2015年7月6日 県議会総務教育常任委員会の審議での佐藤正雄議員の質疑部分を紹介します。
■難関大学合格めざしているが結果は
◯松田分科会長 まず、予算決算特別委員会総務教育分科会の審査に入る。予算議案のうち、第48号議案の教育委員会関係分について、各委員より発言を願う。
◯佐藤委員 予算案説明資料の3ページの、「夢や希望を育て未来を築く教室」開催事業ということで、問題解決を重視した大学入学試験に対応するため云々とあるが、これはもう少し詳しく説明してほしい。今はこういう問題点があるからこういうことをやるということなのか。あるいは、新しいステージで考えているのか。
◯企画幹(高校改革) この事業については、拡充事業として挙げている。第一線で活躍する企業人や、研究者の方々などに高校に来ていただいて、講演や生徒との間で話し合いを行っている。企業や研究の場において第一線で働いている方の状況を高校生が直接知ることによって、将来の夢や希望を育てていくという事業である。大学入試改革等では、社会に対するいろいろな課題を見つけて、それに対して生徒同士で話し合ったり、もしくは他者と協働しながら課題解決策を見つけていく力が今後問われてくることになる。そういったこともあるので、今回、夏休みの機会を捉えて、第一線の研究者の方の講演と、生徒との直接の話し合いの場を持って、高校生が社会的な課題に向けてみずから考え、そして話し合いによって課題の解決策を考えて見つけていくという事業を企画したものである。
◯佐藤委員 県は先ほどの説明の中でも学力日本一ということを自負して、世界に売り出すという計画であるが、現在の大学入学試験における福井県の生徒の結果についても、どういう言い方が適切かは別として、日本一だと認識しているのか。
◯高校教育課長 小中学校は全国的な学力調査が実施されていて、簡単に比較できるものがあるが、高校にそういうものがあるかというと、比較する対象はなかなかない。確かに大学へ進学した生徒の数や、センター試験の点数などはあるけれども、受験者が全く違っていたり、各県の対応の仕方が全くばらばらなので、一概に県を比較することはなかなか難しい状況である。委員が指摘されるように、高校の学力が日本一なのかと言われると、そこはなかなか判断しにくいところだと思う。ただ、企画幹から申し上げたように、大学入試制度改革に対応する力をつけていくというのが事業の目的だと思う。国も、今までの知識を問う大学入試の形から、課題を解決できる力を問う問題に変えていくと言っているので、それが具体的にどういうものかというのをこれから考えていくことも大事であるし、そこに対応した事業を進めていく必要性があると考えている。
◯佐藤委員 いろいろな指標は当然知っているが、小中教育はもちろん高校教育に対しても力を入れてきているわけである。けれども、今の話は、大学入試の結果としては検証できていないという答弁だと思う。それでは議会における説明として説得力がないと思う。いろいろな新聞報道とかデータがあるけれども、例えば藤島・高志・武生の3校で、東京大学に何人受かっているか、あるいは京都大学や大阪大学や名古屋大学に何人受かっているかというデータは、すぐにあるわけである。こういうデータの数字だけ見ると、合格者数が、最近細ってきているわけである。この10年間で見てみると極端に落ち込んできている。もちろん東京大学に入るのがいいとか、大阪大学に入るのがいいとか、それだけではないという見方もあるとは思うけれども、一つの指標として、そういう大学への合格者数を県も重視してきたことは事実だと思う。それがどんどん減ってきている、これが県教育委員会の教育の成果としての実態である。これは何も分析されていないのか。
◯高校教育課長 今、委員が指摘されたように、確かに東京大学、京都大学の合格者の数が決してふえている状態ではなく、逆に若干落ち込んでいる可能性はあると思っている。ただし、いわゆる難関大学と呼ばれる全国の国公立のレベルの高い大学、委員から名前の挙がった、なかなか入るのが難しいと言われている大学であるが、昨年だけを見ると全体的に数はふえている。一年一年の経緯というものがあり、いろいろ変化はするので一概には言えないが、全体で高校生の約3%が、難関大学と呼ばれるところに入っていくということはわかっている。確かに、生徒の意欲を高めて、こういうところに合格してもらうというのも、教育委員会がとってきた対策であるので、分析していないということよりも、これをどのようにこれから高めていくのかということをしっかり考えなければいけないと思っているところである。
◯佐藤委員 このように大学入学試験に対応するために云々ということに対して、今の大学入試の結果がどうなのか、一体これをどのようにしていくのかという説明が、議会に対して余りないと思ったので、こういう質問をした。今後よろしくお願いする。
■運動公園テニスコートの整備はなぜハードコートなのか
◯佐藤委員 運動公園のテニスコート場の整備の問題で尋ねる。事実確認であるが、福井県としては当初16面の砂入りのコートで考えていた。けれども、競技団体の要望を受けて変更したというのは事実か。
◯スポーツ保健課長 テニスコートの16面について、当初の段階で砂入り人工芝を検討していた。それは、まだ面を決定したということではなく、参考としていたということである。
