常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

田の緑

2020年06月17日 | 農作業
日が経つのが早いのは、少し前に植えた稲が、生長して目の醒めるような緑になった事でも分かる。気のせいか、田の緑がいつもより、濃くやや黒みを帯びて見える。茎が盛んに出て、分けつの準備に入っている。近郊の田は、年毎に減って、新しい住宅地になっていく。一方で、住む人のいなくなった空き家がめっぽう増えているやしい。無人のになった空き家の解体や新しい利用方法など、新しい試みに期待したい。

イネは日本古来から自生したものではなく、大陸から渡来したものであることは知られていることだ。東シナ海を渡って、稲作技術を持った半農半漁の海人が日本へ稲作や漁業の技術をもたらしたと考えられる。狩猟を主体として生活を営んでいた縄文人が稲作や漁業の魅力に取りつかれて、急速に弥生文化へと移り変わる契機であった。

万葉集に坂上大嬢が、大伴家持に稲の穂で作ったかづらを贈った歌がある。

我が蒔ける早稲田の穂立作りたるかづらぞ見つつ偲ばせ我が背 
家持の返しは
我妹子が業と作れる秋の田の早稲穂のかづら見れども飽かぬかも

歌の意は、私が蒔いた早稲田の穂立、立ち揃った稲穂でこしらえたかづらです。御覧になりながら私を偲んでくださいね、あなた。返しは、あなたが仕事として取り入れた秋の田、その田の早稲穂でこしらえたかづらは、いくら見ても飽きることがありません。と、稲穂で作った髪飾りを歌とともに、贈答している。その時、大嬢が贈ったのはかづらできではなかった。肌身に着けていた肌着を送って、秋の寒さにこれで暖めて、と贈っている。男女の情愛を深く感じさせる贈りものである。

今日、茎が出始めた、田の稲は、間もなく分けつして出穂の時期を迎える。植物の成長と開花、そして結実への道筋は、万葉の時代からかわることなく、夏の太陽の光りをさんさんと浴びながら、一刻も休むことなくうち続く。ネットで注文していたバジル苗が届いた。こんな苗も損傷もなく届くに驚いた。早速、畑に定植をする。

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