シンガポールとマレーシアといえば、何かと比較されることが多い隣国で、面白おかしく比較したお茶らけた本(”The Difference between Malaysians and Singaporeans”)を別のブログで紹介したことがありました(http://penangwind.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/index.html)。今回、両国をほんの短時間でしたが訪問した中で、酒を飲みながらのヨモヤマ話の中で印象に残ったのは、シンガポールの政治家や官僚の給料がべらぼうに高いという話と、シンガポールとマレーシアの通貨は、当初、交換比率は1:1だったという事実です。今日は、先ず、シンガポールの政治家や公務員の給料が高いという話題です。
現地子会社・社長の話によると、シンガポール首相の給料は2億円を越えるそうです。調べてみると、2011年1月のNewsweekの記事が引っかかり、世界で最も高い給料をもらっている首相だと報じられていました。単純比較であれば、日本の首相の5倍はありそうです。アメリカ大統領、フランス大統領、さらにドイツ首相は日本よりも低いらしい。もっとも、シンガポールに首相官邸や専用車はなく、福利厚生に至るまで全て込みの給料という一本の形で支給しているので、見かけほどの差にはならないかも知れません(他国のリーダーも、単純比較してよいものかどうか分かりません)。それでも現地では世間離れしているとまで見られる給料水準を与える理由として、リー・クアンユー顧問相は、かつて「大臣や官僚の収入の低いことがアジアの多くの国で政府に損失を与えていた。適当な額の報酬は政治家と役人の清廉さを保つために欠かせないものだ」と述べたそうです。つまり極めてアジア的な風土に根差していて、汚職を防止するために公務員の給料を高く設定しているために首相の給料もそれにつられて高くしているというものです。
実際に、シンガポールのキャリア官僚は全員合わせても200名くらいと極めて少ないそうですが、トップ・クラスは年収が1億円に達するそうです。やはり単純比較では日本の5倍くらいはありそうです(同様に算定基準が違うので、日本の各種手当を含めるとそこまで差は出ないでしょう)。特徴的なのは、シンガポールの官僚の給料は、固定給と変動給とに分かれ、民間セクターの業績とGDP成長率に連動させていること、人事権は各省庁にはなく中央で一括して管理され、徹底的な能力主義のもとに、200名の序列をつけ、3年間ランクが下位5%の場合には退出を迫るという話まであります。
参考までに、こうした公務員や政治家の給料の算出根拠は、シンガポールの高額所得者の多くが所属する6業種、即ち金融機関、法律事務所、会計事務所、エンジニア、外資系企業、国内製造業から上位8人の平均年俸を算出し、その3分の2の額に連動させていると解説するサイトもありました。それなりに国民に対して納得してもらえるよう説明責任を果たす努力の後が見られます。
私がマレーシアに滞在していた頃、警察官の給料を上げるかどうかが何度か議論になっていたのは、やはり汚職がはびこっていたからで、マレーシアでは、警察官に小金を掴ませて軽めの交通犯罪を逃れることなど日常茶飯事でした。かつては同じマレーシア連邦を形成しながら、マレーシアは、シンガポールのような極端な合目的的な社会システムとは程遠い、古い体質をもった社会のままです。それでは日本はどうでしょうか。シンガポールとマレーシアを座標軸上にプロットすると、残念ながら日本はマレーシアに近いと言わざるを得ません。勿論、どちらにも功罪あり、国の歴史やこれからの国のありよう、いわばグランド・デザインに関わる問題ですので、単純に解が出せるとは思えません。少なくとも、命を守る医療関係者、将来を担う若者を育てる教育関係者、国家を担う政治家・官僚にも、大いに人材を集めるべきだと思いますが、かつて日本という国家が勃興した当時こそ、高い使命感と倫理観のもとに、これら領域に人が集まったものでしたが、成熟して価値観が多様化した今日の日本で、いつまでも使命感だけで有為な人材を惹きつけられるとは思えません。そのためこれらの領域は変化に対応できず旧態依然として、ある意味で守られている(隔離されている?)ようにも見えるのは、競争に晒されて緊張感を強いられる民間企業の僻みでしょうか。折しも総選挙がありましたので、シンガポールの話を聞きながら、国のありようをつらつら考える契機となりました。