◯佐藤委員 これは競技団体である福井県テニス協会の平成26年3月1日の総会の資料であるが、これを見るとハードコートとオムニコートの長所・短所ということで書かれていて、ハードコートについては短所が3点紹介されている。1点目は天候に左右されやすい、2点目は年間の使用期間が短い、3点目は大会運営においてオムニコートを予備に押さえる状況が見られるということである。それから、オムニコートについて短所は1点、ソフトテニスも大会に使用されるということである。いろいろな選択の仕方があるが、行政としてはより短所が少ないほうを選ぶべきだというのが、県民から見れば普通の考えかと思うけれども、この辺の選考経過はどうなのか。
◯スポーツ保健課長 両コートとも短所・長所いろいろあり、選定についてはいろいろな考え方があるかと思う。本県のテニスコートの状況であるが、ハードコートは県で4面以上持っているところが10カ所、48面ほどある。それから、いわゆる砂入り人工芝、オムニコートであるが、ここは4面以上が19カ所、115面という状況である。
それから、現在の運動公園のテニスコートはハードコート12面である。この12面を16面にふやしていくこということである。検討の考え方としては、まずは国体の実施という点と、国体後も県内でテニスコートを使っていくという点がある。
それから、国や他県の状況である。全国的な動きとして、今、国の協会などでは少年のところは、強制ではないが、できればハードコートで大会等を実施してほしいといった動きがある。それから、今ほど委員指摘の利用者の意見、県内のテニスの団体であるテニス協会等の意見等も取り入れながら考えているところである。こういった全体的な判断として行っている。
◯佐藤委員 だから、その全体的な判断がちょっとわかりにくいのではないかと思う。それに、国や他県の状況とあったが、国の指示に対して、必ずしもそのとおりやるのが地方行政ではないだろうと思う。他県の例を見ても、砂入り人工芝のオムニコートでいうと、福井県は10面以上あるところがない。石川県は3カ所、富山県も3カ所、新潟県も3カ所ということで、北陸、信越など、この近辺で見ると福井県が現状では一番貧弱である。だから、やはりそういうことも考える必要があると思う。
もう一つは、競技団体の方の話をお聞きすると、実際に利用されている状況を見ても、ハードコートよりもオムニコートのほうが、利用者数が非常に多い。例えば、現在の福井運動公園のハードコートでいえば、1面当たりの利用人数は1,419人、ふくい健康の森のオムニコートは2,051人、福井市わかばテニスコートのオムニコートは4,585人ということで、県民のテニス愛好者から見ればオムニコートのほうが非常に利用もしやすいという状況があると思う。他県と比べても福井県の施設も貧弱、県民のテニスの利用者から見ても、利用しやすいのはハードよりはオムニコートだという実態がある。それから、試合をする側にとってみても、ことしの4月の試合を見ると、ハードコートに8時集合だということで集まったけれども、雨が降っていて、雨が切れるのに11時ごろまで待機状態となった。試合を始めたらまた雨が降ってきて、結局、試合は1週間延期ということで、大会参加者、試合参加者から見ても非常に迷惑がかかりやすいという面があると思う。これからずっと長い将来にわたって福井県民が利用する、あるいは県外から来た試合の参加者が利用するということを考えれば、ハードコートよりオムニコートのほうが利便性が高いのではないか。他県では国体が終わったら、ハードコートをやめてオムニコートにわざわざつくり直した県もあるというぐらいだそうである。福井県がそうなるかは別であるが、そういう県の先例も見れば、ここは慎重に考えることが必要ではないだろうか。
◯スポーツ保健課長 他県の例では、確かにオムニコートで中心にこれまで整備されている状況はあるかと思う。大がかりな大量な面を持っている県の中には、どんどん整備しているところがある。本県も国体を控えて体育施設等の整備については十分力を入れたいところであるが、現有の施設をいかにして今後も活用していくかという観点もある。それから、先ほど言ったような県内のテニスコートの整備状況、現在の保有状況等も勘案しているところである。
それから、国から指示を受けているわけではない。国の日本テニス協会等は少年の部はハードコートでやるのが望ましいという言い方である。先催県の岩手県と愛媛県といったところも少年の競技はハードコートでやるということを考えている。これは、テニスや競技の普及全体もそうであるが、テニス競技の強化、少年強化をいかにしていくかということも考えてのことかと思っている。
それから、利用状況であるが、運動公園はテニスの面が非常に老朽化している。施設全体も大分古くなっているので、そうしたところから利用率が下がっているということはあるかと思っている。テニス場の整備にあわせて、今後、利用促進を図りながらテニス競技の振興も図っていきたいと考えている。
もう一点、大会時の雨の対応である。オムニコートは確かに雨がしみ込んでいくということはある。ハードコートも雨が降ったときに、今ではスポンジで雨をすぐふき取るとかモップを使うといったことをして、努力しながら大会を運営しているところである。国体の運営については、福井市とテニス協会がハードコートで準備している。
◯佐藤委員 少年の強化とかいろいろあるが、それは別にコートだけに左右されるわけではない。錦織選手だって少年時代はオムニコートで練習していたそうであるから、そういう単純な話ではないと思う。しかし、当面は、福井県庁というか教育委員会含めて国体に責任を持たないといけないのだが、国体の当日に雨が降ったら、これはどうするのか。対応が大変なことになるのではないか。
◯スポーツ保健課長 国体の大会運営に関しては、本県側の大会の運営者である日本テニス協会と本県テニス協会、それから福井市等と十分な打ち合わせを行いながら進めていくと聞いている。
