あやめ
2018年05月30日 | 花
ひともとのアヤメが咲いていると、思わずその美しさにはっとさせられる。花はもとより、その立姿の美しさに惹かれる。すっくと直立する茎、葉は槍の穂のように細く鋭い。その先に咲く紫の花は、茎や葉のイメージとは逆の艶めかしがある。日本画の題材に多く用いられてきた理由が分かるような気がする。
ほととぎす待てど来鳴かずあやめぐさ玉に貫く日をいまだ遠みか 大伴家持 万葉集巻8・1490
5月5日の節句には、健康長寿を願い、玉の袋に菖蒲や蓬など香りの強い草を挿して飾った。玉に貫く日とは、この節句を意味している。この時代から、あやめ・菖蒲の香りが邪気を払い、子どもたちの健康を守るものと信じられていた。現代でも、菖蒲湯などの風習は生き続けている。私の行っている日帰り温泉でも、この季節には菖蒲の葉を束ねて、湯に浮かべて、菖蒲湯の日としている。