前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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国立社会保障・人口問題研究所で勉強会。高浜原発裁判、11月も審議へ。

2015年10月09日 | 福井県政
 昨日はひきつづき福井県議会総務教育常任委員会の視察で、国立社会保障・人口問題研究所でお話しをお聞きしました。森田所長のあいさつの後、金子副所長から、「人口減少社会と地方創生  課題と挑戦」というテーマで90分ぐらいお話しをお聞きし、質疑応答をおこないました。
 詳しいデータと資料の説明で大変勉強になりました。ありがとうございました。

 急速な高齢化のデータとして、国民を半分にわける中位数年齢を紹介。1960年は25.6歳で、国民の半分が青年。それが、2010年は45.1歳、2030年には52.7歳、2060年には57.3歳、と国民の半分が「定年人口」となる、と説明。
 そして、日本はあわせて人口減少がきわめて速く、対応が難しい。世界でも日本だけが人口減少のスピードがはやくなる。70年で2分お1に。400年で人口が100万をきり日本人絶滅、ともなりかねない。

 この要因のひとつとして、日本は極端に「長寿命と出生率の低さ」に相関関係がある、と指摘しました。
また、最近はアメリカ、フランス、イギリスなどは改善しているが、日本、ドイツ、イタリアが悪化している。奇しくも、戦争の枠組みと同じだ、と述べました。

 そしてこれまで獲得してきた「健康で長寿命」を残しながら長く働く社会の展望が必要で、今後は高齢者の概念が80歳から、となるかもしれない、と述べました。「全員参加社会」、「すべての人が能力を発揮できる社会を」と指摘されました。

 私はふたつのことを質問しました。
ひとつは、近代化のなかでの人口ボーナスとオーナスは必然なのか?
 金子副所長は、「ほぼ必然と言える。移民政策をとれば緩和することはできる。ただ、欧米のような通常の移民では人口オーナスを完全になくすことはできない」と答えました。

もうひとつは、「日本がこれだけ人口減少がすすむのは、政策的な失敗があったのか?」
 金子副所長は、「日本は戦後、人口政策はなかった。積み残しとして、将来の世代への投資、という視点が弱い。欧米は将来世代を大事にする。日本には家、があったが、これが崩れて経済成長に目がゆきすぎた。子どもへのまなざしが弱まった。社会の失敗、というものがあったのではないか」と答えました。


 全体として、政府関係の機関であり、自然科学ではなく社会科学を扱うところであり、政府の政策との整合性をもった「対策」を提案される面があるのではないか、と思いました。
 たとえば、「全員参加社会」とは安倍政権の総活躍路線に符合しますし、日本の「失敗」の要因を「家制度の崩壊」をもちだして説明されたあたりは、復古調を感じましたね。

 データは事実でしょう。そこからどのような分析と対策を打ち出すか、はきわめて政治的な問題です。
 以前も議会で取り上げましたが、年収200万程度の20~30歳の男性は9割が未婚、というデータもあります。若者の雇用と収入の安定をすすめ、文字通り「家」というよりは、「家庭」をもてる政策が必要でしょう。
 また、欧米では大学もふくめて教育費無償、奨学金は給付制がスタンダードです。日本では「教育ローン」もあり、奨学金で数百万円もの借金をかかえてしまう若者も多数です。このように、若者のハンディ、バリアーをなくす政策も必要でしょう。
 また、社会保障改悪で病院を削減し、在宅医療などを増やせば、その世帯で安心して働きにでることができない方がうまれてしまい、結果として世帯収入の低下と貧困化がすすみかねません。これでは「全員参加」「総活躍」といってもその土台が崩れてきます。

 政治の責任で何をやるのか、明確化がいっそう求められている、と痛感しました。









 視察から夕方、福井に戻り、高浜原発裁判の報告集会に顔をだしました。
関電は今回での結審を求めていましたが、裁判所は11月の審議もおこなうことを決めました。
 事実上、年内の高浜原発再稼働は無理でしょう。というか、再稼働そのものが国民多数が反対しており、安倍政権や西川県政がゴーサインをだすことは許されないのです。




■NHK・・・高浜原発 異議審11月も審理

  高浜原子力発電所の再稼働を認めない仮処分の決定に対し、関西電力が申し立てた異議について、福井地方裁判所で3回目の審理が行われました。
裁判所は、さらに双方の意見を聞きたいとして、11月13日にも審理が行われることになり関西電力が来月にも再稼働させたいとしてる日程に直接的な影響が出る可能性があります。
高浜町にある高浜原発3号機と4号機の再稼働に反対する福井県などの住民9人が申し立てた仮処分について福井地方裁判所は、ことし4月、「国の新しい規制基準は緩やかすぎて安全性は確保されていない」再稼働を認めない決定を出しました。

  これに対し、関西電力は「地震に対する安全性などについて認定に誤りがある」と異議を申し立てています。
8日、福井地方裁判所で行われた3回目の審理では、前回、関西電力側が意見を述べたのに続き、住民側の弁護士や専門家が意見を述べました。
このなかで住民側は、原発で想定される最大の揺れの強さを示す基準地震動について「最新のデータが反映されていないなど新たな知見を無視して過小評価している」と主張しました。

  また、設備の耐震安全性について「十分に余裕を持って設計されたはずの設備はこれまでもたびたび地震の揺れで壊れており、その余裕の計算手法も極めて恣意的で認められない」と主張しました。
裁判所は今後について、双方からさらに詳しく説明を聞きたいとして、11月13日にも審理が行われることになりました。
高浜原発の3号機と4号機について、関西電力は11月の再稼働を目指して手続を進めていますが、仮処分の決定が覆らない限り再稼働は出来ない状態が続きます。
今回、11月にも審理が行われることが決まったことで、関西電力が、11月にも再稼働をさせたいとしてる日程に直接的な影響が出る可能性があります。