◯佐藤委員 今、課長の答弁にあったように、また実際に問題点が指摘されているように雨に非常に弱いコートだから、雨天時のリスクが高いコートでは問題があるのではないかという質問である。
◯スポーツ保健課長 オムニコートでも雨が大量に降った場合には非常に支障を来すことはあるので、そういった全体のことを勘案しながら協会及び市のほうで、日本テニス協会等と協議していると聞いている。
◯佐藤委員 やはり県民の利便性、それから大会運営の利便性、いろいろ総合的に勘案して余りかたくなにならないほうがいいということを申し上げて、質問は終わる。
■教員の多忙化問題
◯佐藤委員 教員の多忙化の問題であるが、教育委員会もいろいろ努力はしているけれども、実際には教育委員会のアンケート結果を見ても、平成24年と平成26年を比べると、中学校とか高等学校では残業時間がふえている。失礼かもしれないが、努力はしているけれども、成果としては余り出てきてない、残業時間が減るまでには至っていない。これも失礼な言い方であるが、学校の先生は残業手当てが特別にどんと出るわけでもないのであろう。2時間残業しようが、3時間残業しようが、とにかくこの仕事をちゃんとやってもらいたいということが問題になっている。残業代の問題ではないけれども、結局その仕事が終わるまでずっと帰れない。教育長は、国体までの3年間ぐらいは我慢してもらわないといけないと言うけれども、これはますます教員は大変なことになるのではないか。その辺の認識を確認させてもらいたい。
◯教育長 国体の間は我慢していただきたいということではなくて、県民としてみんなでやっていくのだから先生も一緒に頑張りましょうということである。先生だけ我慢してくれという意味ではない。
それから、残業については今ほぼ横ばい状況になっていると思っている。また、残業が多いからやる気をなくすという人ばかりではない。先生からも現場の状況もいろいろ聞かなければいけないけれども、管理職と新規採用教員の残業が多くなっているように感じている。また、本当に忙しくてたくさんやらないといけない人の中には、部活の場合は土日も仕事になるのだが、非常にやりがいを持って一所懸命やっている人もいる。いろいろな方がいるので、一概に「これは忙しい、だから仕事ができない」ということではないと考えている。福井県の先生方はレベルが高いので、気概を持ってやっている人もたくさんいる。ただ、委員指摘のように、できるだけ時間的な余裕を与えて、子供たちにきちんと教えられる時間、考える時間を持ってもらう必要はあるので、そういう方向で全体として解決していきたいということである。
◯佐藤委員 教育長の答弁のように、現場の教員だけが残業しているわけではない、教育委員会の職員も残業している、ともに残業して頑張っているということなのだろう、それはよくわかる。けれども、それ自体に問題も多い。教育委員会の公開した資料を見ても、教育委員会の各部局の残業をトータルしたら、本庁だけでも一人当たり年間385時間である。これはもう大変な残業である。不夜城とかいろいろ言われているけれども、県庁の11階も大変な残業である。職員は頑張っていると思うが、それがいいのか。俺たちも頑張っているから現場の先生も頑張れというだけでは、教育長としては乱暴な言い方ではないか。
◯教育長 県庁のことだけを申し上げたのではなく、福井国体は民間も含めて県民全体でやるから、そういう中でお願いをしたいと言っているのである。県庁の教育委員会が忙しい、先生が忙しいという意味ではなくて、国体を3年後にみんなで成功させるために、県民の方、企業の方も含めて、それに向けてある程度汗をかいていくのは使命ではないかと申し上げた。
◯佐藤委員 それなら尋ねる。現場の先生からいろいろ状況を聞くと、仕事はふえるが、予算は減ってくる。例えば、学力向上とは言うけれども、その学力向上事業の予算は高校別に見れば減らされている高校もあって、成果だけ上げろと言われてもなかなか厳しいという意見もある。それから、旅費、交通費である。これももっと節約しろということで、舞鶴若狭自動車道が開通したけれども、これは全ての教員に言っているかどうかは別であるが、教員は舞鶴若狭自動車道を使うなということで、本庁の会議とか出張に来るときには、下道で来ざるを得ないという実情があるということも聞いている。やはり、学力向上で自分の生徒の学力が上がればみんな喜ぶのだから、そういう予算はきちんと保証していく。それから、先生の旅費も、これからは国体関係の会議もふえるけれども、旅費はちゃんと確保していくということをやっていかないといけない。かけ声ではやるけれども予算もきちんと保証するということを約束してもらわないといけない。
◯教育長 個別の細かい予算、旅費がどうなっているか全部把握していないが、県全体の財政が厳しい中で、節約するところはする、必要なところは取るという形で、これからも取り組んでいきたいと思う。
◯松田委員長 質問は簡潔にお願いする。
◯佐藤委員 最後にする。実際に、例えば国体のことを言われたけれども、国体の部署に派遣された職員が、体を壊しているという話も聞いているが、そういうことではいけない。やはり、必要な人員はそこにきちんと確保し、必要な予算も確保して国体を成功させるということにしないといけない。予算も削る、人もギリギリでふやさないけれども、おまえたちは頑張れというのではいけないのではないかということを言っているのである。
◯教育長 国体のことは私どもの所管ではないが、国体に必要な人数は、きちんと要求どおりついていると思っている。
■自衛隊入隊体験問題
