プロ野球の監督に限らないが、インタビューでの発言は、いったん報道されればそれなりに選手たちの目や耳に届いて、彼らの行動に影響を与えないわけではない。だから、そうなることを前提に、インタビューでの発言を工夫する(だろうと思う)。中国共産党の発言が、諸外国よりも先ずは自国の人民を意識したものであるように、監督の発言も、野球ファンに喜ばれるよりも先ずは選手本人に対するメッセージとなることを意識する(だろうと思う)。
最近、話題になったのは、読売巨人軍・原辰徳監督の発言だ。7月に23打席連続無安打と苦しんだ主砲・岡本和真をなんとか鼓舞しようと思ったのだろうか。「今月1日のヤクルト戦で山野に7回4安打無得点と抑えられプロ初勝利を献上し、4タコに終わった岡本和について指揮官は『和真? いた? 今日。…まあいいやそれは』とけむに巻いた」(東スポより)。
すると、あら不思議、翌2日に「岡本は2本塁打を放ち勝利に貢献し、お立ち台に立つと『昨日は空気と言われたので、今日はちょっとはおったんかなと思います』と“反撃”」(同)した。その後の活躍は、報道で知られる通り、6試合で9本塁打の固め打ちをし、7試合9発の王貞治(1964年、70、72年)やバレンティン(2013年)の記録を超えた。
ドラ1・浅野翔吾のデビュー戦となった7月8日DeNA戦の外野守備で、いきなり転倒したが、原監督は「たまたまあの時は目をつぶっていて見てなかった」とコメントしたのも、その一つかもしれない。「その後、巨人OBの岡崎郁氏のユーチューブではしっかりと見ていたことを明かしている」(同)。
今年の岡本和真の、WBC準決勝あたりからの活躍は目を見張るものがあるが、どうにもチャンスに弱い。OPSはセ・パ両リーグで唯一、1を超えているが、得点圏打率は0.231(昨日時点)と相変わらず低迷している。ここで1点欲しいときになかなか点が入らないのが今年のジャイアンツの弱さで、岡本の責任は重い。昨年、なんだかんだ言って投打の要の菅野と岡本が期待通りの活躍とはならず、戦犯扱いしたものだが、このままでは今年もそうなりかねない。飄々としていながら、モノに動じない、どっしりとしたツラ構えは4番の貫禄十分だが、期待を込めて、チームの勝利に貢献してこその主砲だと、声を大にして言いたい。本人も重々分かっているだろうけれども。