今日はお札、義母の不要になった神棚などをお焚き上げしてもらい、一年の区切りをつける。ベランダから眺める風景は穏やかで、雲が少し多い目である。しかし、もう以前のように新しい年を迎えることに特別な意識はなくなった。年賀状を書くのを止めて見た。必要な人にだけは、新年になってゆっくりと消息を書くことにする。
陽をのせて大年の雲動かざる 中川 宋淵
田山花袋の『田舎教師』に、大晦日の町の風景が描かれている。明治の風景を読みながら、年忘れとする。
「此処では注連飾りが町家の軒毎に立てられて、通りの角には年の暮の市が立った。橙、注連、昆布、蝦などが行通う人々の眼に鮮かに見える。どの店でも弓張提灯をつけて、魚屋には鮭、ごまめ、数の子、唐物屋には毛糸、シャツ、ヅボン、ヅボン下などが山のように並べてある。」
それでは皆さんよいお年をお迎え下さい。