風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

トランプ氏ってどんな人

2016-12-01 01:16:29 | 時事放談
 前回ブログでキューバを取り上げたついでに・・・・・・トランプ次期米大統領は、オバマ大統領がキューバと合意した国交回復について、「キューバが国民やキューバ系米国人、米国全体に対してより良い取引をする」ことを交渉条件に、逆に、より良い条件で再交渉に応じなければ「合意を打ち切る」考えであることを、ツイッターに投稿したらしい。いまひとつ具体的ではないが、この人は何ごとも(国家間の関係ですら)カネに換算して、個人であればともかく、米国の大統領になろうかという人の品格ある発言とは凡そかけ離れていて、毎度のことながら呆れさせられる。
 ちょっと前のニューズウィーク日本版は、トランプ嫌いのマスコミの典型として、「世界中にトランプ・ブランドを売って大金を稼ぐ男が次に売り出すのは米国の国益かも知れない」などと、実業家のトランプ氏をこき下ろしていた。一般の目には成功した不動産開発業者と映っているかも知れないが、開発投資に再三失敗して大勢の投資家に迷惑をかけているだけでなく、教育団体の運営では詐欺罪に問われて集団訴訟を起こされており、ここ10年近くは、自らホテルやオフィスタワーを建設するのではなく、TVでの知名度を活かして開発業者に「トランプ」名義を貸してライセンス料を徴収する、言わば濡れ手に粟のビジネス・モデルに変わっているらしいし、提携先企業が贈収賄や密輸などの犯罪容疑をかけられて怪しげな関係が疑われるほか、こうして世界中の米国の同盟国や敵国とも多くの金銭的関係があるために、大統領となった暁には政策判断が深刻な利益相反と倫理問題に直面することが懸念される、などと解説していた。一般市民が知っていたらトランプ大統領は誕生しないだろうと思われるほどの、げんなりする話ばかりである。
 そんなトランプ氏を、一言で(英語の形容詞で)表現するなら、meanという言葉がぴったりではないかと思っている。ランダムハウス英和辞典を引くと「〈人・行為が〉いやな,卑劣な;下品な,さもしい;((主に米話)) 意地の悪い,利己的な」とある。
 このあたりは、実は個人的経験に基づいている。随分前の話になるが、かつて米国に駐在していたとき、ボストンの同僚が、西海岸にいるある同僚となかなかウマが合わなそうに見えたので、様子を尋ねたところ、彼はmeanだからとポツリと答えたものである。その西海岸の同僚は実は日本人で、頭はいいのだがちょっと虚栄心があって抜け目がなく、そのくせケチで鼻持ちならないところがあるのを、私は同じ日本人として極めて微妙な肌合いで感じていたのだが、そのボストンの米人同僚もまた見事に嗅ぎ分けて、一言でずばり表現したのだった。ボストンをはじめ米国・北東部のニューイングランド地方と言えば、エスタブリッシュメントの町であり、ボストン・グローブやNYタイムズなどリベラル(=民主党支持)の牙城である。アメリカのこうした代表的なメディアがトランプ(共和党)候補を毛嫌いし不支持を表明したのは、一般市民が知らない実業家としてのトランプ氏の実像を知っていて、ボストンの同僚が西海岸の同僚に対して感じていたのと同じように、トランプ氏に対してmeanな感情を抱いていたのではないかと勝手な想像をするわけだ。
 トランプ氏の勝利は、反知性主義だの、政治的公正(political correctness)なる建前の偽善性のためだのと論う声が聞こえて来るが、その当否はともかく、アメリカのメディアが偏向していると批判されるまでにトランプ氏不支持を訴えたのは、別に米人に聞いたわけではなく私が勝手に想像するだけだが、案外、meanといった感情的なわだかまりによるのではないかと思うのだが、どうだろう。私はこの思いつきを、結構、気に入っている。
コメント
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