未熟なカメラマン さてものひとりごと

ようこそ、おいでくださいました。

日本一の日本庭園・足立美術館を見て感じること

2019-12-12 21:28:57 | 庭園
先月の初め、日本一の日本庭園として知られる島根県安来市の足立美術館を久しぶりに訪ねました。尾道自動車道から、途中、奥出雲の桜井家住宅に寄りましたが、井原から車での通算所要時間は、ちょうど3時間でした。
相変わらず、大型バスの観光客で賑わう光景は、以前とまったく変わっていないように思えました。
一番の目的は、庭園の撮影でしたが、どちらかというと、この日は曇り空、条件的には今ひとつでしたが、こればかりは、どうしようもありません。
入館料は、強気の2,300円で、びっくりしますが、実は日本ではもっと高い美術館があります。箱根小涌谷にある岡田美術館2,800円、さらに最高額なのは徳島県鳴門の大塚国際美術館3,300円です。

足立美術館の日本庭園は、いくつかのエリアに分かれています。順路を進むと、順番に庭園と本館の展示物を見ることができます。また、さらに、河井寛次郎の陶芸や、新館の現代作家の作品を見ることも可能です。
さて、庭園ですが、最初に姿を現すのが、苔庭で、続いて枯山水庭、白砂青松庭、池庭と続きます。庭園は、とてもきれいに維持管理されていて、枯葉一枚落ちていません。特に白砂青松庭では、芝生と白砂の境界線がくっきり。これは、芝生の縁を小さなバリカンで丁寧に刈り込むのだそうです。

白砂は奥出雲町横田産の「横田砂」、年に1回砂を運び出し水洗いを行っているとのことです。
庭園は、「昭和の小堀遠州」と称えられた作庭家・中根金作、京都の小島佐一、そしてオーナーの足立家によって手を入れられ完成しました。
いつ見ても変わらない庭園の完成度は、素晴らしくまるで絵画を見ているようです。それゆえに、見ていて何かしらの緊張感を覚えるのは私だけでしょうか。
逆に、そのスケールの大きさや完成度から、日本庭園の一番の要素である、わび、さびといった感覚は、あまり感じることはできません。
いつ見ても変わらないその景観ですが、静かなたたずまいや四季の移り変わりや経年を感じられるのが私たちが知っている日本庭園なのですが、残念ながらその感性はありません。

しかしガラス越しに見る庭園は、いつもはっきり、くっきり、恐らく反射防止フィルムを貼ってあるのでしょうが、雨や風などの気象条件に左右されることなく鑑賞できるのは、それは確かにありがたいことです。
そして、徹底された維持管理には、スタッフの皆さんのたゆまぬ努力が注がれているのでしょう。
肝心の撮影ですが、陽の射す快晴の青空よりも、できれば均一な薄雲状態の方が、庭が活きる、そんな感じがしました。



ガラス越しに最初に姿を現すのがこの景色 苔庭から枯山水庭を望む


少しだけアップで撮ってみました


苔庭


苔庭のアップです


日本一の庭園に酔いしれる入館者たち


枯山水庭


額縁庭園 足立美術館を代表する景観です


順路の途中に小さな紅葉したカエデがありました


なぜか、ホッとします


床の間の向こうには、この人出


池庭


白砂青松庭

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徳島県美馬市 本楽寺の石庭と・うだつのあがる町・脇町を訪ねて

2019-11-08 00:13:45 | 庭園
2019.10.14 久しぶりに瀬戸大橋を渡り徳島県を訪ねました。一番の目的地は美馬市の本楽寺です。
吉野川を借景とする本楽寺の石庭は、あの斉藤忠一さんの作庭とか。ホームページで見ると、川霧が発生し、遠く背後に見える山並みが借景となって、幻想的な雰囲気を醸しだしていました。
徳島県の美馬市は、香川県の南に位置し、岡山県井原市からの距離は意外に近く2時間ほどで行くことができます。坂出ICを下り、まんのう町を過ぎる頃、道の駅「ことなみ」で小休止し、そこから20分ほどで本楽寺付近に到着しました。しかし、寺は見えているもののどこから入ったらいいか、その道がわかりませんでした。



山越えの途中にあるまんのう町の道の駅「ことなみ」温泉も併設されています。

後ろに車が連なっているので、あまりきょろきょろもできず、結局一旦通り過ぎ、引き返して細い農道を感で寺方面に進み、対向車に避けてもらいながらやっとのことで到着です。
山門で、拝観料300円を払い、境内に入るとすぐそこにお目当ての石庭がありました。客殿の玄関から入り、縁側から見る石庭に言葉も出ません。
シンプルで、清楚、背後に庭園を取り囲む塀はなく、真下に有る国道も一切視界に入らず、背後に見えるのは、吉野川と遠くに見える四国山脈のみ。ほかでは見たこともないような、枯山水庭園です。

