未熟なカメラマン さてものひとりごと

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煙草乾燥小屋

2007-12-26 00:28:04 | 風景
 県道笠岡井原線の岩倉町で見かけた煙草の乾燥小屋です。この土壁むき出しの少し崩れかかったところが何とも郷愁を誘いますねね。井原市でも田舎に行くとけっしてめずらしいものではありませんが、2棟並んでいるのは見たことがありません。
煙草栽培は岡山県の重要な一次産業の一つでした。そういう意味でこの乾燥小屋はその数少ない生き証人と云えるのではないでしょうか。
 歴史をひも解くと、岡山県における煙草栽培は、蒜山地域の山中葉と新見・高梁地域の備中葉が二大産地でしたが、都市における煙草の嗜好変化によって山中葉は衰退し、備中葉にかわって紙巻きの両切煙草である「ゴールデンバット」の消費が拡大されると、その原料であるアメリカ産の黄色種に栽培が奨励されるようになりました。この地域で黄色種が栽培されはじめたのは昭和11年頃のことのようです。
 黄色種の乾燥は縦2間横2間、4坪の2階建ての小屋が設けられ鉄管火力乾燥法によりました。
すなわち、連縄に土葉・中葉・本葉・天葉を区別して挿み、室内に吊り込み、薪で加熱して発酵させる方法です。
外から中の温度が測れるよう1階、2階に外窓が付いています。

笠岡市大井にあった私の母方の実家でも煙草を栽培し、乾燥小屋を持っていました。火の調子(確か灯油を焚いていた)を見るために
祖父が昼夜寝ずの晩をしていたのを幼心に覚えています。特に乾燥が終わった小屋に入ったときの独特の香りが忘れられず、この乾燥小屋を眼にする度に懐かしい当時の記憶がよみがえるのです。



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