自民党の総裁選挙に立候補した4人が政策論争をしている。自民党総裁は派閥のボスらが決めていたのに、開かれた新鮮な選挙の印象を与えている。自民党の体質が大きく様変わりしたと思わせている。来たる衆院選挙に向けて、これはかなりの好印象である。
その裏では、党員票を搔き集めるために、各県の有力者や団体の有力者に、候補者自身があるいは応援議員が頭を下げて回っているようだ。選挙は、頭を下げないと票は集まらない。国会議員も地方議員も首長も、当選するためにはひたすら頭を下げてお願いする。
私は選挙に出るまでは、政策が一番大事だと思っていた。ところがいざ、選挙になると、「お願いに来ない」と言われる。「お願いに来れば、応援してやる」とあからさまに言われると、「そんな人に応援してもらわなくてもいい」と開き直ってしまい、選挙の経験者から「それでは勝てない」と叱られた。
社会党の県議だった男に、「社会党は党内で政策論争をしているのか」と訊ねた。「もっぱら支持団体の労組回りだ」と言う。その労組も組織内で政策の学習などしたことが無い。人のつながりでなんとか票集めをしている。
野党は「総裁選挙をしているよりも、コロナ対策をしっかりやるべきだ」と批判するが、野党連合に踏み切ることも出来ない。負け犬の遠吠え状態の野党など、自民党は何も怖くない。自民党が危惧するのは、当選議員が減り党内に亀裂が生まれることだろう。
だから古参幹部は、「とにかく地元を回れ。人に会って頭を下げろ」と叱咤する。「議員になったら、挨拶にも来ない」と言われる人は落選する。どこの国でも、こんな選挙なのだろうか。政策で競い合う選挙にするためにはどうすればいいのだろう。