おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

2006年05月06日 | テレビ番組
「あの歌がきこえる」って番組がお気に入りだ。

NHKの新番組らしい。最近、何気にテレビをつけると放送していた。
内容はと言うと、ある歌にまつわる想い出を、プロの漫画家の絵を
使って再現ドラマ仕立てに紹介する。

この「プロの漫画家」ってのがミソ。漫画を読まない人でも知っている
ような有名作家ばかりだ。

自分の想い出も、あんな感じに「美化」されたら、いい感じになるだろう。

歌を聴くと、その当時の記憶が甦る。
歌は想い出を記憶しておくには便利なツールだ。


入社一年目。社屋の屋上でビアパーティーが開催される事を聞き付ける。

「ほほぉ~ ええですね!」

公に飲む事を許されたビールを、浴びる程飲める機会があるって事は、
高卒のガキとしては嬉しく思ったもんだ。

「ほな、お前等何するか決めとけよ!」

「えっ?」

毎年、各部署から代表者が出て、かくし芸を披露するらしい。
で、僕の居る部署は毎年「新人」がそれをやるらしい。

「なんでそんなことせなあかんの?まるで“おっさんの発想”やんか!」
「そうや。腐った社会の体質そのものやで!」

って、尾崎豊ばりに批判してはみるものの、新入社員に断わる勇気はまだない。

かくして、寮に住む者どうし「かくし芸」の練習が始まる。
イロイロとアイディアは浮かぶモノの、結局は歌を唄う事になった。

「三人で唄うって、何唄ったらええねん?」

悩んでいる僕達に語りかけるようにテレビから歌が流れて来た。

「これやろう!」
「ええな、ちょうど三人やんか!」

これなら練習しなくても済む。そう思って承諾した。

そして当日。
ただ唄うだけでは芸がない!と、先輩女子社員が僕達の顔をメークアップ!
衣裳は同僚女子社員が用意してくれる。

「ぼ、僕達、べつに“女装”しなくてもええんちゃいます?」

そう思ったが、口には出さない。それを断わる勇気は新入社員にはまだなかった。

自分達の出番が来る迄、緊張をほぐそうとビールを煽る。
しかし、いくら飲んでも「緊張感」の前には無力で、一向に酔う事は出来ない。
そんな中、遂に僕達の出番がやってきた。
緊張しながらも、マイクの前に立つとテンションも最高潮!

万来の拍手のなか、無事に終了した。

しかしこの後が大変。緊張感から解放された僕は、それまで煽っていたビールの酔いが
一気にまわり、その後は両手にジョッキを持ち、「一気」コールのある所に駆けつけ、
一気飲みを繰り返したらしい。
そう、“らしい”のである。

正気を取り戻した僕は病院のベットに居た。急性アルコール中毒だった。

チェッカーズの「あの娘とスキャンダル」
この歌を聴けば、今でもあの日の記憶が甦る。