わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
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焼き物の原料(坏土1)

2011-04-14 21:45:54 | 焼き物の材料(原料とトラブル)
坏土(はいど)とは、陶磁器用の素地土(きじど)の事で、作品を作り易い様に、調整した土です。

坏土は単一の粘土で、調整する場合も有りますが、各種の粘土を、配合し調整した物が、多いです。

特に、市販されている粘土類は、ほとんどが、色々の粘土を配合し、作陶に向く様に調整した土です。

1) 磁器や精陶器(白色陶器)等では、化学的処理された土を、目的に合った土にする為、

   計算調整して、配合を決めますが、その他の焼き物では、試行錯誤的に、配合調整を行います。

   即ち、作り易さ(可塑性)と、試し焼きの結果から、焼成温度、焼き縮率、破損(割、ひび)の

   有無、釉との相性などを見極め、不都合な点があれば、その対策として、他の粘土を加えたり

   他の粘土に替えたりして、良い土が出来るまで、試し焼きを繰り返します。

2) 坏土の条件

  ① 可塑性(プラスッティック性): 作り易い為には、この性質が必要です。

    即ち、成形に際して、「伸び」が良い事と、「腰」が強い事が必要です。

   a) 可塑性の大小は、絶対的なものではなく、個人によって違いがあります、ある人は作り

     難くても、他の人には、作り易いと、感じる事もあります。

   b) 可塑性は、練り土の水分量によっても左右されます。又、前記の「寝かし」の日数に

     よっても、変化します。

   c) 簡単な可塑性の試験

     練り土を引っ張り、伸ばした時、鉛筆程度の細さと、長さに成れば、非常に可塑性が

     大きいと言えます。長さが短い場合や、途中で切れてしまう様では、可塑性は小さいと

     言えます。

  ② 「ひび割れ」が起き難い事

    可塑性が良く、粘り気があっても、乾燥と共に、「ひび割れ」を起こす土は、使えません。

    例えば、ベンナイトは幾ら注意していても、「ひび割れ」を起こします。

    又、砂が多く含まれた土は、形は出来ても、粘りが無く、直ぐに形が、崩れて仕舞ます。

  ③ 焼く温度範囲が、比較的広い粘土である事

    多少の温度差が有っても、焼き不足や焼き過ぎが、起こらない事です。

   a) 焼成の最適温度とは、焼成した時、変形や「たれ」が起こらず、最高の、硬さと密度が

    得られる温度の事です。

   b) 土によっては、焼成温度範囲が、極端に狭い物や、器 (せっき)粘土の様に、SK-1~SK-10
    
     (1100~1300℃)まで、可能な物もあります。

  ④ 良く焼き締まる事

    一定温度の幅内で、十分焼き締まり強度が強く、水を透さない性質に成る、土である事です。

   a) 焼き締まりの、簡単な試験方法に、作品を叩いて、その音で判断する場合が有ります。

    澄んだ高い音は、良く焼き締まっている事の、証拠です。

  ⑤ 釉が良く熔け、素地に適合し表面を覆い、その色調が綺麗に仕上がる事。

  ⑥ 気孔がある事

   乾燥の際、粘土から水分が、蒸発して行きます。その為には、土に隙間(気孔)が必要に

   成ります。この気孔が少ない(粒子は細か過ぎる)場合には、乾燥時や焼成時に、内部に水分が

   残り、作品が変形したり、「ねじれ」を生じます。

   その対策として、シャモットや珪砂を、混ぜる場合も有ります。

   この様な処置を施すと、当然、可塑性が悪くなります。

以下次回に続きます。 

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