釉を単一で使用する際には、適正に熔け、滑らかで艶やかな表情を呈する釉であり、何ら問題に成ら
ない場合でも、複数の釉を重ね合わせて使うと、問題に成る事が多いです。即ち、釉同士には相性が
存在します。
作品全体を一色で色付けする事もありますが、多くの場合2~3色を使う事で、見た目にも変化が
あり、より華やいだ感じに仕上げる事も多く見られる装飾方法の一つです。
その際、釉同士に相性の良し悪しがある事に気が付く事があるはずです。即ち、釉に関して何らかの
トラブルが発生する事も有りますし、逆に思わぬ効果を生み出す事も起こりえます。
但し、市販の同じメーカー同士の釉を使う場合には、ある程度相性が考慮されている釉が多いのです
しかし同じ名前の釉であっても、メーカーによって成分が多少異なりますので、メーカーが異なる
場合には、同じ様に重ね掛けを行っても、以前の様にはならず、相性が良くない結果を招く事も
あります。
更に、ご自分で調合した釉同士の相性が、良いと言う保障はありません。実際には試して焼成して
確認する事になります。相性の良し悪しには色々なパターンが想定されますので、順次述べたいと
思います。尚、釉と素地との相性の良し悪しもありますが、この件はここでは取り上げません。
1) 釉薬の相性が良いとはどうゆう事か?
① 釉がお互いに干渉する事が少なく、自分の個性のみを主張している場合には、相性が良いと
思われます。この様な事例は少ないです。何故ならば、重ね掛けするのは、何らかの効果を期待
して行う行為だからです。お互いに干渉させたくないならば、重ね塗りする事なく施釉すれば
良い事になります。
② 釉同士が熔融し、その中間色を発生させる場合や、好ましい新たな色が出現する現象も相性が
良い事になります。但し、重ねる順序によっては、良い結果に成ったり、悪い結果になったり
する場合がありますので、重ねる順序も重要になります。例えば、銅を添加した釉では、焼成中
に銅が揮発する現象が起こります。それを抑える為、他の釉を重ね掛け、銅の発色を良くする
方法があります。これを逆に重ねでは効果がありません。
③ 焼成温度の異なる釉であっても、一方が他の釉の熔ける温度を下げる現象も相性が良いと見て
良いでしょう。熔け難い釉薬でも、下に焼成温度の低い釉を掛けると、上の熔け難い釉を溶かす
事もあります。但し、逆の場合余り効果は期待できません。又、マット系の釉に光沢のある釉を
掛けると、下地のマット釉も光沢を持つ様になる事もあります。
④ 結晶釉の結晶を促進させる釉も相性が良い釉になります。
同様に還元焼成を促進させる釉も、相性の良い釉と言えます。
⑤ 釉同士では有りませんが、下絵と釉との相性の良し悪しもあります。下絵が「ぼやける」たり
「絵柄の流れ」を引き起こす釉は、絵と相性が悪い釉となります。
2) 相性の悪い釉同士を二重掛けすると、思わぬ効果を生み出す場合もあります。
一般的には、釉剥げなどの悪い結果を引き起す事が多いですが、大胆な亀裂模様に成ったり、
釉の表面を荒し、従来には無い「ゴツゴツ」した釉肌を作り出す等、見る人によって良し悪しの
判断の分かれる釉となる事もあります。一般に失敗から新たな発見を導き出すのは知られた事
ですが、釉に付いても言える事です。それ故、相性の良い方向に改良するのも大切ですが、
逆にどんどん相性を悪くする事で、新たな発見が得られるかも知れません。
3) 相性が問題になるのはどうゆう場面か?
