常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

九月尽

2016年09月30日 | 介護


九月の末日になってようやく秋晴れになった。予定していた禿岳への登山も行けそうだ。考えてみれば、今年もあと3ヶ月しかないということだ。一年の経過が、これほど早いとは、想像を超える。昨日、大雪山で初冠雪のニュースが届き、わが畑では蒔いた大根が少し伸びて、疎抜きをとってきたので、今日はケンチン汁が食べられる。

夜は虫のおとろへしるし九月尽 相馬 遷子

アパートで相次いで2件の訃報があった。一つは独り暮らしの老人である。ひと頃弱っていたが、最近は自電車を押して買い物に行く姿を見かけたので、元気になったなあと思っていた矢先、突然連絡が取れなくなった。部屋にカギを掛けてまま、誰に看取られることもない孤独な死であった。もう一人は、まだ60前の女性である。秋がきたというのに、悲しい報せがふたつ続いた。
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秋色

2016年09月28日 | 日記


秋雨が続いてなかなか秋晴れがやってこない。秋の花が咲いているが、その向こうにある植木は葉が紅葉している。紅葉のなかに咲くシュウメイギク、やはり秋の色。季節が移りかわっていることを知らされる。江戸の川柳に

つきやむしゃむしゃ甘塩の九寸五分

ちょっと読んで、何のことか分からない川柳だ。何のあてもなく江戸の出てきて、手っ取り早く始められるのが、つき屋であった。元手もなければ、伝手もない。あるのは裸一貫の丈夫な身体。どこの家でも買った米は、玄米でとってある。女所帯では、この玄米を搗いて白米にするのは重労働であった。裸一貫の若者は、「つきぃー、こめつかあー、つきぃー、こめつこぉー」と呼ばって歩く。すると勝手口が開いて、御かみさんが、「チョイとお、つき屋さん、二升ばかりついとくれ」と声がかかって商売になる。一日4、5軒もつけば一日の飯代になった。

ところで、つき屋がむしゃむしゃと食べている甘塩の九寸5分とは何か。秋の白米につきものは、魚河岸で求めたサンマの開きだ。江戸前とはいえ、現代のように生のサンマが食べられるわけではない。開いて塩をふったサンマの一夜干しである。一尺ほどのサンマは、江戸の庶民にとっても秋の味だ。腹を空かせた若者には、なによりもうまい食べものである。あたりには、秋の色がいっぱいだったであろう。
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桂花

2016年09月27日 | 


桂花は金木犀の中国名で、丹桂ともいう。桂は日本のカツラではなく、木犀類の総称である。奇岩で有名な中国の桂林は、この木が多くあるためにこの地名がついたらしい。それにしても、この花は突然に咲き、独特の香りをふりまく。むしろ匂いがして、この花が咲いたことも知る人も多い。きのうまで、葉ばかりだったものが、ある朝一斉に花を開く。

冷露 声無く桂花を湿す

今夜 月明人尽く望む

仲秋の満月に、夜露がこの花をしっとり濡らすというのだから、まさにこの季節に咲く花である。中国も日本も、金木犀が咲く季節は同じだ。王建の詩を引用させてもらったが、この香りに秋を感じる人も少なくないだろう。

木犀や月の夜道のまくらがり 木津 柳芽
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山形県吟剣詩舞道35周年記念大会

2016年09月26日 | 詩吟


35周年を記念する大会は、天童市民文化会館に吉村県知事、日本吟剣詩舞の東日本地区連絡協議会の前島議長の隣席のもとに開催された。一転して晴天、気温もぐんぐん上がって、秋晴れのもと800名を超える吟友が一堂に会した。本会は山形県各地域に根差した、19会派によって構成され、大会では地域を語る詩歌が多数紹介され、吟と舞のコラボで華やかな舞台となった。

特に印象に残ったのは、寒河江吟友会が吟じた二題の詠進歌であった。昭和45年の歌会始で井上草風氏の「林檎の花」は、リンゴ園で作業しながら、東京にいる孫の思いを寄せるほのぼのとする歌であった。

脚立して 林檎の花を摘みつつ思ふ 東京の孫山形の孫 井上 草風

もう一題は、平成21年の歌会始に詠進された元教師、木村克子さんの和歌だ。木村さんは散策の途中、懐かしい校舎を横切る。あけ放たれた窓から子どもたちの元気な声が聞こえてくる。自分が立っていた教壇が懐かしく思い出される。

梅雨晴れて 校舎の窓の開くが見ゆ 一年生は椅子に慣れしや 木村 克子

72題に及ぶ吟と舞が披露され、どっぷりと詩吟に浸かった一日であった。

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収穫祭

2016年09月24日 | 農作業


きのうまでの雨が上がり、気持ちのよい秋晴れ。地主から畑を借りた野菜作りのメンバーで収穫祭が、地主のガレージで行われる。内容は畑で収穫した里芋を使う芋煮会だ。山形の秋の風物詩でもある。数年この会が途切れていたが、今年から復活。参加者11名、夫婦同伴が3組あった。長年顔を合わせてきたので、会は思ったより、和やかで笑い声であふれた。芋煮もおいしく、珍しい漬物など、参加して大変楽しかった。

全員が自然と触れているので、話の内容も自然にまつわるものが多い。なかでも蛇談義は出色であった。畑で見つけた蛇から始まり、マムシの話が弾んだ。内臓を取り出し、小さく刻んで焼き、醤油をかけて食べるおいしさ。Iさんの家では、子どもたちと奪い合って食べたとのこと。また頭をコンと殴って殺すと、すぐに皮を剥ぎ肉は焼いて食べるが、皮は干して置くと、傷薬にとても重宝するなど、貴重な経験談が飛び出した。

畑ではあいさつ程度しか言葉を交わさないが、こうして鍋を囲むと違った話が出て、人について新しい発見がいくつもある。野菜など、スーパーに行けばすぐに入手できるものを手間暇かけて畑に通ってくる人には、色々な価値観を持っていることを知り、有意義な時間であった。

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