『中村邦夫「幸之助神話」を壊した男』(森一夫著、日本経済新聞出版社)を読む。
2001年度決算で、約4,000億円もの赤字を出した松下電器(現:パナソニック)を見事にV字回復させた中村邦夫社長の改革手法が紹介されている。
「経営理念以外は松下のすべてを変えていい!」という考え方に基づき、創業者である松下幸之助時代から「不変の制度」として続く事業本部制を根本から見直し、また創業家である松下一族と上手く折り合いをつけながら、改革を進めていった過程がリアルに書かれている。
読みながら想像していたのは、「中村氏には、当時の森下洋一会長以外に、真の理解者はいなかったのではないだろうか?」ということ。文脈から感じるのは、腹心の部下たちでさえ、(本当にこんなに抜本的に変えていって大丈夫なのだろうか?)、(やり過ぎなのでは?)という思いを絶えず持っていたのではないか、ということ。
中村氏のパーソナリティについては、「宴会が大嫌いで、そんな時間があれば家に帰って読書をするのを好む」と描かれている。松下電器に勤める私の友人の人物評は、「中村さん?ものごっつい感じの悪いオッサンやでぇ(笑)」
本書の内容もそうだが、メディアに取り上げられている中村氏の映像や写真からは、確かにとっつきにくそうな印象がある。非常な孤独の中で、自分の信念を曲げずにある意味非情に改革を進め、V字回復を成し遂げた「孤高のリーダー」の手腕に敬意を表したい。
ここ数年間の同社の改革の流れと、先日のグローバル戦略を睨んだ「Panasonic」への社名変更、三洋電機の買収発表といった現在進行形の出来事が、“地続き”になっているところも、本書を興味深く読めた理由の一つである。
2001年度決算で、約4,000億円もの赤字を出した松下電器(現:パナソニック)を見事にV字回復させた中村邦夫社長の改革手法が紹介されている。
「経営理念以外は松下のすべてを変えていい!」という考え方に基づき、創業者である松下幸之助時代から「不変の制度」として続く事業本部制を根本から見直し、また創業家である松下一族と上手く折り合いをつけながら、改革を進めていった過程がリアルに書かれている。
読みながら想像していたのは、「中村氏には、当時の森下洋一会長以外に、真の理解者はいなかったのではないだろうか?」ということ。文脈から感じるのは、腹心の部下たちでさえ、(本当にこんなに抜本的に変えていって大丈夫なのだろうか?)、(やり過ぎなのでは?)という思いを絶えず持っていたのではないか、ということ。
中村氏のパーソナリティについては、「宴会が大嫌いで、そんな時間があれば家に帰って読書をするのを好む」と描かれている。松下電器に勤める私の友人の人物評は、「中村さん?ものごっつい感じの悪いオッサンやでぇ(笑)」
本書の内容もそうだが、メディアに取り上げられている中村氏の映像や写真からは、確かにとっつきにくそうな印象がある。非常な孤独の中で、自分の信念を曲げずにある意味非情に改革を進め、V字回復を成し遂げた「孤高のリーダー」の手腕に敬意を表したい。
ここ数年間の同社の改革の流れと、先日のグローバル戦略を睨んだ「Panasonic」への社名変更、三洋電機の買収発表といった現在進行形の出来事が、“地続き”になっているところも、本書を興味深く読めた理由の一つである。