行う作業(陶芸にかかわら
ず)に関心を持って、観察して下さい。
) 轆轤は練習すれば出来る様になりますので、心配する事はありません。
陶芸には手捻りと電動轆轤による制作方法がありますが、全く別な方法で、手捻りが轆轤
作業に役立つ事はありません。教える側からすれば、手捻り後に轆轤を教えるのが一般的
ですが、これは生徒の様子を観察する為(続けられるか?)の方法で、最初から轆轤のみを
選択して習っても何ら問題は有りません。
・ 練習時間が少ないならば、2時間~2時間半の間、轆轤挽きに専念すべきです。
更に、削り作業や焼成もしないで、作っては壊し、作っては壊しを繰り返す事です。
そうすれば、今のままで、練習時間は4~5時間/月と2倍になります。
貴女の教室のシステムがどの様になっているかは不明ですが、土が自由に使えるならば
どんどん土を使う事です。幸い土練機を担当しているとの事ですので、追加料金無しで
轆轤挽きが専念できるのではないでしょうか。
◎ 貴女が「フラフラ」せずに、覚悟を決めて取り組めば、良い結果が得られると思います。
お役に立つ話かどうか解かりませんが、参考にして頂ければ幸いです。
何かあったら相談して下さい。 連絡をお待ちしております。 以上 明窓窯