◯佐藤委員 一般質問にも取り上げた関連で尋ねる。資料では、過去5年間の福井県内からの自衛隊の入隊者数について、平成22年度は61名、平成23年度は45名、平成24年度は78名、平成25年度は81名、平成26年度は73名ということであるが、県内出身者が自衛隊に入隊されているうち、高校卒業で入隊された方はどのぐらいいるのか。
わからなければ、あわせて関連であるが、学校内における自衛隊の募集は、どのようにされているか。
◯高校教育課長 自衛隊の募集は、自衛隊の方が学校に来られて説明しているということしか把握していない。
◯佐藤委員 現職の自衛隊の方が学校に来られて、企業説明といった感じでやるというケースもあると聞いているが、それはかなりやられているか。
◯企画幹(学校教育) 自衛隊だけ特別に職員の方が来られて、生徒に対し直接説明するということない。
担当者がいろんな資料を持って来られるが、持って来られた資料を生徒に見える形で並べる、あるいはポスターを張るといったことについては、大学進学や他の就職先と同じように自衛隊についてもやっている。
◯佐藤委員 以前も、一般質問させてもらったことがあるが、自衛隊は、これまでは公務員ということでの位置づけである。そして先日も、ある高校の進路指導担当の先生とお話をしたら、福井県の公務員試験に落ちたので、自衛隊へ行ったという生徒もいるということで、やはり公務員志望が強いという話があった。
けれども、これまでは、職業の選択肢の一つということであったと思うが、今、国会で審議しているから、どうなるかわからないけれども、いわゆる安全保障関連法案、戦争法案が成立していくと、従来の就職口の一つと見ていいかどうかというのは、非常に微妙になってくると思う。その辺は教育委員会としては、どういう認識であるか。
◯企画幹(学校教育) 非常にデリケートな話だが、学校現場としては、先ほどの主権者教育ではないけど、中立公正にやらなければいけないと思っている。生徒への指導は、あくまで大学、あるいは民間への就職と同じように公正に資料を配布する、説明するということに尽きると思う。
◯佐藤委員 最後にするが、アメリカの実態を見ても、例えばイラク戦争でアメリカの若者は4,500人ぐらい死んでいる。皆さんの中にも教員の方がいるだろうけれども、日本は戦後70年間、平和憲法9条のもとで教え子を再び戦場に送らないということで頑張ってこられたので、従来どおり紹介するというだけにとどまっているのでは、教師としての本来の役目を果たせないのではないかということを申し上げておく。これについての答弁は結構である。
■「正しい日本地図」請願について
今回、付託を受けた請願第2号、正しい日本地図を活用した教育の推進を求める請願を議題とする。
本件に対し、各委員より御発言願う。
◯鈴木委員 離島があり、正確な位置に表示された正しい日本地図を小中学校の教材として活用することは、子供たちに日本の領域や領土についての理解を深めるに当たり非常に有効であるし、しごく当然であると思うので、本件については採択でお願いする。
◯佐藤委員 教育委員会に確認したいが、正しい日本地図というのは県内でもそれなりに活用していると聞いているが、現場の全ての授業で活用されているということか。
◯企画幹(義務教育) 学校の現場においては、小学校の5年生で日本の、その領土の位置の学習がある。それは主たる教科書の一つである地図帳で扱う。これも検定が終わっているので、そのような日本の国土全域をあらわす地図が使われているし、中学校においても同じように日本の姿ということで、日本の国土全域をあらわす地図を使い、理解が深まるように指導しているところである。学習指導要領によって、そのようにやることが目標になっている。
◯佐藤委員 そうすると、実際にやられているわけである。ただ、力野委員に尋ねたいのは、こういう個々の教材に至るまで、県議会が意見をつけるというのはいいかどうかということである。要するに、この教材を使えということをやり出すと、これは教育委員会も混乱するし、学校現場も混乱する。例えば、白川文字、学校ちゃんとやれとか、数学はこの教材を使えとか、日本史はこれを使えとか、地図はこれを使えということを、県議会が一々やり出すと、これは教育現場の混乱につながるのではないかと思う。なぜわざわざこういうことを、今、出されているのか。学校現場で既に使っているわけである。
◯鈴木委員 この場は、請願を採択するかしないかであろう。
◯松田委員長 意見を言ってもらって、その後、採択するかどうかということである。
◯佐藤委員 だから、この提案者に対して質問したのである。
提案者というか、要するに自民党県政会が紹介議員であるので伺った。
◯松田委員長 提案者は、ここにおられない。
◯佐藤委員 こういうものを使うこと自体に問題があるとは思わないが、今言ったように県議会が、学校現場の教材をどんどん決めていくのはいかがなものかということで、継続審査としてもっと慎重に議論すべきだと思う。
◯松田委員長 それでは、今、採択と継続と両方の意見があったので、まず、継続審査について諮る。
本件を継続審査することに賛成の方は、挙手願う。
〔賛成者挙手〕
◯松田委員長 賛成少数である。よって、本件を継続審査とすることは否定された。
それでは採決に入る。
本件を採択と決定することに賛成の方は挙手願う。
〔賛成者挙手〕
◯松田委員長 賛成多数である。よって、本件は採択と決定する。
この際、諮る。会議規則第93条第3項の規定により、ただいま採択された請願第2号については、これを執行機関に送付し、その処理の経過と結果の報告を請求することにしたいと思うが、これに異議あるか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯松田委員長 異議なしと認める。よって、そのように決定をいたす。
