常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

四月尽

2022年04月29日 | 日記
四月最後の日。ベランダの障子を開けて驚いた。家々の屋根に雪が積もり、近くの里山がうっすらと雪化粧をしている。確かに天気予報は雪の予報が出ていtが、山地に降る雪で、まさか雪が見える朝になるとは思わなかった。ゴールデンウィークに、アルプスの方の山にでかけて、思わぬ雪で遭難騒ぎが毎年起きている。初夏になったとはいえ、まだまだ予断を許さぬ季節である。

四月逝く百花騒然たるなかに 相馬遷子

今日で一年の1/3が終わる。四月には、たくさんの山菜を食べた。フキノトウに始まり、花わさび、山ニンジン、アケビの芽、コシアブラ、コゴミ、
フキ、ワラビなどなど。どれも簡単に浸しで食べるが、春、山菜の初物は身体の方が要求してくる。冬の季節に欠乏していた、大事な成分が含まれているからに違いない。今年は足を手術した妻を連れ出しして、萌えだした早蕨をとったが、こんな季節に会えることがうれしいらしい。友人、知人からも、フキノトウやコシアブラ、アケビなどを頂いた。

先日、黒森山の見える山に登った。『日本の古代』に黒山についての記載が見える。黒森山で黒の字が使われているのは、杉が他の樹より黒く見えるからとばかり思っていたが、そうではなく異界を意味すると指摘されている。そこは、人間が近づくことを拒絶する聖なる山である。杣山は木伐りだし、植林する里山である。黒山と杣山との間には、厳然とした線が引かれている。

宮材引く泉の追馬(そ)喚犬(ま)に立つ民の
  息む時なく恋ひわたるかも (万葉集巻11)

杣という字は伝来した漢字では日本で作られ文字である。万葉仮名では、追馬で、「そ」、喚犬を「ま」。実際に馬を追う時は、それとかしっと言い、犬を呼ぶときは、ま、ま-と呼び寄せたらしい。杣人は、都の造営や、寺の普請で求められる材木を切り出すのに、家に妻を置いて山中で、休む間もなく忙しく働いた。そんな古代人の姿が思い浮かぶ。この冬、山刀伐峠の冬道を案内してくれた山口さんも、峠を杣街道と呼び、自らを杣人の末裔を自称していた。

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哲学の日

2022年04月27日 | 日記

スマホのAIパートナーのえも子ちゃんに教わったのだが、今日は哲学の日。古代ギリシャの哲学者ソクラテスが、紀元前399年のこの日、死刑を待つ獄中で毒を呷って死んだ日だ。この日を記念して哲学の日とされたらしい。哲学の日に因んで、人生の幸福について考えてみたい。

フランスの哲学者アランは『幸福論』を書き、何も努力しないで幸福になることはできない、と説いた。先ず、上機嫌の波を自分の周辺から広げること。
「微笑すること、親切な言葉、善い感謝の言葉をいうこと。冷淡な馬鹿者に対しても親切にすること」
アランは日常の生活で、幸福になるためのノウハウを、このように細かく書いている。哲学の日に読むべきは、人生を豊かにする、こんな本か。

幸福には三つの種類があると説くのは、脳科学者の樺沢紫苑だ。ベースになる幸福は「やすらぎ」「癒し」「気分」の幸福感。これを手に入れた時、脳内にはセレトニンが分泌される。入手方法は至って簡単、朝の散歩、呼吸エクササイズ。スマホのヘルスケアはよくできている。ヘルシィ・リビングで睡眠、散歩、呼吸、笑顔を毎日記録、この幸福感を手に入れるのを助けてくれる。

幸福の第二は、つながり・愛。安定した人間関係でもたらせる幸福感だ。人に親切にして上機嫌の波が、近くの人に及んだとき、脳内にはオキシトシンという物質が分泌されている。手に入れる方法はスキンシップ、コミニケーション、ペットとの触れ合い、親切、社会貢献など。

そして最後に成功、スポーツでの優勝、目標達成による幸福感。この時脳内にはドーパミンが分泌されている。この幸福感は、特別なもので、健康や人間関係の上に初めて得られる。人生はこの目標だけを目指してはならない。

「生きる意味を考える」ことも哲学の日にふさわしい。立川談志にこんな言葉がある。「なんで生きるかというと、死ねねえからだよ」。生きているという現実が先にある。その意味は、哲学者といえども知ることはできない。
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藤の花

