昨日の日経夕刊によると、2016年生まれの子供の数は、1899年の統計開始以降で初めて、100万人の大台を割り込み、98万~99万人程度になる見通しだという。子を産む若い世代の人口が減っていることに加え、晩婚化や経済的な理由で二人目を産む夫婦が減って、これらがダブルやトリプルで効いているであろうことは容易に想像がつく。私が生まれた頃は約160万人だから、この50年で実に4割近く減ったことになる。TVゲームや携帯のない昔は公園で遊ぶ子供はここでいう減少率どころではなくさぞ多くて賑やかだったことだろう。他方、死亡数は130万人で、いくら平均寿命が延びても出生数が減るために、死亡数が出生数を上回る「自然減」は31万人に達し(過去最多)、10年連続となるそうだ。
もっとも、私たちはせいぜい数十年単位でしかものごとを見ないので、今でこそ先進国ヅラをして新興国や発展途上国に対し多少なりとも優越感を持って接しているかも知れないが、実は日本だって明治維新以降に高成長を遂げた、新興国の先輩格にすぎない。調べてみると、明治5年に僅か3500万人だった日本の人口は、その後60年かけて太平洋戦争前に2倍の7000万人になり、更に30年かけて大阪万博の頃に3倍の1億500万人になった。ピークは2008年の1億2800万人で、現在、そこから100万人減っているのはともかくとして、これだけ短期間に急激に人口が増え、経済的に豊かになって、平均寿命が延びるとともに少子化が進行し、これから(とりわけ若い)人口が減って行く世界最先端の高齢社会になるというヒズミは、数百年先行して緩やかに成長(停滞)を続けるヨーロッパとは比べものにならないほど大きいだろう。
子供が減っているとは言え、1人の女性が生涯に産む子どもの数を推計した合計特殊出生率は、昨年1.45で、2005年の1.26を底に持ち直している。それでも単純に2.00(正確には2.07)ないと基本的には人口を維持出来ないから、深刻であることには違いない。この合計特殊出生率は、世界の半分近い国で2.07を下回っている。とりわけ東アジア諸国で顕著で、世銀の昨年のデータによると、韓国1.29(196位)、香港1.26(199位)、シンガポール1.24(203位)、台湾1.12(204位)と、かつて1980年代にNIEs(昇龍)と呼ばれた国と地域が日本より下に位置しているのが興味深い。ここで思い出されるのは、OECDが実施する国際学力テスト(PISA)で、上位は、三科目平均に意味があるかどうか別にして、シンガポール、香港、日本、マカオ、台湾(さらにエストニアやカナダやフィンランドに次いで韓国)と続く。子供の数が減って、学校で先生の目が行き届きやすくなっているのか、塾や家庭教師など教育にカネを注ぎ込めるようになっているのか、あるいはそのような環境を求める移民が成績を引き上げているのか、なんとなくまだ成熟と言うには程遠くて飽くまで成長を追い続ける貪欲で不安定な印象を裏付けるようなデータである。
孫引きになるが、ある新聞の投書欄に次のような話が載ったらしい。登山をして来た元気な高齢者が優先席に座っている若者に聞こえよがしに「近頃の若者は年寄りに対する敬意が足りない」と呟いたのに対し、若者が疲れた顔で「あなたたちの年金は我々の残業代から出ているのだ」と反論したのだとか。大いにあり得る話で、確かに私も通勤帰りの電車で、どこかで遊んで来られたのかリフレッシュされて元気そうなお年寄りが乗り込まれるのを見かけて、一日疲れて(最近は齢のせいか疲れが激しい 笑)せっかく始発駅で並んで確保した席を譲るのが億劫になることがある。
そんなこんなで、出生数減少のニュースを受けて、国家間の不均衡や、世代間の不均衡(とりわけシルバー民主主義)についても考えさせられるのであった。
もっとも、私たちはせいぜい数十年単位でしかものごとを見ないので、今でこそ先進国ヅラをして新興国や発展途上国に対し多少なりとも優越感を持って接しているかも知れないが、実は日本だって明治維新以降に高成長を遂げた、新興国の先輩格にすぎない。調べてみると、明治5年に僅か3500万人だった日本の人口は、その後60年かけて太平洋戦争前に2倍の7000万人になり、更に30年かけて大阪万博の頃に3倍の1億500万人になった。ピークは2008年の1億2800万人で、現在、そこから100万人減っているのはともかくとして、これだけ短期間に急激に人口が増え、経済的に豊かになって、平均寿命が延びるとともに少子化が進行し、これから(とりわけ若い)人口が減って行く世界最先端の高齢社会になるというヒズミは、数百年先行して緩やかに成長(停滞)を続けるヨーロッパとは比べものにならないほど大きいだろう。
子供が減っているとは言え、1人の女性が生涯に産む子どもの数を推計した合計特殊出生率は、昨年1.45で、2005年の1.26を底に持ち直している。それでも単純に2.00(正確には2.07)ないと基本的には人口を維持出来ないから、深刻であることには違いない。この合計特殊出生率は、世界の半分近い国で2.07を下回っている。とりわけ東アジア諸国で顕著で、世銀の昨年のデータによると、韓国1.29(196位)、香港1.26(199位)、シンガポール1.24(203位)、台湾1.12(204位)と、かつて1980年代にNIEs(昇龍)と呼ばれた国と地域が日本より下に位置しているのが興味深い。ここで思い出されるのは、OECDが実施する国際学力テスト(PISA)で、上位は、三科目平均に意味があるかどうか別にして、シンガポール、香港、日本、マカオ、台湾(さらにエストニアやカナダやフィンランドに次いで韓国)と続く。子供の数が減って、学校で先生の目が行き届きやすくなっているのか、塾や家庭教師など教育にカネを注ぎ込めるようになっているのか、あるいはそのような環境を求める移民が成績を引き上げているのか、なんとなくまだ成熟と言うには程遠くて飽くまで成長を追い続ける貪欲で不安定な印象を裏付けるようなデータである。
孫引きになるが、ある新聞の投書欄に次のような話が載ったらしい。登山をして来た元気な高齢者が優先席に座っている若者に聞こえよがしに「近頃の若者は年寄りに対する敬意が足りない」と呟いたのに対し、若者が疲れた顔で「あなたたちの年金は我々の残業代から出ているのだ」と反論したのだとか。大いにあり得る話で、確かに私も通勤帰りの電車で、どこかで遊んで来られたのかリフレッシュされて元気そうなお年寄りが乗り込まれるのを見かけて、一日疲れて(最近は齢のせいか疲れが激しい 笑)せっかく始発駅で並んで確保した席を譲るのが億劫になることがある。
そんなこんなで、出生数減少のニュースを受けて、国家間の不均衡や、世代間の不均衡(とりわけシルバー民主主義)についても考えさせられるのであった。