緊急事態宣言が明日、全面解除されるというので、1日早いが古川美術館で開催中の『印象派とエコール・ド・パリ』を観に行って来た。自粛が効いているのか、思ったほど人もいなかった。ターナーの風景画にはじまり、印象派の由来となったクロード・モネの作品が展示されている。
2階にはゴーギャンとゴッホの初期の頃の作品が並べて展示されいるし、『叫び』で有名なムンクの作品とは思えない油絵もあり、ピカソに認められた藤田嗣二の作品もある。展示されている作品数は多くないが、結構見応えはある。
美術館の南に為三郎記念館があり、ここを素通りしては来た価値がないので寄ってみた。池下の丘陵地にあるこの地は、昔は静かな屋敷街だっただろう。今ではマンションが建ち、その南にもマンションの建設が予定されいるので、「建設反対」の横断幕が掲げられている。
その建設予定地の西に記念館はある。為三郎が「終のすみか」として昭和9年に建てた数寄屋建築で、茶会などを催したのだろう。各部屋から日本庭園が眺められ、庭の奥には茶室「知足庵」が見える。庭に出てみると記念館は高床式であることが分かる。
土地の傾斜を巧みに利用し、各部屋はそれぞれに独立して使えるように工夫されているが、「大桐の間」や「ひさごの間」は襖を外せば大広間として使えるだろう。中庭の面した「桜の間」は平成8年に改修され、天井と壁に洋画家の田村能里子さんが桜吹雪を描いている。
私は古川為三郎氏をヘラルド映画を始めた人くらいしか知らなかった。103歳の長寿を全うされ、アメリカの雑誌で「世界最高齢の富豪」と紹介されたそうだ。スキー場やボーリング場、ケーブルテレビにもかかわり、私も泊まったことのある猿投温泉ホテル金泉閣も、古川為三郎氏が手掛けたと知った。