物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

【書籍】寛容力

2008年12月07日 | Weblog
 『寛容力』(渡辺久信著、講談社)を読む。

 岡田監督の『頑固力』発売からほどなくして刊行されたものだから、勢いでこっちも読んだ。渡辺久信というと、現役時代は工藤や清原とともに西武ライオンズ黄金期を支えた選手の一人、彼らは若い時「新人類」と呼ばれ、どちらかというとセンスだけで野球をやっているような印象があった。服装も派手で、男性ファッション雑誌にも登場したりして、個人的には軟派なイメージを抱いていた。
 ところが本書を読むと、そんな若いときのイメージとは全く違っていた。前年Bクラスだったチームを、わずか監督1年目にして日本一にしただけに、そのマネジメントやコミュニケーション手法、あるいは独自の集客施策は非常にきめ細かく的確、そしてアイディ豊富である。
 以下、印象に残った具体的手法をいくつか紹介。

●大上段に「俺の方針はこうだ」とぶつけるよりも、選手とは個別に密にコミュニケーションをする。とにかく自分から話かける。それも「こまめに」「ちょくちょく」と。
●コーチにも目標と責任の範囲を伝える。守備コーチには「ダブルプレーを取れる内野陣を育ててくれ」と。
●若手には具体的な目標を与える。「オフの間も筋力を“維持”してキャンプに戻ってこい」ではダメ。“維持”のレベルを示す。「投手陣はキャンプ初日から打撃練習用のバッティング・ピッチャーをやってもらうので、その程度投げ込める準備(筋力維持)をしておけ。」
●目線を2ランクくらい落として若手に指導する。
※とかくリーダーは目線を1~2ランク上げて物事を考えろ、と言われるが、その逆の発想。
●技術指導は目線を下げて丁寧に。意識改革が必要な場合は目を見て本気でぶつかれ。
●「結果論でものを言わない。」それよりも分析・予測・提案を。
●個性的なコメントでファンを惹きつけるために、選手には「ヒーローインタビュー」の研修を開いた。「これからも応援よろしくお願いします!」というお決まりの締め言葉は禁止!
●球場に来るお客さんが意外と喜ぶのは「盗塁」である。盗塁はTV中継ではリアルタイムにとらえにくい。だから走塁力を鍛え、「走る」「動きのある」野球を見せようとした。

 他にもアンダーラインを引いた箇所がたくさんあった。台湾野球で選手兼コーチとして培われた部分が大きいらしい。その辺りの(苦労)話も詳しく書いてある。
 岡田彰布の『頑固力』、渡辺久信の『寛容力』。両者とも優勝するために、チームを強くするために、相当深くマネジメントをしている。そのノウハウはビジネスマンにも十分通用するものである。
 もうこうなったら次は原辰徳が書くしかないぞ、タイトルは『資金力』でどや!?
コメント
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