今日、最高気温が19.9℃まで上がった。登った山は、宮城県白石町の青麻山(799m)。先週まで深い雪の山を登ったが、いよいよ枯草と土の匂いのする春の山との触れ合いだ。春の山はゆっくりと登りたい。日当たりのよい場所に伸び始めたカタクリの葉。その芯のところの花茎にピンクの蕾が見える。
「彼は行く。ゆっくりと。しかし物見高い眼や鼻や耳はすっかり開放しながら。山を歩くことは彼にとって、自然の全体と細部をできるだけ見、愛し且つ理解することであって、決して急用を帯びた人のように力走することではないからである。」(尾崎喜八『山の絵本』)
登山口は北原尾。ここへ行く目印に、天皇皇后両陛下行幸地の看板がある。原尾とはいかにも変わった地名だが、南洋のパラオに由来している。かって日本の統治が行われ、戦後、この地から引き揚げて、この一帯に入植したのが引揚者たちであった。広い放牧場と酪農。引き上げてきた人々の努力が酪農地として結実している。そうした歴史を踏まえた平成天皇の行幸であった。
牧場のなかの車道を越え、雑木林のなかの細々とした登山道を30分ほど歩くとカタクリの丘に着く。この日の山行の目的は、最初に咲くスプリング・エフェラメル、カタクリの花を見ることであった。葉は出てきているものの、わずかに花の時期を外した。ピンクの蕾がチラホラ、イチゲの花をわずかに見るにとどまった。
その先から、少しずつ傾斜が急になっていく。七五六山、ここは756mのピーク。その先にあけら山と青麻山の双耳。三つのピーク。見晴らしのいい所からは白い雪の蔵王山が、どっしりその雄姿を見せている。「花に会わずとも、蔵王がきれいだ」という声が聞こえる。林のなかで、気の早いウグイスの初音を聞いた。ペース配分は、登山口から七五六山まで1時間30分、あけら山を越して青麻まで30分、合計で2時間ほど歩行。頂上で景観を楽しみながら少し早い昼食。下りは1時間40分。気温も15℃以上、歩行汗をかく。本日の参加者12名。内男性4名。