1) 市販されているピンク系の釉には、以下の様なものがあります。
ピンク釉、 桜桃釉、コスモスピンク結晶釉などです。
2) 火(緋)色釉には、以下の釉が市販されています。
火色釉、 信楽火色釉、緋色釉、火色焼締釉、その他、火襷(ひだすき)釉など。
但し、火色と緋色の区別がいまいち解かりません。見本の色を見るとほとんど区別が付きません
1) ピンク系の釉について。
① ピンク釉: メーカーによって、酸化、還元ともOKのものと、酸化のみで発色する釉があります
1230℃以上で発色する場合が多い様です。
② 桜桃釉: 明るい桃色に焼き上がります。
③ コスモスピンク結晶釉:
ピンク亜鉛結晶釉: 亜鉛結晶(通常白)がピンク色に発色したものです。
2) 火(緋)色の釉について。メーカーによって火色釉や緋色釉と名前が異なりますが、同じ釉と
思われます。
火(緋)色は登窯や窖窯(あながま)で、薪(まき)による無釉の焼締陶器で得られる赤い色です。
これを釉と見るか、着色と見るかは、議論の分かれる処でしょう。ほとんどガラス質がなく、茶色
味のある赤い色が表面覆っています。この色は薪による場合のみ発生しますので、通常の
ガス窯や電気窯では見る事が出来ませ。(勿論、匣鉢(さや)を使って焼締の火色を出す事は可能
ですが・・) そこで、薪窯と同じ様な色を人的に作り出されたのが、火(緋)色釉です。
① 火色釉: 市販されているポリ容器の釉を見ると、9割以上が水分で、ほんの少し、焦げ茶の
液体が底に沈んでいる状態です。見慣れた釉とは極端に違います。これを良く攪拌して
使います。
) 施釉の方法は、筆や刷毛塗り、又はスプレー掛けで行います。ほんの少量を薄く塗る事で
発色します。濃過ぎると火色は出ずに、汚い茶色に成りますので注意します。
又、火(緋)色を塗ったあと、その上に他の釉を掛けると、緋色は消えてしまいます。
) 火襷状にするには、筆で線状に塗ったり、和紙染めの要領で、細く千切った和紙に釉を
浸し、素焼き面に貼り付けたりします。(本物の火襷は、藁を巻いて発色させます。)
) 還元焼成より酸化焼成の方が、赤い色が鮮明に出ます。
焼成温度範囲は比較的広く、1200~1300℃と成っています。
) 土は古信楽の細めや荒めが良い様です。
② 火色焼き締め釉: 小生の窯では、赤く成らず黄色味掛かった艶消し釉となります。
焼成条件で赤に出ると思われますが・・・
施釉の仕方は、火色と同じで、筆(刷毛)塗りや、霧吹きで薄く掛けます。
3) その他の釉:
① ラスター釉: 金色ラスター、金彩ラスター、オパールラスター、パールラスター(真珠釉)、
マンガンラスター(玉虫ラスター釉)等が市販されています。
一般に酸化焼成で、還元では発色しないとの様です。
② 各種色釉。 顔料を入れた釉ですので、安定した発色になります。
(趣が無い釉との評価があります。)
焼成温度も1200~1250℃程度で、主に酸化焼成で行います。
今まで述べて来た各種色の他、以下の釉が市販されています。
・ マロン釉、チョコレート釉、えび茶釉、セピア色釉、くじゃく(ピーコック)釉、もえぎ黄緑釉、
小豆赤色釉、鼠色釉など。
③ 鍋釉(なべゆ): 土鍋用の釉薬で1200℃以下で使われる釉です。
透明釉、白釉、黒釉、鉄釉、ベージュ釉、からし釉、織部釉、黄色釉、そば釉、クリーム釉など
の釉が市販されています。
④ なまこ(海鼠)釉: なまこの名前の付く釉は色々ありますので、幾つか挙げておきます。
白なまこ、乳白なまこ、緑なまこ、支那なまこ、薄紫なまこ、赤なまこ、黄土なまこ、群青なまこ
灰なまこ、赤斑点なまこ等の名前で、市販されています。
⑤ その他、ここで記載できない程の色々の釉が市販されています。詳細を知りたい方は、釉薬
メーカーのカタログや、ネットで調べて下さい。
今回で市販の釉の話を終わります。
尚、釉の中には説明不足のものも多々ありますが、小生の勉強不足でこれ以上説明出来ませんので
ご勘弁下さい。