陶芸に限らず、何事にも手順があります。手順を忘れたり、手順前後の誤りにより、思いも拠らない
結果を招く事は多いです。(前回の続きです)
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
窯焚きには、素焼きと本焼きがあります。施釉する前に行うのが素焼きで、比較的低い温度で
焼成します。施釉した後に行うのが本焼きで、一般に1200~1300℃の高温で焼成します。
但し、無釉の「焼き締」陶でも高い温度で焼成します、一般には素焼きは行いません。
① 陶芸は窯が命です。
作品の良し悪しは、必ずしも形ではありません。むしろ焼きの良し悪しが焼き物の命と言っても
過言では有りません。その為、陶芸では窯が一番大切な設備です。
ⅰ) 焼きの良し悪しは、良く焼けている事と意図した釉の艶(マットも含む)や色、又は予想
した以上の窯変に仕上がる事が含まれます。
ⅱ) 良く焼けているとは。
素地となる粘土や磁土には、各々焼きしまる温度範囲があります。その温度以下であれば
例え気に入った色になっても、焼き物としては不完全とも言えます。
即ち、焼き締り不足の結果、強度不足や水漏れなどの問題が起こり、実用に耐えない焼き物
と成ってしまうからです。 当然飾り物として使用する分には、何ら問題になりませんが・・
尚、焼き過ぎと言う事は、ほとんど問題になりません。その素地が持ち応えられる温度範囲
内であれば、時間を長くすればするほど良いとも言われています。
ⅲ) 色の良し悪しは、最高焼成温度も関係しますが、多くは窯が冷える過程で起きると言われ
ています。その為、冷やす方法(主に冷却スピード)に工夫が必要になります。
ⅳ) 窯詰めする場所によって、焼きと発色が左右されます。
容積の小さな窯であれば、窯内の温度分布に大きな差は出難いですが、容積が大きくなる
に従い、温度分布に差が出易いです。勿論、焼成の仕方によって温度分布に差が出ない様に
するのですが、必ずしも解消される訳ではありません。更に、炎の出る窯(薪、ガス、灯油、
重油など)では、炎の当たり具合によって、発色に変化がでます。(窯変が起こり易くなり
ます。)
ⅴ) 窯には各々癖(個性)がある。
望む焼き物を作るには、窯の癖を理解する事だ大切です。その癖に合わせて窯詰めをしたり、
焼き具合を変化させます。具体的には、窯の中で他の場所より温度が上昇し易い場所
(火力が強く反映される場所)、逆に冷却スピードが早い場所があります。
又、酸化焼成に成り易い場所や還元焼成に向いた場所などもあります。更に結晶釉の様に、
特別な発色を希望する場合には、ここでしか発色しないと言う場所もあります。
その為、発色に拘る人では、しばしば窯を改造したり、新たに窯を築く事も珍しくありま
せん。勿論癖を発見するには、数回~数十回の窯焚きが必要に成るかも知れません。数多く
窯を焚く事で、その窯の個性が浮かび上がってきます。
② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。
尚、同じ釉のみの作品を焼成する場合は、大きさのみを揃えます。
勿論、窯道具や窯の掃除などがすでに終わっている事が前提になります。更に、不要な釉は
取り除いていなければ成りません。即ち、棚板に接する部分に残った釉は、ブラシ等で取り
除き、濡れたスポンジで拭き取ります。蓋物の場合も同様に蓋と本体の合わせ目の釉は取り除
必要があります。又、焼き付き防止の為、水で溶いた「水酸化アルミナ」等を塗ります。
ⅰ) 同じ釉はなるべく近い場所に置くと、お互い発色が似てくる。
現実には隣同士であっても、発色が大きく異なる場合もありますが、大抵の場合似てくるのが
普通です。特に組作品の場合には、近くに配置します。
ⅱ) 同じ大きさの作品を揃えておくと、窯を有効に使う事が出来ます。
現在では棚板を使う事が多いですので、同じ棚には同じ高さの作品を窯詰めする事で、窯の
隙間(上下)の無駄を出来るだけ少なくし、有効に使う事が出来ます。
③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。
