常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

新春の集い

2016年01月31日 | 詩吟


昨日、岳風会山形地区本部の「新春の集い」があった。国際ホテルのホールで150名ほどの吟友が集まった。年に一度の行事であるが、いささかマンネリの感も消し難い。それでも、10名の独吟と役員吟が披露されるので、年の初めに聞くことを楽しみにしている。今年聞きごたえのあった吟詠は、山形岳風会太田会長が吟じた杉浦重剛「自訟」である。

岳に登りて天下を小とし

自ら誇る意気の豪なるを

其れ山上の山を奈んせん

之を仰げば一層高し

自訟という言葉を漢和辞典で見ると、自分自分の過ちを責めること、とある。杉浦重剛は近江膳所藩の藩士で化学を学ぶために、明治9年に英国に留学した。明治になって10年も経たない内に留学するのは、まさにエリート中のエリートである。天下を下に見、意気軒高であるのも、時代を考えれば理解できる。しかし転句で他に聳える山を見出す、自分に比べればさらに高い。重剛は自らが有頂天になっていたことを自訟する。この心の持ち方が、杉浦重剛の教育者への道を決定づけた。

後に東京英語学校を創設、この門から横山大観、佐々木信綱、大町桂月、吉田茂など多くの人材を輩出した。新年の一吟も、このように人の生き方を、もう一度偲ぶことにより、楽しくなる。



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寒梅

2016年01月30日 | 漢詩


今年は暖冬のため、ブログも梅の開花の記事で賑わっている。今朝はうす曇りで少し日がさしているが、小雪がちらついている。ベランダの梅の鉢にも雪が降りかかるが、つぼみは日に日にふくらんでいく。その生命力の神秘に目を奪われる。王維の詩に、寒梅を詠んだものがある。

君自故郷来 君は故郷よりき来たる

應知故郷事 まさに故郷の事を知るべし

来日綺牕前 来日 綺窓の前

寒梅着花未 寒梅 花を着けし未だしや

綺窓というのは、美しい飾りのある窓のことで、妻の部屋の窓を意味している。旅先の夫が故郷にいる妻を思いやっているのである。王維は与謝蕪村も愛した唐の詩人であるが、簡易な言葉づかいのなかに深い心遣いを詠嘆する。杜甫や李白の難解な詩は読むのに疲れるが、王維の詩はまっすぐに心に響いてくる。実に愛すべき詩人である。
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サボテンの花

2016年01月28日 | 日記


歳時記を引くと、サボテンの花は夏の季語になっている。我が家では、南に面した日当たりのよいガラス戸の前に置いてあるので、冬でも日があたれば暖かくなるので花が咲くのだろうか。季語とは関係なく花時を迎える。昨日から気温が上がり、雨模様である。道路の雪はすっかり消えた。

仙人掌の針のなかなる蕾かな 吉田 巨蕪

サボテンは水やりの必要もなく、鉢に植えてベランダに出しておけば知らないうちに花をつけている。鉢の花はあまり手にかけなくともいいと、いつの間にか疎遠になってしまう。鉢をそばに持ってきてよくみると、針の形や花の蕾が丸く並んでかわいくみえる。葉や体が、環境に合わせて生き延びようとする植物の不思議だ。
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春予感

2016年01月26日 | 日記


気温が6℃まで上がり、しかも雨、積もった雪は一気に溶けはじめています。別のことで時間を取られ、更新ができていません。シクラメンが水切れを起こし、頭をたれてしまいました。稲穂のように、「稔るほど頭を垂れれる稲穂かな」という風にはいかないようです。
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冬ごもり

2016年01月25日 | 日記


雪が降って外出する機会が減ってしまった。朝の散歩も、室内のスクワットに変えた。写真も家のまわりにある季節感を写すのみである。錦織選手の活躍で、テレビから目を離せないせいなのか。

耳うとき嫗が雑仕や冬ごもり 内藤 鳴雪

明治の冬は静かであった。もう耳の遠くなった老女中が、家事をやってくれている。静かな室内で本を読んだり、書き物をしたりして過ごす冬の日は、内藤鳴雪のような文士にはかえって都合がいいのだ。株価がどうだとか、殺人事件が今日も起きたとか、殺伐とした世の中ではなかなか静かな冬ごもりもできない。
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