常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

春の青麻山

2022年03月30日 | 登山
今日、最高気温が19.9℃まで上がった。登った山は、宮城県白石町の青麻山(799m)。先週まで深い雪の山を登ったが、いよいよ枯草と土の匂いのする春の山との触れ合いだ。春の山はゆっくりと登りたい。日当たりのよい場所に伸び始めたカタクリの葉。その芯のところの花茎にピンクの蕾が見える。

「彼は行く。ゆっくりと。しかし物見高い眼や鼻や耳はすっかり開放しながら。山を歩くことは彼にとって、自然の全体と細部をできるだけ見、愛し且つ理解することであって、決して急用を帯びた人のように力走することではないからである。」(尾崎喜八『山の絵本』)

登山口は北原尾。ここへ行く目印に、天皇皇后両陛下行幸地の看板がある。原尾とはいかにも変わった地名だが、南洋のパラオに由来している。かって日本の統治が行われ、戦後、この地から引き揚げて、この一帯に入植したのが引揚者たちであった。広い放牧場と酪農。引き上げてきた人々の努力が酪農地として結実している。そうした歴史を踏まえた平成天皇の行幸であった。

牧場のなかの車道を越え、雑木林のなかの細々とした登山道を30分ほど歩くとカタクリの丘に着く。この日の山行の目的は、最初に咲くスプリング・エフェラメル、カタクリの花を見ることであった。葉は出てきているものの、わずかに花の時期を外した。ピンクの蕾がチラホラ、イチゲの花をわずかに見るにとどまった。

その先から、少しずつ傾斜が急になっていく。七五六山、ここは756mのピーク。その先にあけら山と青麻山の双耳。三つのピーク。見晴らしのいい所からは白い雪の蔵王山が、どっしりその雄姿を見せている。「花に会わずとも、蔵王がきれいだ」という声が聞こえる。林のなかで、気の早いウグイスの初音を聞いた。ペース配分は、登山口から七五六山まで1時間30分、あけら山を越して青麻まで30分、合計で2時間ほど歩行。頂上で景観を楽しみながら少し早い昼食。下りは1時間40分。気温も15℃以上、歩行汗をかく。本日の参加者12名。内男性4名。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

水仙

2022年03月29日 | 日記
雪がとけて、水仙が土から葉を伸ばし、花茎を伸ばして花を開くまで長い時間を必要とする。毎日、今か、今かと開花を待つ気持ちが、時間を長く感じさせるのかも知れぬ。冬の長い西洋では、この花を摘みに戸外に出る。花束にして、室内で待つ老人に贈るためだ。水仙の花束を受け取った老婆は、目に涙を浮かべる。水仙の花束が、春の訪れを知らせてくれるからだ。

心うつろに、或は物思いに沈みて、
われ長椅子に横たわるとき、
独り居の喜びなる胸の内に、
水仙の花、屡々、ひらめく。
わが心は喜びに満ちあふれ、
水仙とともにおどる。    (ワ-ズワース詩集)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

一日を豊かにしてくれる言葉

2022年03月28日 | 日記
昨日、散歩の途中で、家の前を片付けている人に出会った。雪が消えて、たまっていた不要なものを片付けていたようだ。前を通ると、頭を下げて「こんにちは」と挨拶をしてくれる。思わず、「こんにちは」の後に、「いい天気ですね」と付け加えてみた。「そうだねえ」と実感のこもった言葉が帰ってきた。いつもなら、知らない人には、ちょっと頭を下げて通りすぎるのだが、こんな短い言葉のやりとりにふと心があたたまる。心地よい春風のなかの散歩に、人とのわずかな触れ合いが、楽しさを倍化してくれる。

ブックオフで見つけた保坂隆著『老いを楽しむ言葉』をめくって、拾い読みするのが楽しい。作家の椎名林蔵の言葉が紹介されている。

「今日はという挨拶やお天気の話などは、挨拶のなかで一番重要な深い意味を持っている」

著者は「こんにちは」にプラスする言葉として、明るい話題が鉄則、と説いている。挨拶に、晴れた空のもとの気持ちのよさを、つけ加えたことは正解であったようだ。

散歩を日課のようにしているが、同じ考えの人が増えている。晴天のもと、身体を動かしている人に出会うと、同志のような気持ちになる。向うからかけてくる挨拶の言葉のニュアンスにも、そうした気持ちが込められているような気がして、心豊かになる。細い路地で道をゆずってくれる人がいる。そんなとき、「ありがとうございます」と声をだしてお礼を述べるようにしている。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クロッカス

2022年03月26日 | 日記
早春の花といえばクロッカス。剣状の細い葉の真ん中から、黄色、白、紫の花を咲かせる。冬の終りを告げる花とされている。原産地はギリシャなどの地中海で、ギリシャ神話にこの花が登場する。ゼウスの神と妻ヘラが、春の野に寝そべっていると、二人のぬくもりで芽が出て花を咲かせてという。

髭に似ておどけ細葉のクロッカス 上村占魚

このところ儒学者・佐藤一斉が何故か目につく。学生時代に教わった英語の田中菊雄先生も『言志四録』を座右にしていた。先生を守った言葉

少にして学べば壮にして為す有り、壮にして学べば老にして衰えず、老にして学べば死して朽ちず

先生が守られたと言っておられるが、自分の場合はこの言葉に今さらながら励まされる。老いても学ぶべきことは余りに多い。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

スマホ教室

2022年03月25日 | 日記
最近山の仲間から「スマホの講習会開いてくれませんか」と言われることが多くなった。我々のようなシニア世代でも、通信手段としてスマホを持つ人が殆どだ。自分も含めて、スマホにある機能を使いこなしている人は殆どいない。だが、山の会の会員がラインを使うことを前提に、グループラインを立ち上げた。当初、ラインを使うことを躊躇する人もいたが、連絡をグループに入れると、一度に全員に連絡が行く。この利便さは、ほかのものに代えがたい。山行で見た絶景や楽しい雰囲気の写真を載せれば、参加できなかった会員も行った雰囲気が味わえる。

今年になってこのラインのイベント機能の使用を始めた。その月にある山行計画をタイムリーに配信でき、その画面上で出席の意思表示がボタンひとつでできる。スマホの機能を活用することで山の会の活動が活性化したように感じる。スマホの利用の仕方を覚えると、もっと知りたいというのが人間心理でもあろう。講習会は開きようによっては意義深いものになるはずだ。だが残念ながら、頼まれた本人が、使い方など殆ど知らない素人だ。まして、スマホに乗り換えたばかりの人に教えることなど、至難の業である。

そこで思いついたのが、ドコモショップで開かれている「スマホ教室」だ。無料の教室が多岐にわたって用意されている。山で利用できそうなものに、「基本カメラ」、「応用マップ」、「応用アプリ」、「キャッシュレス」、「ネットショッピング」、「オンライン診療」などまでがある。応用アプリでは、登山GPSのヤマップのダウンロードや利用の方法なども可能ではないか。早速、ショップに電話して予約を入れた。希望日がスムーズにとれた。さほど混んでいないようだ。

『老いてこそデジタル』を書いた若宮正子さんが言っている。スマホ教室で分からなければ聞けばよいと思っている人に進歩はない。「とにかく自分でやってみなさい」といいながら教えてくれる人がいい先生だと述べている。忘れては、苦労しながら覚えていく。シニア世代には、まだるっこいようだが、地道な馴れがスマホ利用の近道だ。面倒だからいじらないでは、せっかくの通信インフラは遠ざかるばかりである。

コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする