常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

季節外れの花

2018年11月30日 | 日記

昨日、山の仲間の家の裏の空き地でヒマワリ

が咲いたと聞いて、写真を撮ってきた。一本

の木に、六輪の花を咲かせていた。この季節

に咲く花は、帰り花とか狂い咲きと言われる。

但し、これは春に咲く桜やツツジなど、咲い

たあと、すぐに花芽を持つもので、ヒマワリ

のような一年草には、当てはまらない。観光

地のヒマワリ畑では、咲く時期をずらすため

播種の時期をずらして、観光客に長く見ても

らう方法をとっているという話は聞いたこと

がある。しかし、11月が終わり、雪が降って

くる季節に、ヒマワリが咲いたという話は聞

いたことがない。夏に咲いたヒマワリの実が

空き地に落ちて、それが成長してこの時期に

花を咲かせてたことになる。芽が出て、木が

成長していく間、気温が高かったことに起因

しているのではないか。11月も寒い日があっ

たが、おおむね暖かく推移している。きのう

北海道で大雪というニュースが流れたが、師

走も暖かい日が続くとされている。雪が降ら

ないのは、一見いいことのようだが、冬の観

光やスキーに打撃を与え、来年の水不足の引

き金になる負の側面を持っていることも忘れ

てはならない。

 

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大岡山

2018年11月29日 | 登山

里山も冬の準備に入った。山道には、うず高

く落ち葉が散り敷いている。落ち葉を踏みし

めて山路を歩くと、その上に雪が降り積もる

のは、もうすぐだ。夏から秋へ、木々の葉が

茂って里山の道は薄暗いが、葉が散ってしま

うこの季節は、山全体が見違えるように明る

くなる。

山形市館山地区にある大岡山は標高401m、

国道13号線を天童へ向かうと、お椀を伏せた

ような台形の山だ。もうすぐ12月だというの

に今年の秋は長い。日当たりのよい田んぼに

はたくさんのトンボがしきりにとんでいる。

田の周りの堰には、小さな魚が無数に泳いで

いる。フナかハヤか、あるいがタナゴか、少

年の頃を思い出すようような光景が山の麓に

広がっている。風間不動から一気に急坂にか

かる。カサカサと枯れ葉を踏む足音が心よい。

 

登り口から急坂を20分ほど登ると、頂上に着

く。頂上で休憩していると三々五々、登って

来る人に出会う。少し話しかけると、気さく

に答えてくれる。一日も休まずに毎日登ってい

るという。山形百名山のテレビ取材で、出演し

たか、聞いてみた。顔を出さず、インタビュー

にだけ答えたた、とのこと。登り始めの時、お

不動さんから頂上のあと、七曲りを経て下る予

定であった。頂上で、常連のおじさん達の話で

旧松茸山を経て、黄金山神社の方へ下ることを

勧められた。随分以前、その神社の方から登っ

たことを思い出した。帰りは勧められた道を下

ることにする。頂上で出会った人たちは、高齢

だが無駄肉のないいかにも元気そうな人たちで

あった。勢い、年齢の話になる。私は昭和16年

と言うと、二つ先輩の14年だよという答えが返

ってくる。再開を約束して、尾根道を松茸山へ

向かう。所々に古い松の木がある。名前の通り

この山でも、かっては松茸が採れたのだろう。

足元に積もった木の葉が枯れて、その上を歩く

とカサカサと乾燥した音が山に響く。マッチで

火をつけると、たちまち山火事になりそうな乾

燥である。 

松茸山から黄金山神社への下りは、なだらかな

長い道。ナナカマドやモチノキの赤い実が、葉

のない山を彩っている。下山口から、車を停め

た駐車場まで田んぼのなかの道を歩く。湿地の

日当たりのいい場所に飛ぶトンボ、季節を追う

ように飛び回っている。ふと藪のなかを見ると

蒲の穂が無数に残っている。このな景色を見る

のは何十年ぶりだろう。懐かしい風景だ。田に

はヒコバエが畝をなし、一部の田は来春に向け

て耕されている。

  おかん      坂本遼

久々のふるさとに帰れば

碾臼などひきたまふ母なり

田舎じやけん何もないけん

では明日はそばきりをこさへて上げよう。

暗い土間におりたちて

母は碾臼をひきたまふなり

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尾花沢のコメ

2018年11月28日 | 日記

尾花沢がうまいコメの産地であることはあま

り知られていない。しかも日本で一番うまい

コメの産地であるとは。天皇家では、御料米

といって天皇が食べるコメを日本中のコメの

なかから探した。昭和10年の御料米は尾花

沢から出荷された。その品種は陸羽132号と

名付けられたいた。その前の年、東北を冷害

が襲い、大凶作となって、多くの餓死者を出

した。その悲劇を繰り返さないために、作り

出されたのが陸羽132号である。有名な亀ノ

尾と愛国という品種を交配させて、この品種

が生まれた。耐冷に強い品種として考案され

た。永井荷風の弟、永井威三郎は育種家であ

ったが、この新品種の選出に加わっていた。

特にお茶漬けにしたときの食感がよく東京の

人々から大変な人気のあるコメであった。今

日、山形米つや姫が人気があるのも、同じ亀

ノ尾を交配させている系統と関係があるのか

も知れない。雪深い尾花沢では米の収量は少

ない。しかし、しっかりと寒さに耐え、遅い

播種でも、早く収穫できる品種のうえ、味が

よいのは、尾花沢の農家にとっては、救世主

のようなコメであった。この地で日本一うま

い西瓜が穫れることと無縁ではあるまい。

すゞしさを我やどにしてねまるなり 芭蕉

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濃霧

2018年11月27日 | 日記

霧は秋に現れる現象だ。小雪を過ぎ、冬の戸

口で濃霧が現れた。カメラで見るより、もっ

と目前に霧が迫っている。視界数十メートと

いうところか。今日は、このあと、日がさし

て、気温も17℃ほどまであがる予報だ。そう

とすれば、季節は秋に戻っているのかも知れ

ない。すっぽりと霧につつまれると、ほんの

りとあたたかさを感じる。

髪濡れて待ちしは告げず霧の中 渡辺千枝子

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竹青

2018年11月26日 | 読書

病む妻やとゞこほる雲鬼すすき 太宰治

この春、妻が頸椎の手術をして、一人家を守

った。家事全般を司る妻に入院されると、家

事を行うにも相当の覚悟というものがいる。

太宰もまた妻に寝込まれて、おろおろとする

ばかりで、家事にも手を出せない様子が、句

から想像できる。

太宰治に『竹青』という短編がある。題に

「新曲聊斎志異」という副題がつけてある。

原本の『聊斎志異』に収められている「竹青」

は、カラスと人間の異婚譚である。太宰はこ

の怪異譚を翻案して、神の鳥である竹青に夫

婦愛の真実を教えられるという筋書きである。

貧書生の魚容という男がいた。科挙の地方試

験に落第して、途方にくれて呉王廟で、眠っ

ていると、烏の群れの一員になってしまう。

夢のなかの出来事か、現実か、はっきりしな

いまま物語は進む。そこで出会うのが、雌の

烏の竹青である。烏になって、餌を得たり、

空を飛んで洞庭湖から漢陽へ飛んだり、ある

時は、烏から人間に姿を変えながら話は進む。

この小説は昭和20年4月1日発行の「文芸」に

発表された。  

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