このあと、客殿から渡り廊下を通って茶室を見学したり、背後にある日本庭園を散策していると、時間はあっという間に過ぎてしまいました。


四国八十八景 本楽寺庭園


急な石段を上った先に山門があります。


山門をくぐると、枯山水庭が迎えてくれます。


斎藤忠一氏作庭の石庭、吉野川を借景としています。四国八十八景に選定されている見事な庭園です。


斜めから見るとさらに趣きがあります。


美しい本堂


客殿から茶室に続く回廊。固い岩盤の上に建てられています。


回廊から客殿を見る


茶室、近年に建てられたようです。


裏庭は回遊式庭園となっています。


露地から茶室が見えます。


真下に見えるのは吉野川

次に向かったのが、本楽寺から15分ほどの脇町の古い町並みです。道の駅の駐車場をうっかり過ぎてしまい、結局、美馬市地域交流センターに停めさせていただきました。
実は脇町の町並みを訪ねるのは3度目です。
約430mにわたって連なる家並みには、競うように「うだつ」が上がっています。
「うだつ」とは、防火用に隣家との間に設けられた土づくりの防火壁(袖壁)のことで、高額なことから富の象徴とされ、江戸中期より藍で栄えた町の繁栄を物語っています。

虫籠窓、格子造り、蔀戸、鬼瓦など南町通りの旧家ならではの建築風景を見ることができ、どこか懐かしさを覚えます。(昭和63年12月16日、重要伝統的建造物群保存地区に指定)


うだつの上がる町・脇町


大谷川に架かる南橋を渡り南町通りへ


最初に迎えてくれる町並み


白漆喰で野太いうだつ


見事な町屋


観光客が絶えません。


藍商として栄えた吉田家住宅。番頭さんの人形にはハッとします。


美しい町並みです。


鬼瓦が屋根の上で睨みをきかせています。


うだつが連なる町並み


どこか懐かしい町並みです。


自働電話?がありました。


脇町劇場。一本の映画「オデオン座・虹をつかむ男」をきっかけに町が改修復元。
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広島の名園・縮景園と人気の回転寿司・すし辰

2019-10-17 23:46:06 | 庭園

広島県立美術館の縮景園に面する開放的なロビー

令和元年(2019)10月8日、広島県立美術館で開催されている特別展、「入城400年記念 広島浅野家の至宝 -よみがえる大名文化―」展に行ってきました。
書画、武具、能道具、茶道具、婚礼調度などの浅野家ゆかりの名宝が一堂に展示され、見応え十分でした。
中でも、華鴒大塚美術館所蔵の、織部肩衝茶入「喜撰」は、織部自身が名付けたもので、胴部の軽いへこみ、灰釉と光沢のある黒飴釉が評判通り素晴らしいと思いました。代々の仕覆も同時に展示されており、桃山時代から続く、時の移ろいを感じることができました。
美術館を堪能したあと、せっかくなので、縮景園を見て帰ることにしました。美術館の半券を提示すると、100円で入園できます。



回遊式庭園です。


茅葺きの東屋、とても情緒があります。


東屋から見る濯纓池(たくえいち)

とてもきれいに整備された園内、今回も欧米の外国人観光客の姿が多く目に留まりました。この日本庭園は、国の名勝に指定されており、広島藩浅野氏初代藩主である浅野長晟が別邸の庭園として、家老で茶人の上田宗箇に作らせたものです。
昭和20年、原子爆弾の投下により壊滅的な被害を受けましたが、昭和24年から復旧が開始され見事に復活、2020年には築庭400年を迎えます。
ひとつ残念なのは、背後にビル群がそびえ立つことですが、市内中心部であることからこれも仕方ありません。

紅葉には少し早いようでしたが、松をはじめとする緑の木々に心を洗われるようでした。ちょうど池の中ほどにある島の松の剪定作業中でした。手漕ぎボートで島に渡り、脚立で足場を固定しての作業は、とても大変そうでした。



小島の松の剪定作業は大変です。


見事な松です。


園のシンボル 跨虹橋(ここうきょう)


ゆったりと泳ぐ池のコイ


アオサギを意識する亀2匹


数寄屋造りの茶室・清風館(せいふうかん)


茶室・明月亭(めいげつてい)


