陽ざしが届く秋晴れは心地よい。笑い話に、年寄りの教養というのがある。今日、用事があるで教養。今日行くとこがあるが教育。今日は選挙で、投票所の学校は、行くとこがある人たちで賑わった。朝夕は冷えこんで来て、鍋料理が恋しくなる。夜、妻に頼むのは、魚の粗を使った鍋だ。寒になると、日本海の鱈が旬になる。この粗をこちらでは「どんがら」というが、庄内のどんがら汁は値段もいい高級鍋で、わざわざ内陸から車で、酒田までこの鍋を食べに行く人もいる。鱈が出る前には、鰤や鮭のかまが鮮魚店で安く手に入る。野菜と一緒に食べるので、安くてうまくて、手軽だ。高齢者にはもってこいの夕食である。
昔の房総の旅では、金目鯛の粗汁が記憶に残っている。油の浮いた汁に、鯛の赤い色が美しく、味も最高であった。先日新庄に行ったが、こちらの名物は馬肉である。これをすき焼きのように鍋にすると、肉の色が赤いのので桜鍋と言い、この鍋を好む人もいる。その筋肉に内臓が入ったのを、「ガッキ」と呼ぶらしいが、山の仲間のMさんの大好物だ。肉やで煮込んだものが売っていて、酒のつまみに最高と話していた。鰹の胃や腸を刻んで塩漬けにした塩辛がある。酒盗と言って、これもつまみに適している。あまりの美味しさに酒が進んで、その味で飲む酒が忘れられずに盗みを働いたものもいたらしい。
粗は食べる人が少ないのか、鮮魚店では、片隅に置いて安く売っている。最近ではスーパーでもアラをパックにして売るようになった。安くてうまいというのがだんだん知れ渡ってきたのかも知れない。