雨のなか尾花沢へ。半年ぶりの訪問である。
稲の刈り取りも終わり、最後の収穫時期で
あったが、冷たい雨が季節の巡りを急がせ
ていた。親戚の家々では、久しぶりの再会
を喜び、義母の無事を確認していた。泊ま
った温泉宿の玄関先に、満開の厚物菊が飾
ってあった。みごとな色どりと秋の香りに
接して思わずカメラのシャッターを切った。
秋の香や奈良には古き佛達 芭蕉
中国では9月9日を重陽の節句とし、長寿
を願い、菊の花を供え、菊酒を飲み、家族
が集った。この風習が日本に伝わったのは
平安時代。宮中の高官たち、自ら育てた菊
を持ち寄り、その優劣を競い、歌を詠む。
いわゆる「菊合わせ」の遊びとして、貴族
のあいだで広がっていた。この趣味が庶民
の間にも広がっていったのは江戸時代であ
る。今では、菊の展示会、菊人形など、秋
の菊祭りとして、日本各地で楽しまれてい
る。