わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話19 混ぜて作る釉7 鉄釉4(黄瀬戸、その他)

2013-08-14 22:26:13 | 新釉(薬)の話

3) 青磁と黄瀬戸釉。

 ② 黄瀬戸釉。

    黄瀬戸釉は、灰釉の古瀬戸釉を進歩させ、くすんだ色を意図的に改良して、黄色味を帯びた

    釉にしたものと、言われています。それ故、古瀬戸釉と大変似た構成成分になっています。

  ) 前回お話した青磁釉をそのまま、酸化(又は中性炎)焼成すれば、黄瀬戸釉となります。

     即ち、青磁釉と黄瀬戸釉とは、本質的には、同じものと言えます。

     即ち鉄分2%程度外割りで入れて作ります。艶のあるスッキリした色に成りますが、深味も

     少ない釉肌になまります。弁柄はほとんど100%酸化鉄ですが、鉄分を黄土から採る場合

     には、10%程度添加します。更に、40%程度の松灰を添加する事で、釉が熔け易くなり、

     ややマット状にもなり、雑味も加わり深味も出ます。

  ) 釉は素地の色に影響されます。

     信楽の白土には、若干鉄分が含まれますので、褐色掛かった黄色になります。

     磁器土や半磁器土などの白い土では、明るい澄んだ黄色に焼き上がります。

  ) 黄瀬戸釉には、「油揚げ手」と呼ばれる表面が光らず、「油揚げ」の様な外観を持つものが

     あり、理想の黄瀬戸と呼ぶ場合も有ります。

     アルミナ(Al2O3)成分が多くなると、釉が十分熔け切らずに微細な結晶が析出し、失透

     する事で、表面が「かせた」感じになります。

    ・ 黄土は、鉄の含有量は弁柄より少ないですが、アルミナ成分を多く含みます。

  ) 施釉は好みによりますが、薄く掛けた方が透明感のある黄瀬戸と成ります。

4) 伊羅保(イラボ)釉。

  ) 黄瀬戸釉に似た釉に(黄)伊羅保釉があります。流動性のある釉で、焦茶色で強く斑

    (まだら)に流れ落ちる筋(文様)が特徴です。

  ) やや厚掛し、酸化又は還元で焼成しますが、酸化焼成の方が黄色味が強い様です。

     又、薄掛けして、流動を抑え黄色味を強く出す方法もあります。

  ) 成分的には、以下の様な調合例があります。

     ・ 土灰50、黄土50、

     ・ 土灰50、長石50、黄土20

     ・ 土灰50、天草陶石、黄土20

     黄土又はこれに類する土は、各地で採取する事は容易に入手可能です。

     その他の原料も手に入り易いですので、工夫して独自の伊羅保釉を作るのも楽しみです。

  ) 伊羅保には種類も多く、添加物によって色に差がでます。

    ・ 緑流伊羅保: 銅系の釉。     ・ 朝鮮伊羅保: 朝鮮系の釉。

    ・ 紺流伊羅保: 呉須系の釉。   ・ 朱斑滴伊羅保: 朱赤系の釉。

    ・ 鉄流伊羅保: 鉄系の釉。     ・ 青伊羅保: 緑色の条痕。

5) 鉄赤釉。

   赤褐色で光沢のある釉です、渋めの赤から赤味が強い赤まで色々あります。

   均一な発色では無く、赤い斑点や、黄味掛かった斑点がでます。

   ) 弁柄(Fe2O3)10%と骨灰3%を添加すると、黒地に赤い斑点が現れます。

   ) 土灰透明釉に弁柄15%とマグネサイトと骨灰を添加すると、赤く発色します。

   ) タルク釉に骨灰などの燐酸成分を添加すると、酸化還元とも発色しますが、還元焼成の

      方が綺麗に発色し易いです。

次回は銅釉に付いてお話します。

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