① 厚掛けによる相性の良し悪し。
釉を重ねて施釉する事は、釉が厚く掛かる事になります。一般に釉を厚く掛け過ぎると、釉剥げ
や、釉の流れ易さと言う欠点になります。しかし厚く掛けても、釉同士の剥がれや、亀裂、
表面の釉の荒れや気泡の発生などが起きない状態であれば、一応相性が良い事になります。
勿論、釉の濃度と焼成温度にも関係しますので、一度の失敗で相性が悪いと決め付けるのも
問題です。
② 焼成温度の差のある釉の相性の良し悪し。
以下次回に続きます。
ない場合でも、複数の釉を重ね合わせて使うと、問題に成る事が多いです。即ち、釉同士には相性が
存在します。
作品全体を一色で色付けする事もありますが、多くの場合2~3色を使う事で、見た目にも変化が
あり、より華やいだ感じに仕上げる事も多く見られる装飾方法の一つです。
その際、釉同士に相性の良し悪しがある事に気が付く事があるはずです。即ち、釉に関して何らかの
トラブルが発生する事も有りますし、逆に思わぬ効果を生み出す事も起こりえます。
但し、市販の同じメーカー同士の釉を使う場合には、ある程度相性が考慮されている釉が多いのです
しかし同じ名前の釉であっても、メーカーによって成分が多少異なりますので、メーカーが異なる
場合には、同じ様に重ね掛けを行っても、以前の様にはならず、相性が良くない結果を招く事も
あります。
更に、ご自分で調合した釉同士の相性が、良いと言う保障はありません。実際には試して焼成して
確認する事になります。相性の良し悪しには色々なパターンが想定されますので、順次述べたいと
思います。尚、釉と素地との相性の良し悪しもありますが、この件はここでは取り上げません。
1) 釉薬の相性が良いとはどうゆう事か?
① 釉がお互いに干渉する事が少なく、自分の個性のみを主張している場合には、相性が良いと
思われます。この様な事例は少ないです。何故ならば、重ね掛けするのは、何らかの効果を期待
して行う行為だからです。お互いに干渉させたくないならば、重ね塗りする事なく施釉すれば
良い事になります。
② 釉同士が熔融し、その中間色を発生させる場合や、好ましい新たな色が出現する現象も相性が
良い事になります。但し、重ねる順序によっては、良い結果に成ったり、悪い結果になったり
する場合がありますので、重ねる順序も重要になります。例えば、銅を添加した釉では、焼成中
に銅が揮発する現象が起こります。それを抑える為、他の釉を重ね掛け、銅の発色を良くする
方法があります。これを逆に重ねでは効果がありません。
③ 焼成温度の異なる釉であっても、一方が他の釉の熔ける温度を下げる現象も相性が良いと見て
良いでしょう。熔け難い釉薬でも、下に焼成温度の低い釉を掛けると、上の熔け難い釉を溶かす
事もあります。但し、逆の場合余り効果は期待できません。又、マット系の釉に光沢のある釉を
掛けると、下地のマット釉も光沢を持つ様になる事もあります。
④ 結晶釉の結晶を促進させる釉も相性が良い釉になります。
同様に還元焼成を促進させる釉も、相性の良い釉と言えます。
⑤ 釉同士では有りませんが、下絵と釉との相性の良し悪しもあります。下絵が「ぼやける」たり
「絵柄の流れ」を引き起こす釉は、絵と相性が悪い釉となります。
2) 相性の悪い釉同士を二重掛けすると、思わぬ効果を生み出す場合もあります。
一般的には、釉剥げなどの悪い結果を引き起す事が多いですが、大胆な亀裂模様に成ったり、
釉の表面を荒し、従来には無い「ゴツゴツ」した釉肌を作り出す等、見る人によって良し悪しの
判断の分かれる釉となる事もあります。一般に失敗から新たな発見を導き出すのは知られた事
ですが、釉に付いても言える事です。それ故、相性の良い方向に改良するのも大切ですが、
逆にどんどん相性を悪くする事で、新たな発見が得られるかも知れません。
3) 相性が問題になるのはどうゆう場面か?
① 厚掛けによる相性の良し悪し。
釉を重ねて施釉する事は、釉が厚く掛かる事になります。一般に釉を厚く掛け過ぎると、釉剥げ
や、釉の流れ易さと言う欠点になります。しかし厚く掛けても、釉同士の剥がれや、亀裂、
表面の釉の荒れや気泡の発生などが起きない状態であれば、一応相性が良い事になります。
勿論、釉の濃度と焼成温度にも関係しますので、一度の失敗で相性が悪いと決め付けるのも
問題です。
② 焼成温度の差のある釉の相性の良し悪し。
以下次回に続きます。
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