26日、亀割山。27日、大高根山と紅葉を訪ねて、最上の山に行って来た。あまりに素晴らしい景観を目にすると、しばしばカメラのシャッターを押すのを忘れてしまう。家に帰って、スマホとデジカメの画像を点検すると、最盛期の紅葉を撮ったものがかなり少ない。あのシーン、このシーン。脳裏にはっきりとそれらのシーンは焼き付いているのだが、カメラの画像には残っていない。
今週は期せずして、山形百名山の2座を登ることになった。明け方まで、台風21号の影響で雨が残り、担当のOさんは雨具持参を指示しての決断となった。だが、瀬見の登山口に着くころには、陽がさし登山日和となった。19号の大雨で、多くの被害の出ているなかでの山行は、やや申し訳がないような気がする。
亀割山、標高594m。新庄市と最上町にまたがる山である。義経と弁慶が、平泉へ落ちていく際に、この峠を通った伝説があり、義経の子生まれたとか、弁慶の投げ松などの伝説、遺跡が残されている。この山には2度ほど登っているが、紅葉の時期は初めてである。登り始めてすぐにジグザグの急登になるが、木洩れ日に向うに、黄葉がすで見えている。10月は3週続けての台風の襲来で、半月ぶりの山行である。久しぶりに顔を合わせる仲間たちの声も明るい。
今週の山行で10月の計画も終わり、紅葉は最後のチャンスである。ヤナ茶屋の渓流のあたりから、周囲はきれいに紅葉しているので、期待が持てる。この山に2回ほど登ったのだが、もう10年も前のことで、その時の記憶はすっかりなくなっている。急なジグザク道も当然忘れているのだが、陸羽東線の向こうに小国川が増水しているのが見えている。
登り始めて1時間半、登山道の向こうに亀割山の頂上らしき景観が見えてきた。すっかり錦繡におおわれた見事な秋景色だ。昨日まで、もう今シーズンの紅葉は見られないのではと危惧していたが、山の神は今日になって、我々の目を楽しませてくれた。里に降りていた神は、稲の収穫を見届けると、山へと帰っていく。その帰るついでに、台風の雲を払うという粋な計らいしてくれのであろう。
山中で6人ほどのグループに出会った。外人を交えた男性だけの、比較的若いグループである。「どこから来ましたか?」と訊ねると、「酒田です」と答え、高齢の我々のグルーを抜いて、元気な足どりで登っていった。礼儀正しい、山を愛する人たちのようで好感が持てた。
頂上には11時に着いた。約2時間の登りであったが、山中は杢蔵山がまじかに迫り、八森山、禿岳など最上の山に囲まれて、深い山のなかにいる雰囲気である。
秋山に秋山の影倒れ凭る 山口 誓子
本日の参加者8名、内女性2名。例年この時期に、「りんどう」いう宿に一泊。バーベキューとなめこ汁で酒を酌み交わす。男性の新しい会員を2名を含めて酒好きが集まった。前会長は、山にはなかなか登れなくなっているが、酒の会には、何をおいても駆けつけてくれる。久しぶりに、山形の地酒を堪能、酒に詳しい人もいて、酒談義に花が咲いた。誰かが言った。「山の好きな人は酒も好きだ」と、こんな話は初めて聞くような気がする。