大橋純子さんが亡くなった。死因は明かされていないが、5年前に食道がんや乳腺がんが見つかり、その後、復帰されたが、今年3月に食道がんが再発し、治療とリハビリに励んでおられたという。享年73。
伸びのある歌声が魅力だった。当時は歌謡曲全盛で、松田聖子や中森明菜といった華やかなアイドル歌手が活躍し、目を奪われる一方で、純子さんは「たそがれマイラブ」(1978年)や「シルエット・ロマンス」(1981年)など、しっとりと聴かせる大人の歌い手で、私にとっては、岩崎宏美や、男性では布施明などと並び、歌声に聴き惚れて忘れられない一人である。
最近、1970年代後半から1980年代にかけて活躍された歌い手が相次いで亡くなっている。先月8日に谷村新司さん(享年74)に続いて、22日にもんたよしのりさん(享年72)が亡くなったときには、かつて「夏女ソニア」(1983年)でデュエットした縁もあって、追悼コメントを出されていたそうだ。私自身も歳をとった証しだし、音楽は好きだが、なんだかんだ言って若かりし頃に聴いた音楽に、今なお惹かれることには驚く(呆れる)ばかりだ。今はレコードやCDがなくても、YouTubeで記憶の底に沈んだ歌声を懐かしい映像とともに蘇らせることも出来て、余計に当時の音楽に回帰している。
人生100年と言われる時代に、余りに早い死が惜しまれるが、歌声は永遠に生き続ける。素晴らしい感性のままに生きたことを羨ましく思うとともに、それによって私たちの音楽経験を豊かにしてくれたことに感謝し、合掌。