12年間も「友だち以上恋人未満」の関係を維持してきた、中学高校時代からの友だちのブログから、最近は彼女の話題が消えている。彼は6月のブログではこう書いている。
「12年間もの間、いつもプラトニックのままで、たまに手を結んで歩くことはあっても、それ以上の関係に発展することはなかった。少なくとも私は、それで満足だった。それ以上の関係を望むことで、現状の心地よい立場を破壊することが怖かったからだ。(略)相手のことを誰よりも愛していて、相手も自分に好意を持っていてくれると分かったとしても、それでも、卑怯かもしれないが、簡単にプラトニックの関係を超えることを許さない意固地な私が心のど真ん中に堂々と居座っており、私と彼女の関係をこれ以上、前には進ませないのである。
世の中には、仕出かして後悔することもあるし、何もしなかったことを後悔する場合もある。一度の人生である、何も行動しないで後悔はしたくないと多くの人は語る。だが、世の中には、相手が好きで好きでたまらなくても、現状維持を守り抜いて行動しない方が、後悔しないだろうという考え方も、私の中では“有り”なのだ。
(略)私と彼女の関係は、どのような形で継続することが、二人にとって幸せなことなのか、何度も何度も真剣に考えた末に、現状のままの心地よい空間を、二人で“なんとなく”共有することが、互いに幸せだと思いつつ、12年間も付き合ってしまった。そうした関係が、いい加減だと言われれば、返す言葉を持たないが、さりとて、今にして思えば、そうした関係を維持することでしか、二人の愛を昇華させる術は、私たちにはなかったように思える。」
そして、最後に彼女のことがブログに出ていたのは、9月の初めだったように思う。そのブログは次のように書かれている。
「今、一番大事な女友だちと初めて会ったのも、このスナックだった。6月に二人で飲みに行ってから会っていない。彼女から、以前に比べ、自分を思う気持ちが薄れたのではないかと問い詰められて、私はその場はそんなことはないと反論したが、私の心の中を正直に言うと、今の私が彼女のそばにいると、彼女の将来に支障をきたすことになるのではないかと真剣に考えるようになり、ここのところ、会うことを躊躇するようになったのは事実である。」
彼はそのスナックで、『北空港』に続いて『ふたりの大阪』を歌うことになる。『北空港』は彼が彼女と始めてデュエットした曲だという。彼は『ふたりの大阪』を歌う頃には「次第に声が声にならなくなってしまった。(略)彼は彼女の名を呼んで、「好きだ、好きだ、好きだ。別れたくない。別れたくない、別れたくないよおー。心の中で必死に叫んでいた。」と書いている。
それでいながら意固地を徹すのはなぜなのだろう。「老いらくの恋は、繰り返すチャンスが消滅しているだけに、何故か、物悲しい」と綴る気持ちはよくわかる。それにしても、彼女のことがブログに出てこないのは、やはり醒めてきてしまっているのだろうか。
「12年間もの間、いつもプラトニックのままで、たまに手を結んで歩くことはあっても、それ以上の関係に発展することはなかった。少なくとも私は、それで満足だった。それ以上の関係を望むことで、現状の心地よい立場を破壊することが怖かったからだ。(略)相手のことを誰よりも愛していて、相手も自分に好意を持っていてくれると分かったとしても、それでも、卑怯かもしれないが、簡単にプラトニックの関係を超えることを許さない意固地な私が心のど真ん中に堂々と居座っており、私と彼女の関係をこれ以上、前には進ませないのである。
世の中には、仕出かして後悔することもあるし、何もしなかったことを後悔する場合もある。一度の人生である、何も行動しないで後悔はしたくないと多くの人は語る。だが、世の中には、相手が好きで好きでたまらなくても、現状維持を守り抜いて行動しない方が、後悔しないだろうという考え方も、私の中では“有り”なのだ。
(略)私と彼女の関係は、どのような形で継続することが、二人にとって幸せなことなのか、何度も何度も真剣に考えた末に、現状のままの心地よい空間を、二人で“なんとなく”共有することが、互いに幸せだと思いつつ、12年間も付き合ってしまった。そうした関係が、いい加減だと言われれば、返す言葉を持たないが、さりとて、今にして思えば、そうした関係を維持することでしか、二人の愛を昇華させる術は、私たちにはなかったように思える。」
そして、最後に彼女のことがブログに出ていたのは、9月の初めだったように思う。そのブログは次のように書かれている。
「今、一番大事な女友だちと初めて会ったのも、このスナックだった。6月に二人で飲みに行ってから会っていない。彼女から、以前に比べ、自分を思う気持ちが薄れたのではないかと問い詰められて、私はその場はそんなことはないと反論したが、私の心の中を正直に言うと、今の私が彼女のそばにいると、彼女の将来に支障をきたすことになるのではないかと真剣に考えるようになり、ここのところ、会うことを躊躇するようになったのは事実である。」
彼はそのスナックで、『北空港』に続いて『ふたりの大阪』を歌うことになる。『北空港』は彼が彼女と始めてデュエットした曲だという。彼は『ふたりの大阪』を歌う頃には「次第に声が声にならなくなってしまった。(略)彼は彼女の名を呼んで、「好きだ、好きだ、好きだ。別れたくない。別れたくない、別れたくないよおー。心の中で必死に叫んでいた。」と書いている。
それでいながら意固地を徹すのはなぜなのだろう。「老いらくの恋は、繰り返すチャンスが消滅しているだけに、何故か、物悲しい」と綴る気持ちはよくわかる。それにしても、彼女のことがブログに出てこないのは、やはり醒めてきてしまっているのだろうか。