以上で、請願陳情の審査を終了する。
■難関大学合格めざしているが結果は
◯松田分科会長 まず、予算決算特別委員会総務教育分科会の審査に入る。予算議案のうち、第48号議案の教育委員会関係分について、各委員より発言を願う。
◯佐藤委員 予算案説明資料の3ページの、「夢や希望を育て未来を築く教室」開催事業ということで、問題解決を重視した大学入学試験に対応するため云々とあるが、これはもう少し詳しく説明してほしい。今はこういう問題点があるからこういうことをやるということなのか。あるいは、新しいステージで考えているのか。
◯企画幹(高校改革) この事業については、拡充事業として挙げている。第一線で活躍する企業人や、研究者の方々などに高校に来ていただいて、講演や生徒との間で話し合いを行っている。企業や研究の場において第一線で働いている方の状況を高校生が直接知ることによって、将来の夢や希望を育てていくという事業である。大学入試改革等では、社会に対するいろいろな課題を見つけて、それに対して生徒同士で話し合ったり、もしくは他者と協働しながら課題解決策を見つけていく力が今後問われてくることになる。そういったこともあるので、今回、夏休みの機会を捉えて、第一線の研究者の方の講演と、生徒との直接の話し合いの場を持って、高校生が社会的な課題に向けてみずから考え、そして話し合いによって課題の解決策を考えて見つけていくという事業を企画したものである。
◯佐藤委員 県は先ほどの説明の中でも学力日本一ということを自負して、世界に売り出すという計画であるが、現在の大学入学試験における福井県の生徒の結果についても、どういう言い方が適切かは別として、日本一だと認識しているのか。
◯高校教育課長 小中学校は全国的な学力調査が実施されていて、簡単に比較できるものがあるが、高校にそういうものがあるかというと、比較する対象はなかなかない。確かに大学へ進学した生徒の数や、センター試験の点数などはあるけれども、受験者が全く違っていたり、各県の対応の仕方が全くばらばらなので、一概に県を比較することはなかなか難しい状況である。委員が指摘されるように、高校の学力が日本一なのかと言われると、そこはなかなか判断しにくいところだと思う。ただ、企画幹から申し上げたように、大学入試制度改革に対応する力をつけていくというのが事業の目的だと思う。国も、今までの知識を問う大学入試の形から、課題を解決できる力を問う問題に変えていくと言っているので、それが具体的にどういうものかというのをこれから考えていくことも大事であるし、そこに対応した事業を進めていく必要性があると考えている。
◯佐藤委員 いろいろな指標は当然知っているが、小中教育はもちろん高校教育に対しても力を入れてきているわけである。けれども、今の話は、大学入試の結果としては検証できていないという答弁だと思う。それでは議会における説明として説得力がないと思う。いろいろな新聞報道とかデータがあるけれども、例えば藤島・高志・武生の3校で、東京大学に何人受かっているか、あるいは京都大学や大阪大学や名古屋大学に何人受かっているかというデータは、すぐにあるわけである。こういうデータの数字だけ見ると、合格者数が、最近細ってきているわけである。この10年間で見てみると極端に落ち込んできている。もちろん東京大学に入るのがいいとか、大阪大学に入るのがいいとか、それだけではないという見方もあるとは思うけれども、一つの指標として、そういう大学への合格者数を県も重視してきたことは事実だと思う。それがどんどん減ってきている、これが県教育委員会の教育の成果としての実態である。これは何も分析されていないのか。
◯高校教育課長 今、委員が指摘されたように、確かに東京大学、京都大学の合格者の数が決してふえている状態ではなく、逆に若干落ち込んでいる可能性はあると思っている。ただし、いわゆる難関大学と呼ばれる全国の国公立のレベルの高い大学、委員から名前の挙がった、なかなか入るのが難しいと言われている大学であるが、昨年だけを見ると全体的に数はふえている。一年一年の経緯というものがあり、いろいろ変化はするので一概には言えないが、全体で高校生の約3%が、難関大学と呼ばれるところに入っていくということはわかっている。確かに、生徒の意欲を高めて、こういうところに合格してもらうというのも、教育委員会がとってきた対策であるので、分析していないということよりも、これをどのようにこれから高めていくのかということをしっかり考えなければいけないと思っているところである。
◯佐藤委員 このように大学入学試験に対応するために云々ということに対して、今の大学入試の結果がどうなのか、一体これをどのようにしていくのかという説明が、議会に対して余りないと思ったので、こういう質問をした。今後よろしくお願いする。
■運動公園テニスコートの整備はなぜハードコートなのか
◯佐藤委員 運動公園のテニスコート場の整備の問題で尋ねる。事実確認であるが、福井県としては当初16面の砂入りのコートで考えていた。けれども、競技団体の要望を受けて変更したというのは事実か。
◯スポーツ保健課長 テニスコートの16面について、当初の段階で砂入り人工芝を検討していた。それは、まだ面を決定したということではなく、参考としていたということである。
◯佐藤委員 これは競技団体である福井県テニス協会の平成26年3月1日の総会の資料であるが、これを見るとハードコートとオムニコートの長所・短所ということで書かれていて、ハードコートについては短所が3点紹介されている。1点目は天候に左右されやすい、2点目は年間の使用期間が短い、3点目は大会運営においてオムニコートを予備に押さえる状況が見られるということである。それから、オムニコートについて短所は1点、ソフトテニスも大会に使用されるということである。いろいろな選択の仕方があるが、行政としてはより短所が少ないほうを選ぶべきだというのが、県民から見れば普通の考えかと思うけれども、この辺の選考経過はどうなのか。