現地子会社・社長の話によると、シンガポール首相の給料は2億円を越えるそうです。調べてみると、2011年1月のNewsweekの記事が引っかかり、世界で最も高い給料をもらっている首相だと報じられていました。単純比較であれば、日本の首相の5倍はありそうです。アメリカ大統領、フランス大統領、さらにドイツ首相は日本よりも低いらしい。もっとも、シンガポールに首相官邸や専用車はなく、福利厚生に至るまで全て込みの給料という一本の形で支給しているので、見かけほどの差にはならないかも知れません(他国のリーダーも、単純比較してよいものかどうか分かりません)。それでも現地では世間離れしているとまで見られる給料水準を与える理由として、リー・クアンユー顧問相は、かつて「大臣や官僚の収入の低いことがアジアの多くの国で政府に損失を与えていた。適当な額の報酬は政治家と役人の清廉さを保つために欠かせないものだ」と述べたそうです。つまり極めてアジア的な風土に根差していて、汚職を防止するために公務員の給料を高く設定しているために首相の給料もそれにつられて高くしているというものです。
実際に、シンガポールのキャリア官僚は全員合わせても200名くらいと極めて少ないそうですが、トップ・クラスは年収が1億円に達するそうです。やはり単純比較では日本の5倍くらいはありそうです(同様に算定基準が違うので、日本の各種手当を含めるとそこまで差は出ないでしょう)。特徴的なのは、シンガポールの官僚の給料は、固定給と変動給とに分かれ、民間セクターの業績とGDP成長率に連動させていること、人事権は各省庁にはなく中央で一括して管理され、徹底的な能力主義のもとに、200名の序列をつけ、3年間ランクが下位5%の場合には退出を迫るという話まであります。
参考までに、こうした公務員や政治家の給料の算出根拠は、シンガポールの高額所得者の多くが所属する6業種、即ち金融機関、法律事務所、会計事務所、エンジニア、外資系企業、国内製造業から上位8人の平均年俸を算出し、その3分の2の額に連動させていると解説するサイトもありました。それなりに国民に対して納得してもらえるよう説明責任を果たす努力の後が見られます。
私がマレーシアに滞在していた頃、警察官の給料を上げるかどうかが何度か議論になっていたのは、やはり汚職がはびこっていたからで、マレーシアでは、警察官に小金を掴ませて軽めの交通犯罪を逃れることなど日常茶飯事でした。かつては同じマレーシア連邦を形成しながら、マレーシアは、シンガポールのような極端な合目的的な社会システムとは程遠い、古い体質をもった社会のままです。それでは日本はどうでしょうか。シンガポールとマレーシアを座標軸上にプロットすると、残念ながら日本はマレーシアに近いと言わざるを得ません。勿論、どちらにも功罪あり、国の歴史やこれからの国のありよう、いわばグランド・デザインに関わる問題ですので、単純に解が出せるとは思えません。少なくとも、命を守る医療関係者、将来を担う若者を育てる教育関係者、国家を担う政治家・官僚にも、大いに人材を集めるべきだと思いますが、かつて日本という国家が勃興した当時こそ、高い使命感と倫理観のもとに、これら領域に人が集まったものでしたが、成熟して価値観が多様化した今日の日本で、いつまでも使命感だけで有為な人材を惹きつけられるとは思えません。そのためこれらの領域は変化に対応できず旧態依然として、ある意味で守られている(隔離されている?)ようにも見えるのは、競争に晒されて緊張感を強いられる民間企業の僻みでしょうか。折しも総選挙がありましたので、シンガポールの話を聞きながら、国のありようをつらつら考える契機となりました。