2区で快走を見せる横江里沙
第24回高校女子駅伝競走大会の結果を分析しています。本日、取り上げるのは、大会第6位となった須磨学園高校(兵庫)です。
まず、須磨学園高校の概要をおさらいしてみましょう。
須磨学園高校は、兵庫県にある男女共学の私立高校です。
所在地は、兵庫県神戸市須磨区板宿町3-15-14
学校は、1922(大正11)に須磨裁縫女学校として須磨区大手子守前に創設されたのが始まりです。1954(昭和34)に神戸市街を見下ろす2万8000坪もの緑豊かな丘陵地に移転します。1995(平成7)の阪神・淡路大震災が大きな転機となり、1999(平成11)に男女共学へと移行し、須磨学園高校と改称しました。平成16年に中学校を開設。中学・高校の一貫校となりました。こうして実学中心の女子高校から男女共学の進学校へと歩んで行くことになります。昨年、創立90年を迎えました。
クラブ活動も、運動部、文化部ともに盛んで、特に女子陸上競技部は、全国高校女子駅伝大会で、優勝2回を含む17年連続入賞を果たしています。この陸上競技部の関連施設として、周囲300メートルの全天候型総合グラウンドがあります。最近、全国的にもめずらしい制服ならぬ制携帯を取り入れ話題となりました。国公立・有名私大への進学率も高い、文武両道の学校です。生徒数は、約1500名です。
同校の卒業生に、掘江知佳(ユニバーサルエンターテインメント)、加納由理(資生堂)、小林祐梨子(豊田自動織機)などがいます。
今大会の目標は、控えめに上位入賞とのことですが、もちろん狙うのは全国優勝です。全国トップクラスの選手が3名おり、3度目優勝への期待も高まります。
全国大会での過去の成績は、以下のとおりです。
平成23年 4位 1:8:25
平成22年 8位 1:9:20
平成21年 2位 1:8:48
平成20年 4位 1:8:24
平成19年 5位 1:8:47
平成18年 1位 1:7:34
平成17年 2位 1:7:49
平成18年の1:7:34は、歴代総合7位の好成績でした。またこの大会で小林祐梨子は、2区の区間新記録(12:35)を出し、現在もこの記録は破られていません。
それでは、もう一度、今年(以下H24に読み替えてください)の記録を振り返ってみましょう。
今年の兵庫県大会の記録は、1時間10分6秒でした。
大雨という悪条件の中で行われた大会で、記録は望めませんでした。
第1区 太田 琴菜(2)19:45
第2区 小林 美香(3)13:58
第3区 前畑 有希(1) 9:30
第4区 宮永 梨沙(3) 9:43
第5区 横江 里沙(3)17:10
すべての区間が1位で、2位の西脇工業に1分22秒の大差をつけての完全勝利でした。
福田は夏の合宿後、右足首を痛め欠場しました。全国大会は、20年連続20回目の出場となりました。
さらに、近畿地区大会の記録は、1時間8分49秒で第2位でした。
第1区 小林 美香(3)19:19 区間3位
第2区 福田 有以(2)13:24 区間1位
第3区 森崎 舞 (1) 9:17 区間1位
第4区 前原 利香(1) 9:43 区間3位
第5区 横江 里沙(3)17:06 区間3位
全員が区間3位以内の成績で、戦力は非常に安定しています。総合1位の立命館宇治高校とは、32秒差、3位の大阪薫英女学院高校とは5秒差でした。
最後に全国大会の結果です。記録は1時間8分18秒で第6位でした。
第1区 太田 琴菜(2)20:17 区間25位
第2区 横江 里沙(3)13:04 区間2位
第3区 福田 有以(2) 9:22 区間2位(区間新記録)
第4区 小林 美香(3) 9:12 区間1位
第5区 前畑 有希(1)16:23 区間11位
それでは、大会の経過をみていきましょう。
1区は、2年生の太田琴菜でした。いきなり競技場のバックストレートで、長野東高校の湯澤ほのかと接触して転倒してしまいました。幸い、全体がスローペースだったため、すぐに追いつきましたが、精神的ショックとあせり、肉体的にも何らかのダメージもあったのでしょう。後半、ペースがあがらず区間25位と、須磨学園としては苦しいスタートとなりました。この1区、県大会のときと比べ32秒遅いタイムでした。トップとの差は38秒ついていました。この転倒で思い出すのが、第21回大会で、優勝候補といわれていた興譲館高校の、同じく1区・赤松真弘が転倒し、11位と出遅れたときのことです。このとき、後続の選手が必死で追い上げ、3位となりました。
2区は、3年生、横江里沙です。ここからの3区間、怒涛の追い上げを見せます。横江里沙は15人抜きの快走。区間賞こそ大阪薫英女学院高校の松田瑞生に持っていかれますが、13:04で堂々の2位でした。これで順位は10位となりました。横江里沙は、昨年も全国大会でこの区間を走り区間1位(12:55)の成績、そして一昨年もこの区間を走り、区間1位(12:44)の成績でした。タイムは、毎年約10秒落としましたが、実に3年間走り切りました。
3区は、2年生・福田有以です。中継所10位からのスタートでしたが、3人抜いて7位に浮上します。記録は、9:22の区間新記録でしたが、同じく区間新の豊川高校・鷲見梓沙に1秒届かず、おしくも区間2位でした。福田由以は、昨年の大会でもこの3区を走り9:44で区間賞をとっていますが、今年の大会は実に22秒も早かったわけですから驚きます。しかし、昨年の9:44は、今年の区間7位(常盤高校:小林由佳)ですから今年のレベルがいかに高いものかがよくわかります。
4区は、3年生・小林美香です。4人抜いてついに3位に浮上します。この区間、トップは、豊川高校の関根花観と立命館宇治高校の廣田麻衣が競っていたわけですが、小林美香は彼女たちよりも5秒も早い9:12なのですから驚きます。この時点でトップとの差は、9秒に縮まっていました。ということは、太田琴菜の転倒がなければ、須磨学園高校は2位に20秒の差をつけてトップを走っていたかもしれません。
5区は、1年生・前畑有希でした。県大会で3区を走っていますが、経験のない5区への起用は、残念ながら裏目に出てしまいました。興譲館高校、筑紫女学園高校、大阪薫英女学院高校の3校に抜かれ6位に後退してしまいます。タイムは、16:23で区間11位、トップとの差は、56秒となっていました。個人的には、前畑有希を4区、小林由香を昨年と同じ5区ではどうだったかと思いますが、これは結果論に過ぎません。また、1区の転倒がなければ、ひょっとして、2位か3位の表彰台もあったかもしれません。
こうして須磨学園高校は、目標の上位入賞はなりませんでしたが、実に18年連続入賞を果たしました。来年度の健闘を期待して止みません。
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