わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

新釉の話12 市販の釉10 ピンク系、火(緋)色、その他

2013-08-02 20:33:29 | 新釉(薬)の話

1) 市販されているピンク系の釉には、以下の様なものがあります。

  ピンク釉、 桜桃釉、コスモスピンク結晶釉などです。

2) 火(緋)色釉には、以下の釉が市販されています。

   火色釉、 信楽火色釉、緋色釉、火色焼締釉、その他、火襷(ひだすき)釉など。

   但し、火色と緋色の区別がいまいち解かりません。見本の色を見るとほとんど区別が付きません

1) ピンク系の釉について。

  ① ピンク釉: メーカーによって、酸化、還元ともOKのものと、酸化のみで発色する釉があります

     1230℃以上で発色する場合が多い様です。

  ② 桜桃釉: 明るい桃色に焼き上がります。

  ③ コスモスピンク結晶釉:

     ピンク亜鉛結晶釉: 亜鉛結晶(通常白)がピンク色に発色したものです。

2) 火(緋)色の釉について。メーカーによって火色釉や緋色釉と名前が異なりますが、同じ釉と

   思われます。

   火(緋)色は登窯や窖窯(あながま)で、薪(まき)による無釉の焼締陶器で得られる赤い色です。

   これを釉と見るか、着色と見るかは、議論の分かれる処でしょう。ほとんどガラス質がなく、茶色

   味のある赤い色が表面覆っています。この色は薪による場合のみ発生しますので、通常の

   ガス窯や電気窯では見る事が出来ませ。(勿論、匣鉢(さや)を使って焼締の火色を出す事は可能

   ですが・・) そこで、薪窯と同じ様な色を人的に作り出されたのが、火(緋)色釉です。

  ① 火色釉: 市販されているポリ容器の釉を見ると、9割以上が水分で、ほんの少し、焦げ茶の

     液体が底に沈んでいる状態です。見慣れた釉とは極端に違います。これを良く攪拌して

     使います。

   ) 施釉の方法は、筆や刷毛塗り、又はスプレー掛けで行います。ほんの少量を薄く塗る事で

      発色します。濃過ぎると火色は出ずに、汚い茶色に成りますので注意します。

      又、火(緋)色を塗ったあと、その上に他の釉を掛けると、緋色は消えてしまいます。

   ) 火襷状にするには、筆で線状に塗ったり、和紙染めの要領で、細く千切った和紙に釉を

      浸し、素焼き面に貼り付けたりします。(本物の火襷は、藁を巻いて発色させます。)

   ) 還元焼成より酸化焼成の方が、赤い色が鮮明に出ます。

        焼成温度範囲は比較的広く、1200~1300℃と成っています。

   ) 土は古信楽の細めや荒めが良い様です。

  ② 火色焼き締め釉: 小生の窯では、赤く成らず黄色味掛かった艶消し釉となります。

     焼成条件で赤に出ると思われますが・・・

     施釉の仕方は、火色と同じで、筆(刷毛)塗りや、霧吹きで薄く掛けます。

3) その他の釉:

  ① ラスター釉: 金色ラスター、金彩ラスター、オパールラスター、パールラスター(真珠釉)、

     マンガンラスター(玉虫ラスター釉)等が市販されています。

     一般に酸化焼成で、還元では発色しないとの様です。

  ② 各種色釉。 顔料を入れた釉ですので、安定した発色になります。

     (趣が無い釉との評価があります。)

     焼成温度も1200~1250℃程度で、主に酸化焼成で行います。

     今まで述べて来た各種色の他、以下の釉が市販されています。

    ・ マロン釉、チョコレート釉、えび茶釉、セピア色釉、くじゃく(ピーコック)釉、もえぎ黄緑釉、

      小豆赤色釉、鼠色釉など。

  ③ 鍋釉(なべゆ): 土鍋用の釉薬で1200℃以下で使われる釉です。

     透明釉、白釉、黒釉、鉄釉、ベージュ釉、からし釉、織部釉、黄色釉、そば釉、クリーム釉など

     の釉が市販されています。

  ④ なまこ(海鼠)釉: なまこの名前の付く釉は色々ありますので、幾つか挙げておきます。

     白なまこ、乳白なまこ、緑なまこ、支那なまこ、薄紫なまこ、赤なまこ、黄土なまこ、群青なまこ

     灰なまこ、赤斑点なまこ等の名前で、市販されています。

  ⑤ その他、ここで記載できない程の色々の釉が市販されています。詳細を知りたい方は、釉薬

    メーカーのカタログや、ネットで調べて下さい。

今回で市販の釉の話を終わります。

尚、釉の中には説明不足のものも多々ありますが、小生の勉強不足でこれ以上説明出来ませんので

ご勘弁下さい。

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