ブナ林に入るとほっとした気分になる。杉林が光を遮って、薄暗い林床であるのに対してブナ林は所々に日が差し込んで明るいせいであるのかも知れない。ブナの美林という言葉も時々耳にする。青森の白神山が世界自然遺産になったのも、このブナの美林のせいであるかも知れない。ブナはその実から林に生育していくには、自然界の厳しい掟が存在する。一本の木としてブナが生育を続けるためには、樹冠いっぱいに繁る葉に十分な光が必要になる。木は光を求めて背を伸ばすのだが、より高く背を伸ばせる木が強者として勝ち残っていく。ほとんど等間隔に生え揃うブナ林は、生存競争に勝ち残った木々によって支えられている。
ブナの寿命は比較的短い。杉やミズナラが千年を超える大木があるのに比べて、ブナの寿命は300年ほどである。このくらいの年数を重ねると突然風に倒されたり、立ち枯れして突然のようにその生涯を終わる。秋、倒木のブナにブナカノカやナメコが木一面に生えるのを見かける。キノコは木の養分を分解して、森の土へと返す役割を果す。毒キノコであるツキヨタケが、立ち枯れの木を覆って出る様は、初めて山へ入る人を驚かせる。一本の大木が倒れると、森には大きなスペースができる。そのスペースを巡って、様々な植物の生存競争が始まっていく。
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