造営当時の正式名称は泉水屋敷と呼ばれていました。


ナナカマドに似た真っ赤に紅葉した枝がありました。


秋の風情を感じさせるハギの赤い花

縮景園を散策したあと先月、「バナナマンのせっかくグルメ」で放映されていた回転寿司“すし辰”でランチをして帰ろうと思いました。番組で紹介されていたのは緑井本店でしたが、駐車と混み具合を考えて郊外のお店を探してみたところ、すし辰山本屋(可部店)があったのでそちらにしました。
すでに午後2時を過ぎており、店内に客は誰もいませんでした。お寿司もレーンには載っていませんでしたが、カウンターの中には、粋のよいお姉さんがどーんと構え、スタンバイです。
どれもおいしく、ネタも井原や福山のお店と比較して、随分大きく思えました。肉厚のバッテラは特価130円でしたが、食べ応え十分でした。
次回、広島に来ることがあったら、また寄ってみたいと思いながら、帰途に就きました。
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岡山県の魅力ある日本庭園 矢掛町の大通寺を訪ねて

2019-09-30 23:54:38 | 庭園
令和元年9月24日(月)
久しぶりに矢掛町の大通寺を訪ねました。お寺の前の田んぼの稲は黄色く色づき、畦の彼岸花がところどころに咲いてその存在感を示しています。
仁王門から山門につづく参道の両側には白やピンクのハギが小さな無数の花を咲かせ、来訪者を迎えてくれます。
山門前には、立派な桜の木が枝を垂らし、春にはさぞ華やかだろうと想像しながら立派な山門を潜りました。



大通寺遠景


畦に咲くヒガンバナは美しい


仁王門 両側に仁王像がにらみをきかせています。


白とピンクのハギ、無数の小さな花を咲かせています。


山門と子宝観音

それにしても、感心するのがこれだけ広い境内で掃除が隈なく行き届いていることです。その大変さを察しながら、受付に到着すると、「こちらへどうぞ!」すぐに住職が出てこられました。玄関先には「拍子木をたたいてください」とあったのに気付かず、呼び鈴を押してしまいました。
上がり口から、幾分暗めに感じる座敷の開け放たれた戸口の向こうに、明るく照らされた石の庭が見えています。何と美しいことか、まるで一幅の絵画を見ているようです。縁側に敷かれた赤い毛氈もアクセントになり、庭園に花を添えています。



境内 右が本堂、左が坐禅堂


受付 拝観申し込みは、拍子木をたたいて知らせる。襖一枚分の庭園が見える。


座敷の向こうに見える庭園。本当に美しい。

縁側には鑑賞者用のイスが三脚用意してあり、しばしの間、鑑賞に酔いしれたいと思いつつ、住職の詳しい説明に耳を傾けていました。
このあと、西側の庭園にも案内していただくと、先ほどとはまったく違う趣がありました。座禅堂にも案内していただきました。同じ禅宗でも、流派によって、座布団や座り方が微妙に違うとのことです。



書院表の庭園。石組みが美しい。


スイレンが咲いていました。


ムラサキシキブが可憐な実をつけていました。


山側から見たところ(通常は入れません)


さらにもう一枚


禅堂衆寮より西方池を望む


石橋


池のコイ


最後にもう一度、額縁の庭園を見る

この庭園は、平成24年に築庭200年を迎え、記念講演会とシンポジウムが開催されました。
造られたのは、寛政5年(1793)から文化10年(1813)の江戸時代後期で、矢掛の住人の文人画家中西源兵衛によって作庭されました。何と完成まで21年も要したことになります。
昭和の庭師、重森三玲のお弟子さんである、京都にお住まいの斉藤忠一先生が、昭和52年と54年の二度にわたり修復をされたと聞きました。住職が京都までお願いにあがったとか。私も仕事の関係で斉藤先生とはお付き合いがあり、共通の話題で、話は多いに盛り上がりました。最後にはお茶とお菓子まで出していただき、一般には立ち入れないようなところからも特別に撮影をさせていただきました。
こうして1時間があっという間に過ぎたのでした。
住職のお話の中で、「掃除は、創寺にして創自なり」と伺いました。なるほど、と感心しながら、帰りには、出口(仁王門)までお見送りを受け、恐縮して大通寺をあとにしたのでした。


(宿場町矢掛の古い町並み)

矢掛の町並み 通りに奴のマンホール


妻入り五軒並び


矢掛のイメージにぴったり


人一人やっと通れる細い路地


完璧に残されている町屋が美しい


地の野菜料理のお店

このあと、矢掛の町並みを歩いてみることにしました。残念なことに2箇所で電気工事が行われており撮影条件としては今ひとつでした。気付くことが1つ。町並みに不釣合いな派手な看板が見受けられました。何か規制する手立てはないものかと、少々心配になりました。電線の地中化、重伝建への申請(2020年)の計画もあると聞いています。
美しい町並みが、後世に残されていくことを祈念して止みません。


