大晦日、新年へのカウントダウンが始ま
った。思えば、病気もせず、この一年を
過ごせたことに感謝しなければならない。
雪化粧をした千歳山が、来る年を象徴し
ているように感じる。ビアスは『悪魔の
辞典』で一年を「365回の失望から成る
一期間」と定義しているが、もうこんな
見方は若い世代にしか受け入れられない
であろう。いろいろ困難なことも乗り越
えて安堵を覚えるのが正直なところだ。
本を見ていると、NHKの「行く年来る
年」の由来が書いてあった。昭和4年の
大晦日、JOAKの局が浅草寺の境内にマ
イクを2本据え、参詣人の足音、鈴の音、
賽銭の音、柏手の音、百八の鐘の音を収
録して年越しの雰囲気を放送したのが始
まりであるとのことである。紅白歌合戦
も途中で切り上げ、除夜の鐘も聞くこと
なく就寝してしまうのが最近の越年の習
慣である。
とし積むや年々に年の美しき 井上士朗