世羅高原の春 世羅高原農場5月 本文とは関係ありません。
先日、久しぶりに岡山へ出張でした。研修会を終え帰りの電車の中の出来事です。電車は広島方面行きのJR山陽線でした。
岡山駅から乗車しましたが、電車内はほぼ満席でした。たまたま二人掛のイスで、通路側がひとつ空いていることに気づきました。
迷わず腰を掛けると、窓側に座っていたのが、中学生か高校生の男子生徒です。膝の上にかばんを置いて、抱きかかえるようにしていました、両手はだらりとぶら下がりまさに熟睡の状態です。
岡山駅より前からから乗っていたわけで、どこで降りるのかわかりませんが、寝過ごしていると気の毒だな~、と思いながらも声をかける勇気もありませんでした。
電車はいくつかの駅を通過し、やがて新倉敷駅に到着しました。そこで、その男子生徒が、がばっと顔をあげ、ここはどこの駅だろうと、きょろきょろとしています。
「新倉敷だよ」と教えてあげると、一目散に出口に出て行きました。やれやれ乗り過ごしたかと、気の毒にと思いながら、ふと床に目をやると、スマフォと文庫本を落としているではありませんか。
すでに停車してから時間が経っていたので、もう電車は発車するタイミングでしたが、私は自分のかばんを座席に残し、スマフォと文庫本を拾ってあわてて出口に向かいその男子学生を探しました。幸いにも声の届くくらいの場所にいたので、電車からホームに片足を降ろして「落としたよ!」と声をかけると、幸いにも気づいてくれて渡すことができました。
やれやれ間に合って良かった、ひとついいことをしたなと席に戻ると、あたりの乗客の視線になぜか暖かいものを感じました。
やがて電車が動き出すと、先ほどの生徒がこちらを見て、少し頭を下げたような気がしました。