「赤いダイヤはご存知ですか?」「ええ、小豆のことです」「では、黄色いダイヤはご存知ですか?」「さあ、何でしょうか」「今、一番注目されている商品です」とか、「石油が枯渇していることは知っていますか?ガソリンスタンドの値段も日替わりで変化していますよね」とか、「株はお持ちですか?」「いいえ、持っていません」「株で儲ける人もいますが、もっと安心して儲けられる商品はご存知ですか?」とか、電話がかかってくることがある。そして「必ず、儲かります」と勧めてくれる。
私が「儲ける気が全くありませんから」と答えると、たいていの人は「そうですか」と言って切ってしまうが、「パンフレットだけでも見てください。お送りします」と食い下がる人もいる。中には「儲ける気がないなんてウソでしょう。お金が欲しくない人なんかいませんよ」と説教してくれる人もいる。そんな人にわざわざ反論する必要はないのだが、「あのね、あなたはまだ若いから分からないかも知れないけれど、世の中にはいろんな人がいるんですよ。それだけは知っておいた方がいいですよ」と、逆に説教してあげることにしている。
絶対に儲かるのであれば、儲けたいと思っている人がやればいい。お金は働いて得るものと思っているので、汗を流してこそ意味がある。そう言うと、「銀行や郵便局にお金を預けているでしょう。働かずにお金を増やしているじゃーないですか」とまで、噛み付いてきた男の人もいた。「それは資本主義社会の仕組みでしょう。儲けたくてやっているわけではありません」と答えたが、「いや、誤魔化しです。お金が欲しいなら欲しいと素直になった方がいいですよ」と勝ち誇ったように言われてしまったこともある。
先日、生命保険の人がやって来て、「新しい商品ができたので、買い替えされたらどうかと思いプランを作ってきました」と言う。この生命保険会社とは20代の時からの付き合いだ。母がまだ生きていた頃、「生命保険のやりくりで大変だ」と嘆いていた。そんなに大変なら辞めればいいのにと思ったが、「辞めると掛け金を失うことになる」と言っていた。苦しい思いをしてまで続けなくてはならない保険はおかしい。私は保険には入らないと決めていた。だから教員になって保険の人が職場を回ってきても頑固に断っていた。ところが私が結婚するとなると、「保険はあなたのためではなく奥さんのためのものですよ」と説得されて、保険の内容も検討することなく入った。
還暦になって保険の内容が変わるからと、担当の人がやって来たけれど、一切カミさん任せで内容は知らない。特別なものでなくて一通りでいいとだけ言っている。生命保険は死んで出るものだから、生きている人のためのものだ。死んでいく自分には関係ないと思っていたら、死んでも葬式代しか残らないのが今の保険だと説明された。生きていると病気で入院が一番お金がかかるので、そのための保険だと言う。それも80歳までしか保証がないらしい。ごもっともだ。でも、後3年くらいは長生きしたいと願っている。
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