◯スポーツ保健課長 両コートとも短所・長所いろいろあり、選定についてはいろいろな考え方があるかと思う。本県のテニスコートの状況であるが、ハードコートは県で4面以上持っているところが10カ所、48面ほどある。それから、いわゆる砂入り人工芝、オムニコートであるが、ここは4面以上が19カ所、115面という状況である。
それから、現在の運動公園のテニスコートはハードコート12面である。この12面を16面にふやしていくこということである。検討の考え方としては、まずは国体の実施という点と、国体後も県内でテニスコートを使っていくという点がある。
それから、国や他県の状況である。全国的な動きとして、今、国の協会などでは少年のところは、強制ではないが、できればハードコートで大会等を実施してほしいといった動きがある。それから、今ほど委員指摘の利用者の意見、県内のテニスの団体であるテニス協会等の意見等も取り入れながら考えているところである。こういった全体的な判断として行っている。
◯佐藤委員 だから、その全体的な判断がちょっとわかりにくいのではないかと思う。それに、国や他県の状況とあったが、国の指示に対して、必ずしもそのとおりやるのが地方行政ではないだろうと思う。他県の例を見ても、砂入り人工芝のオムニコートでいうと、福井県は10面以上あるところがない。石川県は3カ所、富山県も3カ所、新潟県も3カ所ということで、北陸、信越など、この近辺で見ると福井県が現状では一番貧弱である。だから、やはりそういうことも考える必要があると思う。
もう一つは、競技団体の方の話をお聞きすると、実際に利用されている状況を見ても、ハードコートよりもオムニコートのほうが、利用者数が非常に多い。例えば、現在の福井運動公園のハードコートでいえば、1面当たりの利用人数は1,419人、ふくい健康の森のオムニコートは2,051人、福井市わかばテニスコートのオムニコートは4,585人ということで、県民のテニス愛好者から見ればオムニコートのほうが非常に利用もしやすいという状況があると思う。他県と比べても福井県の施設も貧弱、県民のテニスの利用者から見ても、利用しやすいのはハードよりはオムニコートだという実態がある。それから、試合をする側にとってみても、ことしの4月の試合を見ると、ハードコートに8時集合だということで集まったけれども、雨が降っていて、雨が切れるのに11時ごろまで待機状態となった。試合を始めたらまた雨が降ってきて、結局、試合は1週間延期ということで、大会参加者、試合参加者から見ても非常に迷惑がかかりやすいという面があると思う。これからずっと長い将来にわたって福井県民が利用する、あるいは県外から来た試合の参加者が利用するということを考えれば、ハードコートよりオムニコートのほうが利便性が高いのではないか。他県では国体が終わったら、ハードコートをやめてオムニコートにわざわざつくり直した県もあるというぐらいだそうである。福井県がそうなるかは別であるが、そういう県の先例も見れば、ここは慎重に考えることが必要ではないだろうか。
◯スポーツ保健課長 他県の例では、確かにオムニコートで中心にこれまで整備されている状況はあるかと思う。大がかりな大量な面を持っている県の中には、どんどん整備しているところがある。本県も国体を控えて体育施設等の整備については十分力を入れたいところであるが、現有の施設をいかにして今後も活用していくかという観点もある。それから、先ほど言ったような県内のテニスコートの整備状況、現在の保有状況等も勘案しているところである。
それから、国から指示を受けているわけではない。国の日本テニス協会等は少年の部はハードコートでやるのが望ましいという言い方である。先催県の岩手県と愛媛県といったところも少年の競技はハードコートでやるということを考えている。これは、テニスや競技の普及全体もそうであるが、テニス競技の強化、少年強化をいかにしていくかということも考えてのことかと思っている。
それから、利用状況であるが、運動公園はテニスの面が非常に老朽化している。施設全体も大分古くなっているので、そうしたところから利用率が下がっているということはあるかと思っている。テニス場の整備にあわせて、今後、利用促進を図りながらテニス競技の振興も図っていきたいと考えている。
もう一点、大会時の雨の対応である。オムニコートは確かに雨がしみ込んでいくということはある。ハードコートも雨が降ったときに、今ではスポンジで雨をすぐふき取るとかモップを使うといったことをして、努力しながら大会を運営しているところである。国体の運営については、福井市とテニス協会がハードコートで準備している。
◯佐藤委員 少年の強化とかいろいろあるが、それは別にコートだけに左右されるわけではない。錦織選手だって少年時代はオムニコートで練習していたそうであるから、そういう単純な話ではないと思う。しかし、当面は、福井県庁というか教育委員会含めて国体に責任を持たないといけないのだが、国体の当日に雨が降ったら、これはどうするのか。対応が大変なことになるのではないか。
◯スポーツ保健課長 国体の大会運営に関しては、本県側の大会の運営者である日本テニス協会と本県テニス協会、それから福井市等と十分な打ち合わせを行いながら進めていくと聞いている。
◯佐藤委員 今、課長の答弁にあったように、また実際に問題点が指摘されているように雨に非常に弱いコートだから、雨天時のリスクが高いコートでは問題があるのではないかという質問である。
