昨日、一気に寒気が来て瀧山が白くなった。室内も冷え込んでエアコンの暖房にした。朝の空気が冴えわたる。今日はぽかぽかな小春日和になるらしい。小春とは陰暦の10月、新暦の11月をさす。寒気が去って、風のないおだやかな日和を小春日和という。天気キャスターの倉嶋さんによると、アメリカではこの気象をインディアン・サマーと呼ぶと解説していた。本格的な冬を前に、恵まれた暖かな日を冬ごもりの支度のために平原に姿をあらわす。集団によってはこの季節は寒い冬を避けて南に異動していく一団もあったらしい。
籬より蝶あらはれし小春かな 大橋越央子
作家の小島直紀は『老いに挫けぬ男たち』のなかで自分の病後を養うなかで二つの夢を語っている。一つはヨーロッパの旅をすること、二つはうまいものを食べることである。その合間に佐藤一斉の『言志四録』の一節ずつを拾って読んでいる。「その老ゆるに及んでや、これを戒むるは得なり」そして一斉が若いころにはこの得の意味するところを理解できずにいた。年をとって得た境地でそこを解説した現代文がある。
「生きるも死ぬも天命である。いま老年になって、強いて養生し、長生きをしようとするのは、天命を知らないやり方である。子孫の幸福も、おのずから天の与える分限がある。いま子孫のために殊更に配慮しようとするのもまた天命を知らないからだ。こういうことは老いぼれて、心の乱れた者のすることですべて『得』を戒める条件である。ただ以上のことは自分の考えで、他の老人たちはどう思っているか知らない。」
一斉の考えでいけば、健康のために運動したり、孫子を思いやるこは戒めるべきことであるかも知れない。