以下次回に続きます。
結果を招く事は多いです。(前回の続きです)
3) 本焼きの為の窯入れの手順と準備作業。
窯焚きには、素焼きと本焼きがあります。施釉する前に行うのが素焼きで、比較的低い温度で
焼成します。施釉した後に行うのが本焼きで、一般に1200~1300℃の高温で焼成します。
但し、無釉の「焼き締」陶でも高い温度で焼成します、一般には素焼きは行いません。
① 陶芸は窯が命です。
作品の良し悪しは、必ずしも形ではありません。むしろ焼きの良し悪しが焼き物の命と言っても
過言では有りません。その為、陶芸では窯が一番大切な設備です。
ⅰ) 焼きの良し悪しは、良く焼けている事と意図した釉の艶(マットも含む)や色、又は予想
した以上の窯変に仕上がる事が含まれます。
ⅱ) 良く焼けているとは。
素地となる粘土や磁土には、各々焼きしまる温度範囲があります。その温度以下であれば
例え気に入った色になっても、焼き物としては不完全とも言えます。
即ち、焼き締り不足の結果、強度不足や水漏れなどの問題が起こり、実用に耐えない焼き物
と成ってしまうからです。 当然飾り物として使用する分には、何ら問題になりませんが・・
尚、焼き過ぎと言う事は、ほとんど問題になりません。その素地が持ち応えられる温度範囲
内であれば、時間を長くすればするほど良いとも言われています。
ⅲ) 色の良し悪しは、最高焼成温度も関係しますが、多くは窯が冷える過程で起きると言われ
ています。その為、冷やす方法(主に冷却スピード)に工夫が必要になります。
ⅳ) 窯詰めする場所によって、焼きと発色が左右されます。
容積の小さな窯であれば、窯内の温度分布に大きな差は出難いですが、容積が大きくなる
に従い、温度分布に差が出易いです。勿論、焼成の仕方によって温度分布に差が出ない様に
するのですが、必ずしも解消される訳ではありません。更に、炎の出る窯(薪、ガス、灯油、
重油など)では、炎の当たり具合によって、発色に変化がでます。(窯変が起こり易くなり
ます。)
ⅴ) 窯には各々癖(個性)がある。
望む焼き物を作るには、窯の癖を理解する事だ大切です。その癖に合わせて窯詰めをしたり、
焼き具合を変化させます。具体的には、窯の中で他の場所より温度が上昇し易い場所
(火力が強く反映される場所)、逆に冷却スピードが早い場所があります。
又、酸化焼成に成り易い場所や還元焼成に向いた場所などもあります。更に結晶釉の様に、
特別な発色を希望する場合には、ここでしか発色しないと言う場所もあります。
その為、発色に拘る人では、しばしば窯を改造したり、新たに窯を築く事も珍しくありま
せん。勿論癖を発見するには、数回~数十回の窯焚きが必要に成るかも知れません。数多く
窯を焚く事で、その窯の個性が浮かび上がってきます。
② 窯詰めを始める前に、同じ釉同士と、作品の大きさを揃える事です。
尚、同じ釉のみの作品を焼成する場合は、大きさのみを揃えます。
勿論、窯道具や窯の掃除などがすでに終わっている事が前提になります。更に、不要な釉は
取り除いていなければ成りません。即ち、棚板に接する部分に残った釉は、ブラシ等で取り
除き、濡れたスポンジで拭き取ります。蓋物の場合も同様に蓋と本体の合わせ目の釉は取り除
必要があります。又、焼き付き防止の為、水で溶いた「水酸化アルミナ」等を塗ります。
ⅰ) 同じ釉はなるべく近い場所に置くと、お互い発色が似てくる。
現実には隣同士であっても、発色が大きく異なる場合もありますが、大抵の場合似てくるのが
普通です。特に組作品の場合には、近くに配置します。
ⅱ) 同じ大きさの作品を揃えておくと、窯を有効に使う事が出来ます。
現在では棚板を使う事が多いですので、同じ棚には同じ高さの作品を窯詰めする事で、窯の
隙間(上下)の無駄を出来るだけ少なくし、有効に使う事が出来ます。
③ 窯の構造(主に扉の取り付け位置)によって、窯詰めに工夫が必要な場合もあります。
以下次回に続きます。
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