◯スポーツ保健課長 オムニコートでも雨が大量に降った場合には非常に支障を来すことはあるので、そういった全体のことを勘案しながら協会及び市のほうで、日本テニス協会等と協議していると聞いている。
◯佐藤委員 やはり県民の利便性、それから大会運営の利便性、いろいろ総合的に勘案して余りかたくなにならないほうがいいということを申し上げて、質問は終わる。
■教員の多忙化問題
◯佐藤委員 教員の多忙化の問題であるが、教育委員会もいろいろ努力はしているけれども、実際には教育委員会のアンケート結果を見ても、平成24年と平成26年を比べると、中学校とか高等学校では残業時間がふえている。失礼かもしれないが、努力はしているけれども、成果としては余り出てきてない、残業時間が減るまでには至っていない。これも失礼な言い方であるが、学校の先生は残業手当てが特別にどんと出るわけでもないのであろう。2時間残業しようが、3時間残業しようが、とにかくこの仕事をちゃんとやってもらいたいということが問題になっている。残業代の問題ではないけれども、結局その仕事が終わるまでずっと帰れない。教育長は、国体までの3年間ぐらいは我慢してもらわないといけないと言うけれども、これはますます教員は大変なことになるのではないか。その辺の認識を確認させてもらいたい。
◯教育長 国体の間は我慢していただきたいということではなくて、県民としてみんなでやっていくのだから先生も一緒に頑張りましょうということである。先生だけ我慢してくれという意味ではない。
それから、残業については今ほぼ横ばい状況になっていると思っている。また、残業が多いからやる気をなくすという人ばかりではない。先生からも現場の状況もいろいろ聞かなければいけないけれども、管理職と新規採用教員の残業が多くなっているように感じている。また、本当に忙しくてたくさんやらないといけない人の中には、部活の場合は土日も仕事になるのだが、非常にやりがいを持って一所懸命やっている人もいる。いろいろな方がいるので、一概に「これは忙しい、だから仕事ができない」ということではないと考えている。福井県の先生方はレベルが高いので、気概を持ってやっている人もたくさんいる。ただ、委員指摘のように、できるだけ時間的な余裕を与えて、子供たちにきちんと教えられる時間、考える時間を持ってもらう必要はあるので、そういう方向で全体として解決していきたいということである。
◯佐藤委員 教育長の答弁のように、現場の教員だけが残業しているわけではない、教育委員会の職員も残業している、ともに残業して頑張っているということなのだろう、それはよくわかる。けれども、それ自体に問題も多い。教育委員会の公開した資料を見ても、教育委員会の各部局の残業をトータルしたら、本庁だけでも一人当たり年間385時間である。これはもう大変な残業である。不夜城とかいろいろ言われているけれども、県庁の11階も大変な残業である。職員は頑張っていると思うが、それがいいのか。俺たちも頑張っているから現場の先生も頑張れというだけでは、教育長としては乱暴な言い方ではないか。
◯教育長 県庁のことだけを申し上げたのではなく、福井国体は民間も含めて県民全体でやるから、そういう中でお願いをしたいと言っているのである。県庁の教育委員会が忙しい、先生が忙しいという意味ではなくて、国体を3年後にみんなで成功させるために、県民の方、企業の方も含めて、それに向けてある程度汗をかいていくのは使命ではないかと申し上げた。
◯佐藤委員 それなら尋ねる。現場の先生からいろいろ状況を聞くと、仕事はふえるが、予算は減ってくる。例えば、学力向上とは言うけれども、その学力向上事業の予算は高校別に見れば減らされている高校もあって、成果だけ上げろと言われてもなかなか厳しいという意見もある。それから、旅費、交通費である。これももっと節約しろということで、舞鶴若狭自動車道が開通したけれども、これは全ての教員に言っているかどうかは別であるが、教員は舞鶴若狭自動車道を使うなということで、本庁の会議とか出張に来るときには、下道で来ざるを得ないという実情があるということも聞いている。やはり、学力向上で自分の生徒の学力が上がればみんな喜ぶのだから、そういう予算はきちんと保証していく。それから、先生の旅費も、これからは国体関係の会議もふえるけれども、旅費はちゃんと確保していくということをやっていかないといけない。かけ声ではやるけれども予算もきちんと保証するということを約束してもらわないといけない。
◯教育長 個別の細かい予算、旅費がどうなっているか全部把握していないが、県全体の財政が厳しい中で、節約するところはする、必要なところは取るという形で、これからも取り組んでいきたいと思う。
◯松田委員長 質問は簡潔にお願いする。
◯佐藤委員 最後にする。実際に、例えば国体のことを言われたけれども、国体の部署に派遣された職員が、体を壊しているという話も聞いているが、そういうことではいけない。やはり、必要な人員はそこにきちんと確保し、必要な予算も確保して国体を成功させるということにしないといけない。予算も削る、人もギリギリでふやさないけれども、おまえたちは頑張れというのではいけないのではないかということを言っているのである。
◯教育長 国体のことは私どもの所管ではないが、国体に必要な人数は、きちんと要求どおりついていると思っている。
■自衛隊入隊体験問題
◯佐藤委員 一般質問にも取り上げた関連で尋ねる。資料では、過去5年間の福井県内からの自衛隊の入隊者数について、平成22年度は61名、平成23年度は45名、平成24年度は78名、平成25年度は81名、平成26年度は73名ということであるが、県内出身者が自衛隊に入隊されているうち、高校卒業で入隊された方はどのぐらいいるのか。
