津和野城へはリフトが便利です。
(前回のつづき)
SL山口号は、その後ポイント入れ替えのためか、数回行ったり来たりしていました。煙を吐く姿は実に絵になります。汽笛は合図用に短く、数回聞こえたきりでした。
こうしてSLを堪能したあと、最後の目的地、津和野城跡に向かいました。観光案内パンフレットによると太鼓谷稲成神社からも歩いていけるようでしたが、所要時間40分とあったので、いったん出直し、リフトを利用して登ろうと思いました。
そのリフト乗り場がなかなかわからず、行ったり来たり、それでもなんとか駐車場を見つけることができました。専用駐車場はそれほど広くなく、しかもすでに満車状態でした。しかしちょうど1台が入れ違いに出るところだったので何とか停めることができました。
乗り場は、稲成神社への車道を挟んで少し登ったところにあります。料金は往復450円、所要時間は5分です。リフト終点から出丸まで5分、本丸跡まで15分とありました。
ちょうど同じタイミングで5人家族の人たちが向かおうとしているところでした。一番年長のお年寄りが、行こうか行くまいか思案している様子でした。
15分ほどのアップダウンの山道。
失礼ながら、その方がかなりの肥満体形だったので、係りの方が、これは絶対無理と判断されたのでしょう、「結構きつい登りもありますし、すべってもいけませんので、こちらで待たれてはいかがですか」と親切に声をかけていました。平坦な山道で森林浴を味わえるくらいに思っていた私は、それを聞いて少し慎重になりました。観光客用に用意してあった竹の杖を借り、いざ出発です。
確かにきつい登りや下りもありますが、山歩きの経験のある私にはさほど感じませんでした。このお城の特徴は、中世と近代の特徴を併せ持つとありました。観光リフトの乗車券の記載によりますと、最初に築かれたのは、北条氏執権のころの1282年、元寇警備のためで、当時は土塁だけの原始的なものだったようです。その後、時代は下り、慶長6年(1601年)に、関が原の戦いで家康の孫、千姫を火の中から救い出した坂崎出羽守が入城、全域にわたって石垣で強化し、出丸を増築したとあります。
眺望の良さは抜群です。
しかし、標高367m.のこの急峻な山頂によくぞこのような城を築いたものと感心せざるをえません。石垣で築かれた本丸跡は、平坦な野芝の大地、眼下には山々に囲まれた津和野の町並みが広がります。さわやかな風が吹きぬけ、気分も爽快です。現在、天空の城としては、最も人気のある兵庫県の竹田城址、そして、岡山県高梁市の備中松山城、福井県大野市の越前大野城も有名ですが、この津和野城跡も十分肩を並べるだけのスケールです。ただ、残念だったのは、鉄パイプで足場が組んであるところや、危険箇所にブルーシートが見られたことです。今、まさに天空の城ブーム、もう少し整備しPRすると大勢の観光客を呼び込めるのでは、とそう思いました。
壮大なスケールです。