自民党の新総裁になった菅さんは、地方出身を売りに、地縁・血縁もなく、たたき上げの政治家であると強調している。無党派・市民派で立候補する人の多くも地盤も看板もない。当選するために頑張ることは、地域に利益をもたらす政策を掲げるか、誰かさんのようにお金をばらまくか、のように思われがちだが、あくまで理想を掲げ、こまめに地域を回る努力をすれば、議員なら当選できる。
菅さんは「役所の縦割り、既得権益、先例主義を打倒し、規制改革をしっかり進めたい」と抱負を語った。保守ではない、改革派だと誰でも思ってしまうが、そうしなければ進めないところに日本の政治の現実があるということだ。また、「派閥には配慮しない」とも言う。けれど、党の人事では応援してくれた派閥への配慮は明確だ。這い上がってきた者の強みでもあるが、弱みでもある。
「自助、共助、公助」のキャッチフレーズを、菅さんは口にしていた。「自分のことは自分でする。結論を出すのも自分で、責任を負うのも自分。誰も助けてはくれません」と苦労人らしい骨のあることを言う。生きている人の多くは、そのように生きている。けれど、そうしたくても出来ない人に手を差し出すのが政治である。社会は勝ち残った人ばかりで成り立っている訳ではない。
菅さんは信念の人だと言う。決めたことは必ず実行するとも言う。立派だが怖い人でもある。「国民の声を聞いて」というのが、単なる建前になってしまわないかと危惧してしまう。国民は、たたき上げの苦労人で、強い信念の人を望む傾向にある。本当にそれでよいのかと私は思ってしまう。
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