わからなければ、あわせて関連であるが、学校内における自衛隊の募集は、どのようにされているか。
◯高校教育課長 自衛隊の募集は、自衛隊の方が学校に来られて説明しているということしか把握していない。
◯佐藤委員 現職の自衛隊の方が学校に来られて、企業説明といった感じでやるというケースもあると聞いているが、それはかなりやられているか。
◯企画幹(学校教育) 自衛隊だけ特別に職員の方が来られて、生徒に対し直接説明するということない。
担当者がいろんな資料を持って来られるが、持って来られた資料を生徒に見える形で並べる、あるいはポスターを張るといったことについては、大学進学や他の就職先と同じように自衛隊についてもやっている。
◯佐藤委員 以前も、一般質問させてもらったことがあるが、自衛隊は、これまでは公務員ということでの位置づけである。そして先日も、ある高校の進路指導担当の先生とお話をしたら、福井県の公務員試験に落ちたので、自衛隊へ行ったという生徒もいるということで、やはり公務員志望が強いという話があった。
けれども、これまでは、職業の選択肢の一つということであったと思うが、今、国会で審議しているから、どうなるかわからないけれども、いわゆる安全保障関連法案、戦争法案が成立していくと、従来の就職口の一つと見ていいかどうかというのは、非常に微妙になってくると思う。その辺は教育委員会としては、どういう認識であるか。
◯企画幹(学校教育) 非常にデリケートな話だが、学校現場としては、先ほどの主権者教育ではないけど、中立公正にやらなければいけないと思っている。生徒への指導は、あくまで大学、あるいは民間への就職と同じように公正に資料を配布する、説明するということに尽きると思う。
◯佐藤委員 最後にするが、アメリカの実態を見ても、例えばイラク戦争でアメリカの若者は4,500人ぐらい死んでいる。皆さんの中にも教員の方がいるだろうけれども、日本は戦後70年間、平和憲法9条のもとで教え子を再び戦場に送らないということで頑張ってこられたので、従来どおり紹介するというだけにとどまっているのでは、教師としての本来の役目を果たせないのではないかということを申し上げておく。これについての答弁は結構である。
■「正しい日本地図」請願について
今回、付託を受けた請願第2号、正しい日本地図を活用した教育の推進を求める請願を議題とする。
本件に対し、各委員より御発言願う。
◯鈴木委員 離島があり、正確な位置に表示された正しい日本地図を小中学校の教材として活用することは、子供たちに日本の領域や領土についての理解を深めるに当たり非常に有効であるし、しごく当然であると思うので、本件については採択でお願いする。
◯佐藤委員 教育委員会に確認したいが、正しい日本地図というのは県内でもそれなりに活用していると聞いているが、現場の全ての授業で活用されているということか。
◯企画幹(義務教育) 学校の現場においては、小学校の5年生で日本の、その領土の位置の学習がある。それは主たる教科書の一つである地図帳で扱う。これも検定が終わっているので、そのような日本の国土全域をあらわす地図が使われているし、中学校においても同じように日本の姿ということで、日本の国土全域をあらわす地図を使い、理解が深まるように指導しているところである。学習指導要領によって、そのようにやることが目標になっている。
◯佐藤委員 そうすると、実際にやられているわけである。ただ、力野委員に尋ねたいのは、こういう個々の教材に至るまで、県議会が意見をつけるというのはいいかどうかということである。要するに、この教材を使えということをやり出すと、これは教育委員会も混乱するし、学校現場も混乱する。例えば、白川文字、学校ちゃんとやれとか、数学はこの教材を使えとか、日本史はこれを使えとか、地図はこれを使えということを、県議会が一々やり出すと、これは教育現場の混乱につながるのではないかと思う。なぜわざわざこういうことを、今、出されているのか。学校現場で既に使っているわけである。
◯鈴木委員 この場は、請願を採択するかしないかであろう。
◯松田委員長 意見を言ってもらって、その後、採択するかどうかということである。
◯佐藤委員 だから、この提案者に対して質問したのである。
提案者というか、要するに自民党県政会が紹介議員であるので伺った。
◯松田委員長 提案者は、ここにおられない。
◯佐藤委員 こういうものを使うこと自体に問題があるとは思わないが、今言ったように県議会が、学校現場の教材をどんどん決めていくのはいかがなものかということで、継続審査としてもっと慎重に議論すべきだと思う。
◯松田委員長 それでは、今、採択と継続と両方の意見があったので、まず、継続審査について諮る。
本件を継続審査することに賛成の方は、挙手願う。
〔賛成者挙手〕
◯松田委員長 賛成少数である。よって、本件を継続審査とすることは否定された。
それでは採決に入る。
本件を採択と決定することに賛成の方は挙手願う。
〔賛成者挙手〕
◯松田委員長 賛成多数である。よって、本件は採択と決定する。
この際、諮る。会議規則第93条第3項の規定により、ただいま採択された請願第2号については、これを執行機関に送付し、その処理の経過と結果の報告を請求することにしたいと思うが、これに異議あるか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
◯松田委員長 異議なしと認める。よって、そのように決定をいたす。
以上で、請願陳情の審査を終了する。