2022年04月26日 | 読書
夏を思わせる気温が続いて、藤の花も咲き始めた。歳時記には晩春に載っているが、夏の花に入れる図鑑もある。源氏物語に「この花のひとり立ちおくれて、夏に咲きかかる」と書かれ、夏の花か、春の花か思いまよう心が語り継がれている。テレビで足利のフジ園の花が見事に開いた画が流れた。葉桜になると、もう関心は次の花へと移っている。人の心は、なんと移り気なことか。

風入れてめざめかぐはし藤の頃 水原秋桜子

年が明けてから通うようになったブックオフは楽しみの時間になった。読む本は本棚に満ちているのだが、ブックオフの100円コーナーで掘りだしものを見つけるのが楽しみなのだ。最近入手した本は、保坂隆『老いを愉しむ言葉』、石田浩司『呼吸の科学』、生田哲『脳の健康』、生田哲『脳は食事でよみがえる』、『アイデアの科学』などの新書だ。高齢が進んで脳の退化が気になるのか、脳とか科学などの題名の本につい手が伸びる。本を読みながら、書いてあることを実践してみる。これが高齢になってからの本の読み方である。その日一つでも新しい知識を身につける。ブックオフの100円コ―ナーにこんな実利的な楽しみがある。
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セロトニン

2022年04月24日 | 登山

朝散歩15分、たっぷりの太陽と冷たい空気が心地よい。少し速足で歩くリズム運動が、脳内物質のセレトニンを活性化する。セレトニンは、気分を向上させ、人に幸福感をもたらす物質と知られる。朝の時間をこんな風に使うことは、自分のような年代には特に重要だ。散歩のほか、咀嚼、呼吸もセレトニンを活性化することで知られる。朝ごはんをよく噛んで、十分に咀嚼する。また呼吸にもその作用がある。呼吸では注意すべきは吐く息である。吐く息を意識して、腹を凹ませてしっかりと吐く。

セレトニンは必須アミノ酸のトリプトファンから作られる。これを多く含む食材を摂ることが大切である。豆類、玄米、チーズ、納豆、バナナなど身近な食材の含まれている。朝、こんな食事をよく噛んで取ることで、セレトニンを作ることができる。

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新緑を楽しむ

2022年04月23日 | 登山
米沢市の北西に屏風を立てたように広がる斜平山(なでらやま)。標高660mの細長い山地は、春の訪れ確めるにはもってこいの里山だ。里の市街地はすでに多種類の花が咲き乱れるが、山中には、残雪、桜、マンサク、辛夷に加えてブナを初めとする樹々の新緑が始まっている。林道を愛宕神社まで進めば、その先の稜線は、まさに春の饗宴といった趣である。クロモジが芽を吹き、ホウノキの大きな葉が広がり始めている。雪が残る斜面に広がる新緑に眼を洗われるような思いがする。

新緑の椎の最も昂れる 百合山羽公

春の山にきて改めて思い知らされる山の魅力。それは、初夏があり早春があり、加えて冬の名残りを見る季節の重層性である。それが織りなす景観は、いつも新鮮な感動を与えてくれる。

斜平山の尾根道は、峰道と新奥の細道の二筋の参道がある。その山道に挟まれるようにして空堀の跡が、まるで渓のような地形をなしている。ここからは米沢市街を一望でき、戦国の世では、敵の進入を見る監視所として絶好の地形だ。歴史を通じて、ここに山城が築かれるのは自然のことだ。そして、現代ではここに電波塔を建て、テレビやスマホの電波の中継点として使われている。いわば、地形がこの地のインフラの基となっている。

尾根道はおよそ3㌔。方々の集落から登る登山道が設けられている。雲が広がり、見えるはずの飯豊や朝日連峰の山々は霞んで、感動の景観は得られない。時おり強い風が吹きつける。それでももう初夏の気温である。電波塔のある笹野山(661m)頂上には、残雪の上に桜が咲き誇って一行を迎えてくれた。

通り雨がパラパラと降るなか、建物の陰で弁当開き。足の負担を軽減するトレッキングシューズ、「ホッカオネオネ」を新調。この日デビュウした。あまりの軽さに、スニーカー感覚であるながら、外ソールの弾力性と安定性で快適な歩きとなった。靴への信頼感が、ゆとりの歩きを実現してくれる。高齢になって、脚力の減退する足に、強力な助っ人となってくれた。


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