今日から7月。すでに、6月に炎暑がやってきたので、夏は中ばを過ぎたような気がする。朝、飛び込んできたビッグニュース。孫の出産、区切りの日に曾孫の誕生である。7月1日と言えば、海開きに山開き。大自然に触れる日だ。この日は山形新幹線の開通記念日である。開通してから30年が経っている。その他、安全の日や童謡の日など、多彩な記念日がたくさんある。スモークツリーのモフモフの花が青空のもとで眩しい。最近、この木を庭に植える家が増えているような気がする。
七月のこゑ白雲が蜂起せり 千代田葛彦
大分以前になるが、このブログで獅子文六の短編、『赤井鼻雄』を取り上げたことがある。農地改革で、土地を失った地主の息子が、辛ナンバンを肴にどぶろくを飲み、鼻が赤くなる話だ。獅子のユーモア小説の真髄を見せらた気がした。先日買った戸板康二の『あの人この人』を読んでいると、獅子文六は岩田豊雄であり、小説の書く時は獅子文六をペンネームとし、本業の演劇の演出の方は本名を通していた。獅子文六は、四四、十六をもじったという説があるが、文豪の一つ上の十六だ、ということが書いてある。
戸板が岩田に聞かれた。最近、面白い演劇はないかという質問だが、あれこれ考えて、戸板が推薦したのは、井上ひさしが脚本を書いた「日本人のヘソ」であった。女優が田舎から出てきて、ソープランドの女になるという話であった。二人は恵比寿の出来立ての舞台でこの演劇を見た。演出は早野寿郎で、なかなか良い出来であった。岩田は舞台が気に入ったらしく、終了後に挨拶に来た井上ひさしに「ヤア」と微笑して握手の手を差し伸べた。井上ひさしにあるユーモアのセンスが、岩田豊雄という演出家に通じるものがあったのかも知れない。