(洞松寺 曹洞宗の古刹)

見事な山門


地蔵さま


見事な伽藍です。


とてもきれいに掃き清められています。

(福武家住宅)

道路側から見たところ。裏門です。


裏手に回ったところで、芙蓉の花が咲いていました。


高い土塀が続く


長屋門の見事な構え


少し朽ちた土塀


高札がありました。


池の中央の小さなお堂の屋根にアオサギがいました。

のあと、矢掛町のもうひとつの曹洞宗の寺院、洞松寺を訪ねたあと、最後に向かったのが、福武家住宅です。パンフレットに電話番号の記載がないので、住所でナビをセットしやっと到着することができました。道路側から見ると、大きな木戸がありましたが、これは裏口のようです。
付近の畑に、芙蓉が幾輪ものかわいいピンクの花をつけていました。
玄関口に廻ると、そこは立派なお屋敷、その昔、大庄屋だったそうです。しっくいの土塀には、驚いたことに狭間が設けられていました。ここから賊を追い払ったのでしょうか。
来月放映される、NHKの横溝作品のロケ地として使用されたと聞きました。この福武家、年に一度だけ公開日があるようなので、機会があればぜひ訪ねてみたいと思いました。

住宅の裏手の大きな池の中央にある小さなお堂?の上に停まっている一羽のアオサギがとても印象的でした。(おわり)

岡山県の代表的な日本庭園
(大名庭園関係)
岡山後楽園(岡山市)特別名勝 日本三名園
衆楽園(津山市)国の名勝 津山藩二代藩主・森長継が京都から庭師を招いて作庭
近水園(岡山市)県の名勝 旧足守藩主・木下家の庭園 小堀遠州の作と伝えられている

(神社仏閣の庭園)
頼久寺庭園(高梁市)国の名勝 作庭家、茶人である小堀遠州初期の作
曹源寺庭園(岡山市)岡山藩主池田家の菩提寺 心字池に映る枝垂れ桜は美しい
大通寺庭園(矢掛町)県の名勝 江戸時代に作庭された石組みは素晴らしい
安国寺庭園(津山市)元禄時代の造園で石林園と呼ばれる美作地方屈指の名園
安養寺庭園(美作市)客殿裏の枯山水の築山と前庭の亀島の作者は伝小堀遠州
吉備津神社庭園(岡山市)時代の異なる二つの庭園がある

(その他 茶道等関係)
華鴒園 (井原市)華鴒大塚美術館の日本庭園、上田宗箇流家元の設計・監理
田中苑(井原市)田中美術館の前庭 苑内に茶室不老庵がある
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日本一、大根島のボタン 島根県松江市 平成30年4月23日

2018-04-30 22:34:09 | 庭園
今年も大根島のボタンを見に行ってきました。賀陽ICから岡山自動車道、米子自動車道を経由し、目的地の由志園には、自宅から2時間半後に到着しました。
駐車場は、ほぼ満車の状態でした。ここでも目立ったのが、外国人観光客です。それも欧米人が特に多いようでした。
島根県の観光スポットはいろいろありますが、外国人観光客はどのようなところを巡っているのでしょうか、気になりました。

さて、切符売り場付近は、お土産処もあって、相当混雑していました。庭園に入ると、まず目に付くのが、青々としたモミジの若葉、青モミジです。
そしてボタン園へ。見た感じ、全体の花見指数は70%といったところでしょうか。いろんな種類のボタンが、植えられています。ボタンは、花弁が大きく華やかで、香りも素敵です。しかし鑑賞期間が特に短いので手入れは大変だと思います。
一番の楽しみは、いつもの売店で、ボタンを買い求めること。自宅にはすでに10鉢のボタンがありますが、我が家にない品種や色目のものがあるとどうしても欲しくなるのです。

すでに開花しているものは、値段がずっと安くなります。商品価値が下がるということでしょう。おばちゃんのうまいセールトークに乗せられて今回も2鉢買ってしまいました。
由志園の一番の見どころは、何といっても美しい日本庭園です。広い園内には、ツツジやシャクナゲなど季節の花々が咲き乱れ、撮影ポイントには事欠きません。
また、園内を散策したあとは、庭園を眺めながら贅沢にお茶をすることもできます。
秋には、園内のカエデが紅葉して、それは見事だそうです。今度は一度、その時季に訪ねてみたいと思いました。







希少品種のボタン
























白砂青松の庭


シャクナゲも咲いていました


カエデの若葉、何と清々しい


喫茶コーナー まるで一幅の絵を見るようです
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