文春砲ならぬボルトン砲が暴いた、トランプ大統領の国益を損なう公私混同の真骨頂は、昨年6月、大阪で習近平国家主席と会談した際、今年の米大統領選を話題にして、再選を後押ししてほしいと習氏に訴え、選挙で勝利するためには、農家からの支持と、中国による大豆と小麦の輸入増が重要だと強調したことだろう。意外性はないにしても、そこまで言うか!?という驚きがあった。
ところが、これに関して、トランプ大統領が習近平国家主席に選挙協力を一方的に頼んだかのような解説になっているのは誤りで、実際は、習近平国家主席がトランプ大統領の再選を望むと先に言ったことに対して、トランプ大統領がだったら協力して欲しいといった、という流れだったと言われる(滝澤伯文氏による)。結果として同じじゃないかと思われるかも知れないが、話の流れが変わると受け取るニュアンスは若干異なる。
こうして、部分的に切り取られて誤解を招くことは、特にリベラル・メディアを敵に回すトランプ大統領にはよくあることだ(笑)。
ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性ジョージ・フロイド氏が警察の拘束下で亡くなって、全米を巻き込む人種差別反対運動で盛り上がっているが、当初、メディアは、トランプ大統領が彼の死を「素晴らしい日だ」と喜んだかのように取り上げた(らしい)。しかし、トランプ大統領が呟いたのは、「人種や肌の色、性別、信条にかかわらず、司法から平等の扱いを受けなければならない」「ジョージは今、天から見下ろしながら、『素晴らしいことが米国に起こっている』と言っているのではないか。彼にとって、また皆にとって素晴らしい日だ」というものだった(久保弾氏による)そうで、これでは至極まっとうで、リベラル・メディアが喜ぶようなニュース・バリューがない(苦笑)。
似たように発言を切り取る話として、一昨年の6月、ホワイトハウスで行われた日米首脳会談で、トランプ大統領が「真珠湾を忘れていない」と言ったことが物議を醸したのを思い出す。これだけ聞くと、かつて日本が仕掛けた不意打ちを今もなお卑怯なものとして恨みに思っているような物の言いで、共同通信は、「異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ」と書き立て、時事は「政府『真珠湾』発言否定に躍起=揺らぐ日米蜜月」、朝日は「トランプ氏、日米会談で『真珠湾忘れない』 対日赤字、首相に不満示す 米紙報道」といった見出しを掲げて、日米の不協和音を煽ったものだ。しかし、これらはワシントンポスト紙のニュースをそのまま参照したことによる誤りで、実は、トランプ大統領は先ほどの発言に続けて、「日本も昔はもっと戦っていただろう」「日本もアメリカも同じように周辺国ともっと戦うべきだ」と語っていて、これでは意味するところが全く異なることになる。
ボルトン氏の回顧録によると、トランプ大統領は、どこで知ったか、安倍首相の父君・晋太郎氏が第二次世界大戦中に神風特攻隊(カミカゼ・パイロット)に志願したことに言及するのを好み、日本人、特に安倍氏がどれほどタフかを示そうとしたと言う。不動産セールスマン出身のトランプ大統領は戦争が苦手と言われたものだが、マッチョはお好みのようだ(笑)。日本と言えば真珠湾攻撃を思い浮かべるのも、どうやらこの文脈だと考えてよさそうだ。
それにしても、ボルトン氏の回顧録にあるエピソードとして、トランプ大統領が側近に対して「フィンランドはロシアの一部ではないのか」と質問したとか、英国のメイ前首相との会話で「英国は核保有国」との言及があって、トランプ大統領は話を遮って「えっ、英国も核保有国なの?」と尋ねたというのには、ずっこけてしまう(笑)。そんなこともあって、アメリカのエスタブリッシュメントのトランプ嫌いは相変わらずで、その一部を構成する大手リベラル・メディアの報道も相変わらず、それをそのまま引用・参照する日本の大手メディアの報道には、よくよく気を付けなければならないのだろう。
ところが、これに関して、トランプ大統領が習近平国家主席に選挙協力を一方的に頼んだかのような解説になっているのは誤りで、実際は、習近平国家主席がトランプ大統領の再選を望むと先に言ったことに対して、トランプ大統領がだったら協力して欲しいといった、という流れだったと言われる(滝澤伯文氏による)。結果として同じじゃないかと思われるかも知れないが、話の流れが変わると受け取るニュアンスは若干異なる。
こうして、部分的に切り取られて誤解を招くことは、特にリベラル・メディアを敵に回すトランプ大統領にはよくあることだ(笑)。
ミネソタ州ミネアポリスで、黒人男性ジョージ・フロイド氏が警察の拘束下で亡くなって、全米を巻き込む人種差別反対運動で盛り上がっているが、当初、メディアは、トランプ大統領が彼の死を「素晴らしい日だ」と喜んだかのように取り上げた(らしい)。しかし、トランプ大統領が呟いたのは、「人種や肌の色、性別、信条にかかわらず、司法から平等の扱いを受けなければならない」「ジョージは今、天から見下ろしながら、『素晴らしいことが米国に起こっている』と言っているのではないか。彼にとって、また皆にとって素晴らしい日だ」というものだった(久保弾氏による)そうで、これでは至極まっとうで、リベラル・メディアが喜ぶようなニュース・バリューがない(苦笑)。
似たように発言を切り取る話として、一昨年の6月、ホワイトハウスで行われた日米首脳会談で、トランプ大統領が「真珠湾を忘れていない」と言ったことが物議を醸したのを思い出す。これだけ聞くと、かつて日本が仕掛けた不意打ちを今もなお卑怯なものとして恨みに思っているような物の言いで、共同通信は、「異例の発言の背景には、対日貿易赤字の削減を目指し圧力を強める狙いがありそうだ」と書き立て、時事は「政府『真珠湾』発言否定に躍起=揺らぐ日米蜜月」、朝日は「トランプ氏、日米会談で『真珠湾忘れない』 対日赤字、首相に不満示す 米紙報道」といった見出しを掲げて、日米の不協和音を煽ったものだ。しかし、これらはワシントンポスト紙のニュースをそのまま参照したことによる誤りで、実は、トランプ大統領は先ほどの発言に続けて、「日本も昔はもっと戦っていただろう」「日本もアメリカも同じように周辺国ともっと戦うべきだ」と語っていて、これでは意味するところが全く異なることになる。
ボルトン氏の回顧録によると、トランプ大統領は、どこで知ったか、安倍首相の父君・晋太郎氏が第二次世界大戦中に神風特攻隊(カミカゼ・パイロット)に志願したことに言及するのを好み、日本人、特に安倍氏がどれほどタフかを示そうとしたと言う。不動産セールスマン出身のトランプ大統領は戦争が苦手と言われたものだが、マッチョはお好みのようだ(笑)。日本と言えば真珠湾攻撃を思い浮かべるのも、どうやらこの文脈だと考えてよさそうだ。
それにしても、ボルトン氏の回顧録にあるエピソードとして、トランプ大統領が側近に対して「フィンランドはロシアの一部ではないのか」と質問したとか、英国のメイ前首相との会話で「英国は核保有国」との言及があって、トランプ大統領は話を遮って「えっ、英国も核保有国なの?」と尋ねたというのには、ずっこけてしまう(笑)。そんなこともあって、アメリカのエスタブリッシュメントのトランプ嫌いは相変わらずで、その一部を構成する大手リベラル・メディアの報道も相変わらず、それをそのまま引用・参照する日本の大手メディアの報道には、よくよく気を付けなければならないのだろう。