夜中に、ピーともブーとも表せない音が鳴り続けた。台所の辺りのようだ。慌てて寝室を出る。けれど、電灯を点けるのをためらった。もし、ガス漏れでもしていて、電気を作動させたために爆発でもしたら、我が家だけでなく周りまで火の海になってしまう。
冷静によく考えろと言い聞かせ、カーテンを開けて部屋の中を観察する。ガス台も冷蔵庫も異常はない。音の発生源は台所ではないと分かったので、とりあえず廊下の電灯を点けてみる。浴室と洗面所を覗くがこちらも異常はなさそうだ。もう一度、音に耳を澄ます。
得体の知れない音は、廊下に取り付けられている緊急非常用のスピーカーからだ。スイッチを回してみても音は止まないが、ボリュームを絞ることは出来たので小さくして寝室に戻った。それから40分くらいした午前2時に、また、音が鳴ったが、今回は音量が小さかったので、ドアを閉めて眠りに就いた。
朝、我が家のスピーカーだけが異常なのか、同じ回線の部屋でも音がしたのか、確かめるために隣近所に電話をしてみた。やはり音がしたというので、電気に精通している友だちに電話を入れ、事情を説明する。彼は、「音は聞いていない」と言うが、「管理事務所に行ってくる」と答えてくれた。
マンションも建って40年以上も経つからいろいろと不具合が出てくる。入居当初の人たちは自主管理で理想郷を目指していたから、管理業者に任せることなく自ら修繕計画を立て、出来ることは何でもやって来た。古い割にはきれいなマンションと評価されているのもこうした先人たちのおかげだ。
不具合を改善する合意と努力が求められるが、コロナ禍で会議も出来ないのが現状だ。それでもマンションを愛する気持ちが強い人たちが多いから、必ず前進していくだろう。音が発生した原因は分かり、対処できたというから、今晩はゆっくり眠れるだろう。
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